EDEN | Aisa Arikawa
Aisa Arikawa

EDEN


小学生なら「絵日記どうしよ〜」って言い始める頃かな。夏休み後半戦に突入。
親に甘えてモラトリアム三昧してきた、長い長い「人生の夏休み」も、気付けばもうあと半年弱!
社会という見えないけど、何かとてつもなく大きなものに取り込まれていくタイムリミットに迫られ、
今までとはまた違う焦りや不安がとめどなく胸をざわつかせる。
ようやく来春からの目処がついたと思ったけど、何が正しい選択だったのか、ベストな結果だったのかは結局分からない。
 
ちっぽけなプライドを捨て、現実を見ることも大事。
でも、夢見がちで、純粋で青々しい気持ちも忘れたくない。
自分が変わらなくてはいけないのか、変わりたくないのか、変わってしまうのが怖いのか・・・
 
そんな複雑な感情に、どうしようもなく落ち着かない今だからこそ見たかった映画“EDEN”
 

 
90年代パリのエレクトロ・ミュージック・シーンを舞台に、ひとりのDJの夢と挫折が、
第1部 PARADISE GARAGEと第2部 LOST IN MUSICという2部構成で描かれる。
主人公ポールは、親友とDJユニット”Cheers”を結成するやいなや、
「ガラージ」のスタイルで瞬く間に成功の階段を駆け上がり、
一時代を築き、席巻し、人生はエレクトロなビートに満ちたパラダイス。
 
しかし、ドラッグ依存、度重なる借金、時代の変化と共に、最先端のクラブシーンから遠退いていく。
始まりには必ず終わりがある。そしてまた始まる・・・
 
eden
 
この映画には’90年代から’10年代にわたるクラブシーンを中心にした、まさに「時代」が描かれており、
音楽のジャンルやムードはもちろん、クラブもその時代を象徴する場所へと変化していく。
でっかいデスクトップWindowsからMacbookへと機材も変わり・・・と、とにかく細部まで演出されていて、
だからこそ、ある時期を境にポールの時間だけ止まっていることがより鮮明に浮き上がってくる。
 
本作に楽曲提供もしているDaft Punkは、劇中ポールと並列するように登場するのだが(そっくりな役者で)、
成功者とそうでない者が対比的に描かれているようで、またちょっと切なくなったり・・・

 
細かすぎて伝わらないかもしれない私オススメの見どころはここです笑
 
eden1
 
音楽さえあれば、僕らの楽園は永遠に続くと思っていた
 
それくらい没頭し、溺れられるものがあるというのは幸運なことであり、同時に不幸なことなのかもしれない。
物事には必ず光と影があり、その光が強いほどその影も深い・・・
でも、だからこそ光り輝く世界も、その影も美しく見えるのだ。
 

[EDEN/エデン]
 
監督:ミア・ハンセン=ラヴ
フェリックス・ド・ジヴリ▶︎▶︎▶︎ポーリーヌ・エチエンヌ▶︎▶︎▶︎ヴァンサン・マケーニュ
 
http://www.eden-movie.jp/
2015年9月5日(Sat)より新宿シネマカリテ他全国順次ロードショー
 

Profile

aisa arikawa
TOKYO
student of architecture
 

1990年生まれ。インテリア、ファッションから「場」について考える端っこ建築学生。キラキラしたダイヤモンドよりもマットで温かい質感の陶器が好き。そんな私のちょっと外れた視点から眺めたデザインの世界。

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