『ヌメロ・トウキョウ(Numéro TOKYO)』200号(2026年10月号)では、ファッションからカルチャーまでさまざまな角度から絶えず姿を変え、蠢き続ける“トウキョウ”に迫った。インタビューでは、東京を拠点に活躍するアーティストやクリエイターたちに彼らにとっての東京の姿を聞いた。第六弾は俳優の沢尻エリカ、恵比寿の会員制バー「CASBA」のオーナー・増田令子、タレントで俳優のYOUが登場。3人が語る、東京から生まれるクリエイティビティやコミュニティ、ここだからこそ描ける未来とは。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2026年10月号掲載)

【プロフィール】
沢尻エリカ(さわじり えりか)
東京都杉並区出身。俳優。ドラマ『1リットルの涙』、映画『ヘルタースケルター』など数々の作品で活躍。今年20年ぶりとなる写真集『DAY OFF』(幻冬舎)を発売。12月公開の映画『薔薇の鎖』で丸山隆平とW主演を務める。
増田令子(ますだ れいこ)
埼玉県蕨市出身。1996年に東京・恵比寿の会員制バー「CASBA(カスバ)」をオープン。国内外のファッションデザイナーやアーティストが集う東京カルチャーを象徴する場として親しまれる。2017年にはファッションブランド「Paradise!」を立ち上げる。
YOU(ゆう)
東京都小金井市出身。タレント、俳優。1985年に歌手デビュー後、バラエティ番組をはじめ、映画やドラマ、ナレーションなど幅広く活躍。飾らない人柄と唯一無二の存在感で、多くの支持を集めている。
──3人が出会った頃のことを覚えていますか。
増田令子(以下、R)「YOUとは30年以上、エリカとはもう20年以上の付き合いになるね」
沢尻エリカ(以下、E)「私が20歳の頃、令子さんやYOUさんたち、当時40代くらいだった大人がかっこよくて。それに憧れていたら、気づけば私も40歳になりました」
YOU(以下、Y)「いちばん年下だったエリカが今や先輩側!感慨深いね」
──当時の遊び場は?
Y「まずは『カスバ』。約束しなくても行けば誰かがいたし、パーティやクラブに行けばいつもの顔ぶれがそろっていたよね」
E「そこからまた新しい人と知り合って、世界がどんどん広がっていきました」
R「いろいろあったな。酔っ払って椅子が飛んだり、お店で暴言を吐いた人にYOUがワインをぶっかけて、最後はチューで収めたこともあったりね」
Y「チューで許されると思っていた節はあった(笑)」
R「相手は男女問わず。YOUの飲み方はプレイボーイみたいなの。その気にさせてスッと帰っちゃう。エリカも、20代はだいぶ大暴れしてたよね」
E「お世話になりました」
──遊び始めた頃の東京のナイトライフはどうでしたか。
R「1980年代、文化服装学院の学生時代にツバキハウスに通って、そこからモンクベリーズやピテカントロプス・エレクトス、レッドシューズあたりにも行くようになって。昔はファッションや音楽のクリエイターと普通の学生が、同じ場所で一緒に遊んでいたの。まだ学生だったマーク・ジェイコブスと出会ったのもその頃だったな」
Y「素敵な大人が遊んでいる姿を見て、若い子たちも自然に遊び方を覚えていったよね」
E「私にとっては、令子さんやYOUさんがその存在です。遊び方だけでなく、人との接し方やファッションも含めて『大人ってかっこいいな』と思わせてくれた。夜の場では、いろいろな世代が同じ立ち位置で混ざれるのがいいですよね」
──当時と今とでは、東京の夜はどのように変わりましたか。
Y「SNSの影響はあるかもね。昔はやらかしちゃっても、相手に直接謝ればよかったけど、今は画像が残ったりする」
R「みんなが報道カメラマンみたいで、撮ったものがすぐに拡散される。今の子は窮屈だろうなって思うよ」
E「私たちは、SNSのない時代に遊べてラッキーだったと思います。失敗しても、その場の笑い話で終わったから」
──最近の遊び方は?
E「京都や福岡など、地方で遊ぶことが多くなりました。特に京都には自由な空気があって面白いですよ」
R「今度、台湾でポップアップを開くの。YOUとのコラボアイテムも展開する予定。東京の夜の雰囲気を海外へ持っていったら何かが生まれるかも」
Y「今の時代は、海外とつながりやすくなったよね」
──今でも、ナイトライフがカルチャーを生み出すことはあると思いますか。
R「あるとは思うけれど、その力は小さくなった気がする。昔は店に集まった人たちの会話や、流れる映画や音楽に刺激を受けて次に新しいものが生まれることも日常的だったけど」
Y「カスバには、カルチャーやファッションにこだわりを持つ人が集まる。それが普通の店とは違うところだね」
R「私はここをサロンのような場所にしたかったの。国籍や世代、ジャンルの違う人が混ざっても、『これが好き』という感覚でつながる。そこから何かが生まれるのが面白いなって」
E「人やカルチャーをつなぐ場所でもありますよね。ここで出会わなければ知らなかった世界がたくさんあるし、もしカスバがなかったら、今頃どうしていたんだろうなと思うこともあります。世代を超えて人と出会って、自分の世界を広げられる場所は必要ですよね」
Y「そう。東京の夜を面白くするのは、場所だけじゃなくて、そこに集まる人たちだから。若い子たちも積極的に外に出て、素敵な大人と出会いながら、人との付き合い方を覚えていってほしいな」
R「夜のルールは、人と話して失敗しながら身につけるもの。バーやクラブは、これからますます大切になると思う。私もまだ店をやめられないな(笑)」
【お詫びと訂正】
雑誌掲載時に、編集工程でミスが生じ、本文中の表記に店名の誤りがございました。正しくは「ピテカントロプス・エレクトス」となります。読者並び関係者の皆様には大変ご迷惑をおかけしました。お詫びと訂正をさせていただきます。
Direction:Ako Tanaka Photo:Keiichi Nitta Hair & Makeup:Rumi Suwabe(YOU) Interview & Text:Miho Matsuda Edit:Saki Shibata
