幸せを学ぼう! 言語編
ハッピーになるためのキーワードを解説
幸せの形が多様化するなか、どうやったら最大限ハッピーを享受できるのか? 科学、経済、言語、女性学…各分野の豪華講師陣がハッピーになるためのキーワードを伝授。(「ヌメロ・トウキョウ」2017年3月号掲載)
Class III : Language
女性作家が綴るこれからの幸せ論
数々の話題作を世に送り出している小説家・西加奈子、昨年大ヒットしたドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』原作者の海野つなみ、オーストラリアと日本でデュアル生活を送るタレントでエッセイストの小島慶子という、現代社会に多様な生き方を提唱する女性3人が、これからの時代の幸せのヒントとなる「言葉」を綴る。
Point.1
「多様性」
漫画家 海野つなみ
いつから私たちはこんなに息苦しくなったのでしょうか。いつの間にか、誰かの価値観に縛られてしまっているのではないでしょうか。それは、他人への呪いになったり、自分への呪いになったりします。価値観は時代とともに変化するもの。他人を認めて、自分も認めて、ゆるやかにつながっていける社会になればいいなあと思います。
Numero’s note 01
『Kiss』(講談社)で2017年2月号まで連載された漫画「逃げるは恥だが役に立つ」は、結婚という制度に疑問を投げかけた話題作。昨年のドラマ化の大ヒットも、パートナーシップ制度に対する多様な考え方への共感が高まった結果といえる。他人を認め、自分を認めるというシンプルな考えこそが幸せのカギに。
海野つなみ(Natsumi Uno)
1989年に「お月様にお願い」(第8回なかよし新人まんが賞入選)で講談社『なかよしデラックス』からデビュー。講談社の『なかよし』を中心に作品を発表していたが、1997年以降は『Kiss』『Kiss PLUS』を中心に活躍。代表作に「Kissの事情」「回転銀河」「逃げるは恥だが役に立つ」など。
Point.2
「しなやかな芯を持つこと」
小説家 西加奈子
Numero’s note 02
テヘランに生まれ、カイロで小学生時代を過ごし、その後大阪で育った彼女こそ、多様な環境を肌で感じてきた女性。小説家を目指し上京するまでの作家本人のストーリーそのものや、作品に登場するそれぞれの主人公に一貫しているのは芯の強さ。しかしその強さには、多様性を肯定できる柔軟性、しなやかさを秘めているため、決して折れることはないだろう。
西加奈子(Kanako Nishi)
1977年、テヘラン生まれ。カイロ・大阪育ち。2004 年、『あおい』でデビュー。07年に『通天閣』で織田作之助賞、13年に『ふくわらい』で河合隼雄物語賞、15年に『サラバ!』で直木三十五賞を受賞。ほか著書に『さくら』『きいろいゾウ』『円卓』『漁港の肉子ちゃん』『舞台』『ふる』『まく子』、絵本に『きいろいゾウ』『めだまとやぎ』『きみはうみ』など多数。最新作は『i』。
Point.3
「女性が“私らしい”自由な選択を求めるなら
“男らしさ”という幻想から男性を解放すること」
タレント/エッセイスト 小島慶子
産まない人生だって、結婚しない人生だってアリの世の中、母性神話の押し付けにNoと言いたいのなら、男らしさという幻想から男性を解放してあげなければならないと思うんです。経済的に男性が頼れなくなって久しい時代、男の人は弱音を吐いちゃいけない、一家の大黒柱となり家族を養っていかなければならない、といったしんどさをシェアし理解することが、女性の多様な生き方を進める一歩になります。昨年が気づきの年、そして今年は行動に起こすべき。これまで抱いてきた価値観、幻想を棚卸しして、ふるいにかけなくてはいけない。本当に手放せるのか。その答えが出るとき、新しい女性の幸せの形が見えてくるのではないでしょうか。
Numero’s note 02
夫、息子2人とオーストラリア・パースに拠点を移し、日本での仕事をこなすデュアルライフを3年前から続けている小島さん。現在は一家の大黒柱として活躍する小島さんならではの視点だ。女性躍進が叫ばれる現代だからこそ、男性がこれまで背負ってきた重荷を下してあげる時期だという。パートナーを理解することでより愛情が深まるきっかけにもなる?!
小島慶子(Keiko Kojima)
1972年オーストラリア生まれ。学習院大学卒業後、95年にアナウンサーとしてTBSに入社。2010年退社。タレント、エッセイストとして、多様なメディアで活躍中。高校時代から15年間の摂食障害、33歳で発症した不安障害の経験、2人の子どもの親として、また夫の退職や、一家でのオーストラリア移住などについて各誌連載や著書で綴っている。近著に『これからの家族の話をしようーわたしの場合』(海竜社)。