パン野ゆりのぶらりパン歩き 「PÂTISSERIE ASAKO IWAYANAGI」で夢のパン×パフェを堪能!
おいしいパンを求めて世界中どこまでも! パン愛にあふれたモデル山野ゆり改め“パン野ゆり”が、話題の新店から知る人ぞ知る逸品まで、津々浦々めくるめくパンの世界を独自の視点でお届け。今回は等々力の名店「PÂTISSERIE ASAKO IWAYANAGI(パティスリィ アサコ イワヤナギ)」にて、パン×パフェのスペシャルコラボをお送りします。
こんにちわ。夏なのにパン消費量が一向に減らないよ、むしろ増えてる!パン野ゆりです。 今回は「パ」のつくものって可愛いよねシリーズ第一回、「パンとパフェってどちらも可愛い!」を開催致します。 愛べき友人犬山紙子との対談にて、「パ」のつくものが可愛いと悟り早半年。連載の担当編集のY子さんが熱烈なパフェ子であることを思い出した瞬間に今回のテーマが生まれました。 というわけ!で!今回はパンとパフェの二大可愛いを考察していきたいと思います。 まずはパンからいきましょう。
今回お邪魔したのはパフェ子さんが足繁く通うパティスリィ アサコ イワヤナギ。
一度見たら忘れられない程美しく芸術的なパフェは「岩柳さんはパフェ界の神様です」とパフェ子さんが断言するほど。
そんな岩柳さんがパンを販売させたのはちょうど一年ほど前。
私もプライベートでお邪魔したことがあるのですが、想像以上にパンも美しくて可愛い!
そして、美味しい。
今回は特別にパン作りについてお話を伺いました。
自家製酵母で作り上げる、パティスリーのこだわりパン
早速彩りの良いパンたちに触れていきましょう。
まずは大好きなクロワッサン!
「クロワッサンは特に発酵との兼ね合いがとても難しかったです」と岩柳さん。
パンは全て自家製の天然酵母を使用。さらに一つの酵母では安定しないので、岩柳さんのパン作りの相談相手であるという駒場東大前のル・ルソール清水宣光さんの酵母をお裾分けしていただき、オリジナルブレンドでパンを製造しているとか(私、ル・ルソールのチャバタとバゲットが大好きです!)
「うちのパンらしさをより強く意識したいんです。どのパンもクラムはモチモチ感を意識して、発酵を調整しています」
この「発酵」というキーワードが岩柳さんから何度も出てきました。
発酵させることの奥深さ……。パン作りは辛いことが多い!とにこやかに笑う岩柳さん。
「お菓子は自分のペースで進められるんです。でも、パンは酵母に合わせて自分の仕事を調整しなくてはならないので大変なんですよね。酵母の機嫌を取らなくてはいけない。酵母の塩梅を常に見てあげなきゃならない。酵母に振り回されています(笑)」
そんな試行錯誤を経て生まれたクロワッサンがこちら!
クロワッサン
造形、色味、ツヤ、完璧でございます。
食べる前からバターの香り……香り……ひたすら香り……!!
まるで香りを食べているような錯覚に陥ります。特別。格別。
クラストはバリッと香ばしく、クラムは水分量をフクフクと含んだモチモチ感。このコントラストに驚きながら、ケーキのようなお菓子感覚でリズム良くスルスルと食べ進んでしまいました。
岩柳さん曰く、ふわふわ感よりもパイのようなクロワッサンを意識したそう。確かに焼き色も強めですし(風を起こしながら焼成)、クラストの香りも焦がし気味でしっかりと香ばしい……!
マンゴーデニッシュ
美しい煌めきのフルーツが特徴的なヴィエノワズリー。季節のフルーツをふんだんに使用したデニッシュは、パティスリィ アサコ イワヤナギのパンのラインナップではシンボル的存在。
そもそもパンを焼くきっかけになったのが、こちらのフルーツのデニッシュだったとか。
「うちのケーキやパフェはフルーツがメイン。フルーツをパンにも乗せてみようか、ということでパンを焼くことになったんです」
フルーツのデニッシュから始まりヴィエノワズリーの代表格クロワッサンへ流れて、少しづつパンの種類が増えていったそうです。
パリパリに焼き上がったデニッシュ生地は重なり合った層の整列。丁寧に重なり合った層を噛み締める度に音を立てて弾けます。
みずみずしいフルーツの食感、口の中にいっぱい広がるジューシーな果実はパン生地と合わさり……これだ、これが食のハーモニーだわ!
