リオ五輪で公開、森万里子が放つ“神秘のアート”を目撃せよ | Numero TOKYO - Part 3
Art / Post

リオ五輪で公開、
森万里子が放つ“神秘のアート”を目撃せよ

8月5日開幕のリオ五輪。聖火ランナーをつとめる現代アーティスト・森万里子の作品が、五輪の公式文化プログラムとして恒久設置される。前代未聞の作品と、その深遠なるヴィジョンとは?

mariko mori
mariko mori

そして2回目の取材は、それから2カ月後の5月、東京・外苑前のブラジル大使館。
各メディアが参加して行われたプロジェクト説明会で、この作品のタイトルが『Ring: One With Nature(リング・自然とひとつに)』であること、リオオリンピック・パラリンピックの公式文化プログラムに認定されたことが発表された。

発表会の冒頭には、アンドレ・コヘーア・ド・ラーゴ駐日ブラジル大使から、森万里子とブラジルの深い関係が説明された。2002年に行われたサンパウロ・ビエンナーレへの出展にはじまり、2011年にリオデジャネイロで開催された個展の来場者数が53万人を超え、その年の世界ランキング1位を記録したこと。ブラジルの豊かな自然と融和する今回の作品は、リオオリンピック・パラリンピックの象徴になるだろうということ——。

mariko mori
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そしていよいよ、森万里子が自らの作品の全貌を世界に向けて公開するときがきた。作品の設置場所が、リオから車で約1時間半の距離にある「the Véu da Noiva(花嫁のベール)」と呼ばれる滝の上であること。新開発の特殊素材開発のために日本の高い技術が採用され、2年もの年月を要したこと。設置にあたって、現地の環境への影響を入念に調べたこと……。

「オリンピックの五輪のマークは、すべての国家や民族を象徴し、世界平和を願うシンボルです。今回の作品は、人類と自然の調和のシンボルとなり、オリンピックの五輪にもうひとつの新しい輪を付け加えるでしょう。この作品『Ring』は、“Oneness” つまり自然とひとつになること、そして“Eternity(永遠性)”と“Completenes(完全さ)”を象徴しているのです」

南半球の冬至にあたる6月のたった1日だけ、リングは太陽と同一線上に完全に重なる。そして陽の光を受けながら、ブルーからゴールドへとその輝きを変容させていく——。
8月5日のリオオリンピック開幕に先駆けて、8月2日には現地で完成披露が行われ、さらに開幕当日には森万里子自身が聖火リレーのバトンをつなぐ予定だ。世界中が見守る五輪の祭典に “もうひとつの輪” を重ね、人々の精神を原初的・根源的な共感へと回帰させる試み。人類と自然の未来を照らし出す壮大なヴィジョンが、いま、大いなる光を放とうとしている。

『Ring: One With Nature(リング・自然とひとつに)』
場所/「the Véu da Noiva(花嫁のベール)」
住所/リオデジャネイロ州マンガラチバ、ムリキ
URL/faoufoundation.org (※英語のみ)

Interview & Text:Keita Fukasawa

Profile

深沢慶太Keita Fukasawa コントリビューティング・エディターほか、フリー編集者、ライターとしても活躍。『STUDIO VOICE』編集部を経てフリーに。『Numero TOKYO』創刊より編集に参加。雑誌や書籍、Webマガジンなどの編集執筆、企業企画のコピーライティングやブランディングにも携わる。編集を手がけた書籍に、田名網敬一、篠原有司男ほかアーティストの作品集やインタビュー集『記憶に残るブック&マガジン』(BNN)などがある。『Numéro TOKYO』では、アート/デザイン/カルチャー分野の記事を担当。

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