2022年決定版! 私が好きな韓国ドラマ【心揺さぶられるヒューマンドラマ編】
テーマ「心揺さぶられるヒューマンドラマ」
どこまでも永遠に続くように見える日常からあぶり出される、リアルな心理描写が心に響く「ヒューマンドラマ」。観るものの日常を潤し、そっと気づきを与えてくれる珠玉の二作品をライター・小川知子が紹介する。
1.「私の解放日誌」
深い喪失からの成長を体感させられる
他人を羨み、おんなじ日々の繰り返しにうんざりしている三兄妹と周囲の人々の不平不満で満ち満ちた序盤から、それぞれの解放劇が始まるのだが、その方法は劇的でも革命的でもなんでもなく、視点をほんのちょっとずらし、小さな自分を認めて、小さな変化を積み重ねていくという、人間らしいリアリティのあるものだ。
渦中にいるときはうんざりしても、そこから離れてもう戻れないのだとわかると心許なくて堪らない。最終回に向かい、そんな深い喪失からの彼ら(特に長男)の成長を追体験させられる展開は秀逸。たとえ憎たらしい相手であっても、相手を尊重すること。それが自分を解放へ向かわせる第一歩なのだと改めて気づかせてくれる作品だ。
「私の解放日誌」
田舎(京畿道)からソウルへの長時間通勤、単調な生活、閉塞感。代わり映えしない毎日から抜け出したいと願う三兄妹のもとに、ある日、謎の男が現れて……。それぞれ性格の異なる彼らが、自由と生きがいを求めて奮闘する姿を描く。
出演/イ・ミンギ、キム・ジウォン、ソン・ソック
Netflixシリーズ「私の解放日誌」独占配信中
https://www.netflix.com/jp/title/81568411
2.「賢い医師生活」
気の置けない友人のような存在のドラマシリーズ
コロナ禍のはじまりの頃の私にとって、人生における真剣なトピックも、笑いながら、泣きながら話し合えるような、気の置けない友人のような存在だったのが、「賢い医師生活」シリーズだ。
40代になっても、それが自分が選んだ道であったとしても、人生は楽じゃないし、仕事もプライベートも悩みは尽きない。そんなとき、自分らしくいていいのだと呼吸をしやすくしてくれるのは、それぞれの人生を懸命に歩きながらも、ご飯を食べながらおしゃべりしたり、一緒に歌ったり、必要なときには手を差し伸べ合える友人の存在だ。スピンオフ『賢い山村生活』まで本当に幸せな時間をもらったし、いまだに「ユルジェ病院」で生活する「99ズ」のことを時々思い出してしまう。
「賢い医師生活」
新たな命が生まれ、今ある命が終わりを迎える病院という場所で、患者たちとともに生きる5人のエリート医師。1999年にソウル大学医学部に入学した「99ズ」の仲間である彼らは、それぞれ別の場所で医師としてのキャリアを積んできたが、40歳を迎え、ある出来事をきっかけにソウルの総合病院「ユルジェ病院」でともに働くことになる。
出演/チョ・ジョンソク、ユ・ヨンソク、チョン・ギョンホほか
Netflixオリジナルシリーズ「賢い医師生活:シーズン1~2」独占配信中
https://www.netflix.com/jp/title/81239224
Text: Tomoko Ogawa Edit: Chiho Inoue