リオ五輪で公開、森万里子が放つ“神秘のアート”を目撃せよ | Numero TOKYO - Part 2
Art / Post

リオ五輪で公開、
森万里子が放つ“神秘のアート”を目撃せよ

8月5日開幕のリオ五輪。聖火ランナーをつとめる現代アーティスト・森万里子の作品が、五輪の公式文化プログラムとして恒久設置される。前代未聞の作品と、その深遠なるヴィジョンとは?

mariko mori
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そしてもうひとつ、この展覧会で展示されていたもの。じつはそれこそが、リオオリンピックの開幕時に公開される作品のプロトタイプだった。光を透過して美しい輝きを放つ、ミステリアスな円環状の作品——。 「宇宙理論も自然も、そしてアートも、人間が感じることのできる現象には限界があります。でも人間は、目に見えるものだけでなく、はるかに多様な自然界のエネルギーを感じ取って生きているのです。その部分を、どう意識するか。ここで私が試みているのは、自然への畏敬の念と感謝を表すシンボルを作り出すことです。自然と自分自身が融和するような体験によって、太古の昔に新石器時代の人々が感じていたであろう、自然と一体化する感覚を呼び覚ましたいと考えています」
mariko mori
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そしてこの作品は、森万里子が設立した公益財団「Faou Foundation」によるプロジェクトの一環で制作されるという。 コンセプトは、“自然と人間の融和”。その、地球上の6つの大陸にひとつずつ作品を恒久展示していくシリーズの2番目として、南米大陸からブラジルの地が選ばれた。 「プロジェクトの第1弾となる作品『Primal Rhythm』の展示場所は、沖縄県・宮古島の七光湾。湾内の岩場に2011年に設置された『Sun Pillar』に加えて、対になる作品『Moon Stone』を、東京オリンピックが開催される2020年に設置する予定です。1年に1度、冬至の日になると、夕陽を受けた『Sun Pillar』の影が『Moon Stone』へ重なり合い、光を放つようになるでしょう。 そして、その第2弾が今回の作品。世界中にある新石器時代の遺跡を調査しても、かつてアフリカから全世界へと広がっていった人々は、同じように自然を崇拝していました。日本文化の深層に根付いたアニミズム的な宇宙観は、異なる形でブラジルにも残されています。いまや文化や宗教などの壁に隔てられ、地球上で分断されてしまったこの感覚を、再びひとつのものにしたい。それが、このプロジェクトにかける私の想いです」

五輪に“もうひとつの輪”を付け加え、 人類と自然の未来を照らし出す試み

Interview & Text:Keita Fukasawa

Profile

深沢慶太Keita Fukasawa コントリビューティング・エディターほか、フリー編集者、ライターとしても活躍。『STUDIO VOICE』編集部を経てフリーに。『Numero TOKYO』創刊より編集に参加。雑誌や書籍、Webマガジンなどの編集執筆、企業企画のコピーライティングやブランディングにも携わる。編集を手がけた書籍に、田名網敬一、篠原有司男ほかアーティストの作品集やインタビュー集『記憶に残るブック&マガジン』(BNN)などがある。『Numéro TOKYO』では、アート/デザイン/カルチャー分野の記事を担当。

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