北海道・白老町でアートとカルチャーをめぐる 「ルーツ&アーツしらおい」 | Numero TOKYO
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北海道・白老町でアートとカルチャーをめぐる 「ルーツ&アーツしらおい」

北海道の南西部、太平洋に面した白老(しらおい)町で、文化観光プロジェクト「ルーツ&アーツしらおい2023 -白老文化芸術 共創-」が開催されている。「地域×多様な第三者」をテーマに、そこで生み出された作品、町を体験するさまざまな企画を通じて、歴史や文化にも触れていく。2023年10月9日(月・祝)まで。

2021年、地域や世代をこえた有志メンバーによってスタートした「ルーツ&アーツしらおい」。複数のエリアに展示された作品をたどることで、町を巡り、小さな体験が積み重なり深まっていく。2022年より続けて参加するアーティストも多く、新たな歴史を重ね始めたプロジェクトだ。展示されている作品、イベントを一部ご紹介。

『回回声』梅田哲也/Photo:Tsubasa Fujikura
『回回声』梅田哲也/Photo:Tsubasa Fujikura

梅田哲也は、インスタレーションやパフォーマンスなど、場と結びつく体験へと誘う作品を手がけるアーティスト。2022年に旧鐡工所で展示した『回声』からの続編となる『回回声』を、新しいブリュワリーの予定地で展示している。オープニングでは音響のライブミックスも行った。

『草の根のリズム』青木陵子+伊藤存/Photo:Tsubasa Fujikura
『草の根のリズム』青木陵子+伊藤存/Photo:Tsubasa Fujikura

それぞれに作品制作しながらも、アニメーションやインスタレーションなどの共同制作を行う青木陵子と伊藤存。昨年は白老で見聞きしたことから「知らないことを知ること」について2作品を発表。今年は、約30年前の自然保護運動についての話を聞いたことから、その場所を巡り、映像インスタレーションを制作した。旧社台小学校で展示している。

『交信』野生の学び舎/Photo:Tsubasa Fujikura
『交信』野生の学び舎/Photo:Tsubasa Fujikura

社台(しゃだい)海岸では、洞爺湖を拠点に活動する「野生の学舎」が、海岸に漂着した巨木を彫った。人と人とが協働して生み出す創造的な営みを続けている。

『音のない水たちのささやき』ナタリー・ツゥー/Photo:Tsubasa Fujikura
『音のない水たちのささやき』ナタリー・ツゥー/Photo:Tsubasa Fujikura

初参加のナタリー・ツゥーは、オスロと東京を拠点にするアーティスト、研究者。歴史的な風景を記憶する方法を発見するために、音を道具として扱う。本作では音のないアヨロ川を取り上げ、風景の記憶を音から探り、聞こえない音を捉えようとする。

田湯加那子
田湯加那子

そして白老町在住のアーティスト・田湯加那子。ほぼ毎日、スケッチブックに向かうという彼女が生み出すのは、色鉛筆で描く力強い作品。国内外で多くのアール・ブリュットの作品展に参加しているが、白老での展覧会は18年ぶりとのこと。旧社台小学校にて、約200点の絵画が展示されている。

OKI
OKI

そのほか、トンコリ奏者のOKIがゲストにピーター・バラカンを迎え、アイヌ音楽をはじめ世界各地の音や知られざる音を届ける音楽ラジオプログラム「ラジオウタリ」も放送予定。

9月23日(土)には、フィールド・ワークプログラム「アースダイブ白老|登別 アイヌ語地名から探る土地の記憶」が開催。古い記録や古地図からの情報を知り、土地を歩くことで、地形や植生などを体感し、かつてアイヌ語地名が使われていた時代にバーチャルダイブする試み。

最終日の10月9日(月・祝)には「交流」をテーマに商店街の野外広場でクロージングイベントも。フードの出店、パフォーマンスなどが行われる。

白老町は、新千歳空港から車で約40分。2020年にはアイヌ文化の復興と歴史を伝えるナショナルセンター「ウポポイ(民族共生象徴空間)」がオープンし、周辺では縄文時代の遺跡が多く発掘される、北海道の古代からを感じられるエリア。さまざまな時代に接続するルーツを知るほどに、世界は広がっていく。白老町から始まっている何かをぜひ体験してほしい。

また近年、北海道ではアイヌ文化を新たに伝える試みが続いている。こちらもぜひ。(参考記事)Numero.jp「アイヌ文化×デジタルアートの注目作『ロストカムイ』体験インタビュー」

ルーツ&アーツしらおい2023 -白老文化芸術 共創-
期間/2023年9月1日(金)〜10月9日(月・祝)
時間/10:00〜16:00 
定休日/月・火・水 祝日を除く 
観覧無料(一部有料もあり)
※会場により異なるため、事前にご確認ください。
会場/北海道白老郡白老町内各所
URL/www.shi-ra-oi.jp

Text:Hiromi Mikuni

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