3人の振付家、3つの視点。バレエの現在地を映す『THREE VISIONS』 | Numero TOKYO
Culture / News

3人の振付家、3つの視点。バレエの現在地を映す『THREE VISIONS』

スターダンサーズ・バレエ団が11月に上演する『THREE VISIONS』は、異なる美学とアプローチを持つ3人の振付家の作品を一度に楽しむトリプル・ビルだ。登場するのは、現代バレエの革新を牽引してきたウィリアム・フォーサイス、ドイツでキャリアを積み、欧州における日本人初の芸術監督を務めてきた森優貴、そしてスターダンサーズ・バレエ団の常任振付家として創作を続ける鈴木稔。タイトル通り、3つの“VISIONS”からバレエの広がりを見せる。

(c)Kiyonori Hasegawa
(c)Kiyonori Hasegawa

フォーサイスの『N.N.N.N.』は、4人の男性ダンサーによる作品。身体同士が互いに反応し合い、まるで会話を交わすように動いていく。力学的な構造とユーモアを内包しながら、フォーサイス特有のスピードと緊張感が舞台を支配する。クラシック・バレエの語彙を使いながら、その構造そのものを解体し、組み替えてきたフォーサイスらしさを凝縮した作品だ。

(c)Kiyonori Hasegawa
(c)Kiyonori Hasegawa

一転して、森優貴振付の『Traum-夢の中の夢-』が描くのは、より内面的な世界。エドガー・アラン・ポーの詩「A Dream Within a Dream」から着想し、ひとりの男の人生を辿るように、喪失、過去との決別、虚構と現実の狭間を描いていく。舞台上には、記憶や夢の断片を覗き込むような世界が立ち上がる。

(c)Kiyonori Hasegawa
(c)Kiyonori Hasegawa

そして鈴木稔の『Degi Meta go-go』は、TVドラマ『世にも奇妙な物語』のテーマ曲でも知られる作曲家・蓜島邦明とのコラボレーション作。機械的なノイズミュージックと、切れ味の鋭い身体表現が交錯する。初演から約30年を経た作品だが、その感覚はいま見てもなお鮮烈だ。

4人の男性だけでつくられる研ぎ澄まされた身体の対話。夢と記憶の中を漂うようなドラマ。そして、機械的な音と身体がぶつかり合う実験性。同じ「バレエ」という言葉の中に、これほど異なる景色が存在すること自体が、このトリプル・ビルの面白さだろう。

古典を美しく受け継ぐだけではなく、その身体を使ってどこまで新しい表現へ踏み込めるのか。3つの作品を続けて見ることで、「バレエ」というジャンルの輪郭が、少し広がって見えてきそうだ。

バレエ スターダンサーズ・バレエ団『THREE VISIONS』
日程/2026年11月7日(土)・8日(日)14:00開演
会場/東京芸術劇場 プレイハウス
上演作品/
『N.N.N.N.』振付:ウィリアム・フォーサイス
『Traum-夢の中の夢-』振付:森優貴
『Degi Meta go-go』振付:鈴木稔
料金/SS席10,000円 S席9,000円 A席7,000円 B席5,000円 C席3,000円
※両日13:40より小山久美総監督によるプレトークあり
URL/https://www.sdballet.com/p/2026ThreeVisions/

Text:Reiko Nakamura

 

Magazine

DECEMBER 2026 N°202

2026.10.28 発売

Obsessed!

好きなものと、生きる

オンライン書店で購入する