六月。
学期末ということもあって、寝る間も惜しんで全力で走り抜いた日々。
やっと全てのプロジェクトが終わり、ほっと一息です。ふぅー。
そんな折にフランス人画家の友人に、
「今度モンパルナス界隈にあるIdem Parisという有名なリトグラフ工房に行く予定があって、そこの広報の方が日本人だよ。一緒に来てみる?」との誘いがありました。
リトグラフ、、、?
確か、水と油の反発作用を利用した版画の一種、そこまでの認識はあるが、実際どうやって作られているのか具体的に想像が出来きませんでした。
好奇心を掻立てられた私は、即答で「行くー!」と。
工房見学当日。
入り口のドアを開けた瞬間、まず目に飛び込んでくるのはマチス、ピカソ、シャガール等の巨匠による作品のポスターが壁一面に広がっています。(しばし見入ってしまって、ちょっとした美術館にいる気分に)
そして、床にはあるたくさんの石版用の石灰岩が。
さらに中へ進むと、外の佇まいからは予想だにしない広さとガラス屋根から注がれる柔らかな光、
そしてプレス機からくる重厚な機械音、工房全体が織り出す光景にただただ驚きました。
それがいつの間にか興奮に変わり、ブワッと鳥肌が立ちました。
このアトリエが持つ一世紀以上の歴史によって、タイムスリップするような感覚に。
説明を受けると、リトグラフは大きく描画、製版、刷りの三つのプロセスに分かれていて、専用のクレヨンの独特なテクスチャ、強い色見に加え筆の効果等、石版に描写したものをそのまま紙に刷ることができるアートの手法でした。多色刷りも可能で、色を重ねるごとに出る特有な質感は間近で見ると感動すら覚えました。
(リトグラフをもっと詳しく知りたい方はゼヒIdem Parisのブログをご参考に〜。)
プレス機の操作はとても繊細な作業なので、常に一台の機械を動かすには最低でも3人の職人さんが同時に協力し合う必要があるそうです。
ピカソやマチス、コルビジェやコクトー、、、この工房は数知れずの偉大な作家たちと仕事をしてきました。
アトリエにある石灰岩は工房が建てられた頃から使われている物で、
作品ごとに表面を削って、繰り返し使われる為、もしかするとこの偉大な作家さんたちが使った石版に今を生きるアーティストによってまた石の記憶が描き変えられてゆく。(なんかロマンを感じますね〜)
かの有名な映画監督デヴィット•リンチさんもパリに来る度に、この工房の二階にある作業スペースでアート製作をしているそうです。
アトリエにて作業中のリンチさん。
photo by Item Editions
« I Could Not Get Away from Her »
2012 (Courtesy Item Editions)
で、ここで素晴らしいお知らせです!
今月27日より7月23日まで、デヴィット•リンチさんのリトグラフを含むアート作品の展示会が、
この度渋谷のヒカエリ8階、小山登美夫ギャラリーにて開催されることになりました。
リンチさんの映画が好きな方、ぜひこの機会にて彼の世界観をまた別の角度から覗いてみるのはいかがでしようか。
そしてIdem Parisで製作されたリトグラフを近くで見られる絶好のチャンスです。お見逃しなく〜♪
ではでは、ケイでしたー