21世紀少女 vol.5アーティスト DAOKO時空を超えたポエムラッパー | Numero TOKYO
Culture / Post

21世紀少女 vol.5
アーティスト DAOKO
時空を超えたポエムラッパー

フォトグラファー田口まき&小誌エディトリアルディレクター軍地彩弓がお送りする「21世紀少女」。クリエイターやアーティストなど、21世紀的な感覚を持つ新世代女子を一人ずつ紹介する連載。Vol.5のゲストは、女子高生でありながらメジャーデビューをしたアーティストのDAOKO。その歌声のとおり、ふわりと柔らかい雰囲気の彼女。撮影はファーストアルバムを収録したスタジオで行われた。(「ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)」2015年7・8月合併号掲載)

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軍地彩弓が読み解く
「18歳の少女は世界を変えるのか?」

初めて彼女のPV「水星」を見たとき、ミステリアスな彼女が写っていた。年齢も素性もわからない。その代わり、画面には街の電光掲示板に流れる歌詞が映し出される。「めくるめくミラーボールに乗って、水星にでも行こうか」(「水星」より)ささやくウィスパーヴォイス。歌われているのは詞・Lyricではなく、詩・Poemだ。今年メジャーデビューをしたが、アルバムは4作目。映画『渇き。』の挿入歌に起用されたり、m-floに見いだされるなど、各界から注目されている。

今回のインタビューで、目の前に現れたのは18歳の少女だった。「親の影響で小学生のときからパソコンに触っていました。高学年になった頃、ニコ動が始まって、学校から帰るとテレビではなくパソコンに向かう日々でした」。見る立場から、投稿する立場になったのは13歳から。そこから徐々にファンを増やして、ついに15歳でインディーズデビューを果たす。彼女の独特の世界観。そこに最も影響を与えたのが椎名林檎だったという。「椎名さんのCDを親が好きで、幼稚園の頃から聴いていました。彼女の世界観が好きなんです」。

いわゆる早熟とは片付けにくい。彼女世代ならではのスピード感。未熟さと成熟さが混在する。その理由は何だろう?「子どもの頃から年齢コンプレックスが強くあるんです。18歳という今の年齢にものすごい嫌悪感がある。15歳でデビューしたときは年齢を伏せていました。若く見られたくない。フラットに大人と話したいから。ネットの世界では年齢は関係ないんです。楽曲だけで評価されたい」。

ネットという世界では年齢だけでなく、時空もフラットになる。彼女のバッグから出てきたのは「山田かまち」の本。40年ほど前の本だ。傍らにはCDプレイヤー。時空が縦横無尽に彼女の周りでクロスする。歌詞もそうだ。「エモーショナルなことが好きです。恋愛でもなんでも。過去のものにはそのエモーショナルなものがある。大好きな谷川俊太郎の詩とかこれを自分で『エモい』って呼んでいるんですけど、テレビを見ないから余計に現在のことに興味がなくて、だから過去のものからエモいものを見つけているんです。それが歌詞を書くインスピレーションになっているのだと思います」。

彼女にとって、この世界はどう見えているんだろう?「生きることがぼんやりしているんです。10年後の未来とか全く想像がつかない。長生きしたいっていう発想がない。ふわふわとした妄想チックな自分。これが今の世界なのかも」。DAOKOの歌は、私たちが感じているリアル。そこが世代や国境を超えたファンを刺激している。

DAOKOの頭の中

Photo:Maki Taguchi
Director:Sayumi Gunji
Text:Rie Hayashi

Profile

DAOKO(だをこ) 1997年生まれ、東京都出身。15歳のときにニコニコ動画へ投稿した楽曲で注目を集め、2012年に1st Album発売。15年3月、女子高生にしてTOY’S FACTORYからメジャーデビュー。

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