Marc Jacobsが見せた、最後のLVショウ。 | Ako Tanaka
Ako Tanaka

Marc Jacobsが見せた、最後のLVショウ。

2014年春夏コレクション中、もっとも話題となったのは、

今回発表した2014年SSコレクションを最後に、16年間の契約を満了し、

ルイ・ヴィトンを去ることが決まったマーク・ジェイコブス。

最初に会場に訪れた際、あっ、見た事ある光景!とメイドさんを見て思い、

会場内に入った途端、噴水あり、メリーゴーランドあり、エレベーター、

エスカレーター、ホテルの廊下と、今までのショウ会場のモチーフすべてがそこにあり、

今回が集大成だったのだと、気付きました。
シートの上にはマークからのメッセージ・・・
『今シーズンのコレクションは、エマニュエル・アルト、ジェーン・バーキン、ベティ・カトルー、カーリーン・セルフ・ドゥ・ドゥズィール、ココ・シャネル、シェール、グレイス・コディントン、ソフィア・コッポラ、ヴィクトワール ドゥ カステラーヌ、カトリーヌ・ドヌー ヴ、クロード・ラランヌ、ジュリー・ドゥ・リブラン、レディ・ガガ、ジュディ・ガーランド、ケイティ・グランド、ジュリエット・グレコ、フランソワーズ・アルディ、ジジ・ジャンメー ル、川久保 玲、マドンナ、ライザ・ミネリ、ケイト・モス、ルイーズ・ネヴェルソン、エディット・ピアフ、ミウッチャ・プラダ、リー・ラジヴィル、ミリセント・ロジャース、ソニア・リキエル、カルラ・ソッツァーニ、エルザ・スキャパレリ、バーブラ・ストライサンド、ダイアナ・ヴリーランド、ヴィヴィアン・ウエストウッド、アナ・ウィンターなど、私にインスピレーションを与えてくれる女性たちとショーガールたち全員に捧げています。

明るく開放的な女性であっても、謎めいたミステリアスな女性であっても、彼女たちは皆、視覚的な言語を生き生きと表現し続けています。彼女たちのスタイル、想像力、クリエイティビティ、才能、ビジョン、発言は、私たちが見る景色を変化させてきました。

私がパリを見渡した時、息を呑むのはその街の深遠さではありません。心を奪われるのは、そこに施された装飾です。それは、考えるというより、感じるものです。そんな光景に出会えた時、これほど深い驚きを呼び起こすものはありません。今回のコレクションをデザインしている間、その時と同じ素直な感覚が高まっているのを感じました。私はものごとのあるがままの姿に喜びを感じ、美しい純粋な装飾を美しいとそのまま受け取って楽しんでいます。表面的なレベルのものと結び付けることは、知的なレベルのものと結びつけることと同じくらい誠実なことなのです。

私たち全員の心の中にあるショーガールに捧げます。マーク。』

モデルたちは、噴水の横を歩き、エレベーターで2階にあがり、ホテルの廊下を歩き、エスカレーターで1階に下り、
メリーゴーランドの周りをまわり、エスカレーターでまた2階にあがり、ホテルの反対側の廊下を歩き、エレベーターで1階に下り、噴水の横を歩き、舞台裏に戻るという長いキャットウォーク。

終着駅を現しているのが中央の時計。あの時のあの会場にもありました。
あの時計が10時を指した瞬間にショウが始まる。他のショウとは異なり1分たりとも遅れないマークLVのショウ。

ゲストが、ジャーナリストが、フォトグラファーが座っていようがなかろうが、10時にショウはスタートする。
それは、会場の演出が素晴らしいものになるにつれ、必ず守られてきたマークの挑戦状でした。
NYコレクションで自身のブランド、Marc Jacobsのショウ開始が2時間ほど遅れ、ジャーナリストに叩かれてから、
だったらあなたたちも時間通りに来て、座っててください、と無言の挑戦状でした。

小気味いいほど、ぴたりと始められたショウ。

今回も、いつもと同じ10時ジャストに始まりました。途中で時計を確認すると、9時57分。あれ? 時間前に始めた?
ショウ終了後、時計を再度確認すると9時40分過ぎを指している。時間をさかのぼる時計、過去に向かう時間。
まるで今のMarcの気持ちを表しているかのような、形而上的に飾られた時計の存在。

フィナーレでは、彼がルイ・ヴィトンで成し遂げた功績を讃え、会場中が総立ちとなり、スタンディングオベーションの渦が起きました。思い返せば16年前、グランジ・ファッションで一世を風靡した彼が、誰もが知る仏の老舗バッグブランドのRTWデザイナーとして抜擢。以降、ブランドとともに成長を遂げた、最高のマリアージュでした。ルイ・ヴィトンを去っても、自身のブランドでの快進撃はまだまだ続きます。

去る10月11日は、マークが手掛ける新感覚ブックストアBOOKMARCが原宿に上陸しました。アジア1号店として話題です。0から歴史をスタートさせ、年々、ブランドを成長させてきたマーク、今後の活躍も期待しています!

Profile

ako tanaka
TOKYO
editor in chief

編集長。ミラノで雑誌や広告などに携わった後、帰国後はフリーランスのスタイリストとして活動。スタイリストやファッションエディターとして活躍後、2005年11月『Numéro TOKYO』編集長に就任。著書『AKO’S FASHION BOOK』(KKベストセラーズ社)も好評発売中。
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