松尾貴史と下北沢をくねくねしました | Numero TOKYO - Part 2
Life / Travel

松尾貴史と下北沢をくねくねしました

東京やその近郊の街を歩きに歩いた松尾貴史が、ホームである下北沢で散歩の極意(!?)と、下北沢のおすすめスポットを教えてくれた。

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街歩きのお供はビールの時も。 ──下北沢にはよくいらっしゃいますか? 「ほとんど地元ですね。だって昨日もこの辺で飲んで、歩いて帰りましたから。週に1回は必ず」 ──もともと、どうしてこの辺りなんですか? 「25年くらい前に、友人がマンションをプロデュースすることになって、それが三軒茶屋だったんです。それを見に行った後、すぐ引っ越しをして。それからずっと世田谷区に住んでいますね」 ──世田谷の中でも下北沢は、松尾さんにとってどういう場所ですか? 「下町なんですよ。関東大震災と東京大空襲があって、下町から移り住んだ人が多いから、山手ではあるのに、庶民的な気風やご近所づきあいが普通にあるのがいいなあって思いますね。同じ世田谷区でも成城などは全然違います」 ──最近の変化についてはどうですか? 「大きい道路を作る計画があったのですが、その計画が頓挫したので良かったですね。関わった人は儲かるんでしょうけど、街が死ぬますから。それでなくても、下北沢は独特の文化が育っているところだし、車がどんどん入り込まないというよさがあるんです。昔から言ってるんですけど、街は迷えないとダメなんですよね。そこに魅力がある。迷わずに過ごせる、わかりやすい地はつまらないです」 ──今でも迷いますか? 「うん。迷いますよ。スマートフォンできてよかったなあと思う」 ──下北沢のおすすめスポットも伺いたいのですが。 「劇場はほんとにいっぱいあって、今思い浮かぶだけで10軒以上あります。特に『本多劇場』は代表的なところですよね。演劇を始める人は、本多に出たいという気持ちを持ってる人がほとんどじゃないですか? キャパシティも下北では大きいです。400人ぐらい入る。何回か出ましたけど、他の劇場よりウキウキするんですよね。終わった後、飲みに行きやすいからなんですけど」 ──演劇関係者は、周辺に住んでる方も多そうですね。ライブハウスも多いから、ミュージシャンも。 「あとイラストレーターとか。自分のルールや表現を持っている仕事の人は、下北沢界隈に多いですよ」 ──どうしてでしょう。 「自由だからですね。みんなが違ってていいとお互いを尊重し合うところがすごくある街だから、サブカルチャーと親和性があるんだと思います。いろいろな人を受け入れようという意識を持った人たちが集まってきますね」 本多劇場 住所/東京都世田谷区北沢2-10-15 電話番号/03-3468-0030 営業時間・定休日/公演によって異なる URL/http://www.honda-geki.com/honda.html

下北沢の人気カレー店といえば

Photos:Kiichi Fukuda
Interview&Text:Sayaka Ito

Profile

松尾貴史(まつお・たかし) 1960年5月11日生まれ。兵庫県神戸市出身。大阪芸術大学芸術学部デザイン学科卒業。俳優、タレント、ナレーター、コラムニスト、“折り顔”作家など幅広い分野で活躍。カレー店「般°若」(パンニャ)店主。著書にPHP新書『なぜ宇宙人は地球に来ない? 笑う超常現象入門』等多数。最新刊は『東京くねくね』(東京新聞出版局)。

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