「そこまでやるか!?」驚異の展覧会@六本木
「すごい!」「やばい!!」「どうやって!?」……信じがたい眺めを前にして、思わず感情が露わになる。そんな “壮大なるアートプロジェクト” だらけの展覧会。百聞は一見にしかず、いざ現地へ……!
ダニ・カラヴァン『大都市軸』(1980年〜現在)© Lionel Pagés
いきなりスケール感をひっくり返され、目を白黒させながら次の展示室へ。ここからは四方八方、連打のごとくあらゆる角度で日常感覚の尺度をぶっ飛ばすようなプロジェクトの紹介が続く。
並べられたキャッチフレーズを引用すれば、「幅1.35m × 高さ45mの教会」(石上純也『Church of the Vallery』)、「500人が入れる風船」(アニッシュ・カプーア、磯崎新らによる『ルツェルン・フェスティバル アーク・ノヴァ』)、「連続制作時間96時間」(淺井裕介『土の旅』)、「長さ3,200mの彫刻」(ダニ・カラヴァン『大都市軸』)etc.。
なかでも「テープ21,120mの床」こと、ヌーメン/フォー・ユースによる作品『テープ・トウキョウ02』は、展示室の天井やコンクリートの柱などへ立体的なクモの巣のように透明の梱包用テープを張り渡し、それを約1万5千mもの長さにわたって貼り固めることで、中に入って探索可能な巨大なインスタレーションをつくり上げてしまっている……! 子どもから大人まで、外から眺めて口がポカン、中からは楽しげな嬌声が響き渡る驚きの作品だ。
展示風景より、ヌーメン/フォー・ユース『テープ・トウキョウ 02』(撮影:木奥恵三)
同じように、本展のためだけに21_21 DESIGN SIGHT内に出現した作品が、「重なる1°の奇跡」こと、ジョルジュ・ルースの作品『トウキョウ 2017』。パッと見は、床や窓枠、張り出した階段通路などの建築空間に取り付けられた、幾何学的な木組みのインスタレーション。しかし、ある1点に立って見たときだけ、完全な円形となって眼前に立ち現れる。騙し絵と言うには安易が過ぎる。いったいどうやって、視覚的に1点の歪みすらない精緻きわまる構造をつくり上げたのか!? アーティストの驚くべき発想や作品に懸ける熱意、妥協しない粘り腰に想いを寄せるほどに、「そこまでやるか」という言葉の意味がじわじわと深みとコクを響かせ始める。
展示風景より、ジョルジュ・ルース『トウキョウ 2017』© Georges Rousse
Text:Keita Fukasawa