ボリュームもしっかり! 贅沢でご褒美になるパン。
リュスティックサンド
私的ミラクルヒットしたこちらのリュスティックサンド! お魚は日によって変わり、この日はサバサンドをいただきました。
個人的にサバサンドというと……常夏でご機嫌な空の下、キッチンカーで小太りのおっちゃんが親しげな接客で提供する、地元民が小腹が空いたときの少しボリューミーなワンハンドフード!というイメージ。
が、全然違うってばよ。
サバという日常に寄り添ってくれるお魚がこうも上品なサンドイッチに仕上がるとは!
パティスリィ アサコ イワヤナギのサバサンドとは……元イタリアンのシェフがお魚を丁寧に捌くところからスタート(もっというと、旬なお魚をパティシエが見繕うところからスタート)。
そこからメインのお魚に寄り添ったソースを考え、立派なお料理にムチモチなリュスティックがそっと寄り添っているサンドイッチ。
オリエンタルな味付けは夏にもぴったりで、ドライトマトとレーズンがみずみずしくも濃いアクセントになっています(また今すぐ食べたい)。
自家製天然酵母のあんバターぱん
最後に紹介するのがサンドイッチ第一号! 岩柳さんも思い入れが深いというこちらのあんバターぱん。
酵母に振り回される日々の中、記念すべき最初の酵母でしっかりときれいにパンが膨らんだぞ!というメモリアルなパンだそうです。
生地はモッチリと柔らかく、なかに挟まるのは驚くべき量の餡子!餡子!餡子!
餡子の大渋滞。餡子好きにはたまらない一品となっておりますよ。
自家製の餡子(餡子って何回言うんだ)は後味がスッキリとした甘味が特徴的な北海道産「朱鞠」の小豆を使用。スッと消えるような甘さにバターの塩味が良い仕事をして絶妙なバランス……!
※パンのフォルムが素敵すぎて、しばらくこんな感じでツーショット写真を撮ってもらう。
何を食べてもおいしくて美しく、そして可愛いらしいパンたち。
現在は木曜日〜日曜日の週4日間をパンの販売としているのですが、なんと! 今後本格的に焼き立てのヴィエノワズリーなどを展開予定だそう。
むむむむむ! パン好きにはかなりの朗報。
秋を楽しみに待ちましょう♡
パンとパフェってどちらも可愛い! 続いてはパフェ子さんがアテンドする可愛いパフェをご紹介。
宝石のように美しい、食べられるアートなパフェ
はい! ここからはバトンタッチして、パフェ子こと編集Y子がパフェをレポートします。
パティスリィ アサコ イワヤナギの代名詞といえば、季節のフルーツを使った宝石のようなパフェ。食べるのがもったいないくらいアーティスティックな見た目もさることながら、新鮮なフルーツ使いや思いがけない素材の組み合わせにハッとさせられる、まさに魔法のようなパフェなのです。
今回いただいたのは、8月中旬頃まで提供予定の「パルフェビジュー® ペシュ」。一年を通しても一番人気という桃が主役です。
岩柳さん曰く、「奇をてらうことはせずに、純粋に桃のおいしさを味わっていただきたい」という想いで考案されたそう。
そんなシンプルな想いに反して、パフェの造りはとっても緻密! まず、グラスにはヴィエノアというサブレのような細長い焼き菓子が橋のように架かっています。さらにその上には、グラニテが入った薄いドーム状の飴細工の器が。なんて繊細なバランス……。スプーンを持つ手が震えます。
実は、このパーツには隠れたストーリーがあるのです。桃といえば、昔話でおなじみの桃太郎を連想したという岩柳さん。“どんぶらこっこ”と桃が川を流れていく情景をイメージしているのだそう。まさかの遊び心が素敵です!
飴が熱いうちにポンプで膨らませて作ったデリケートな飴細工。グラニテは氷なのですぐに溶けてしまいます。先に食べなければいけないことから、食前酒に見立てているのだそう! 微発泡ワインのモスカートダスティを使ったグラニテ、夏にぴったりの爽快感溢れる味わいです。
桃と生姜の予期せぬ出合い!
毎回予想外の組み合わせで意表を突いてきますが、今回桃に合わせたのはなんと生姜! 生姜のミルククレムーや桃の煎茶生姜マリネなどで登場します。そのような自由なアイデアはどこから?「和の素材でまとめようと考えたときに、薬味的な発想で生姜にしました。それと、夏は冷たいものを食べると体が冷えるので(笑)」と岩柳さん。昨年の桃パフェはワサビを合わせていてそれも驚いたのですが、今年は生姜をピリッときかせています。
生姜のミルククレムーは、ミルキーな味わいにほんのり生姜フレーバーを感じるなめらかな食感。バニラと生姜の甘辛コンビが絶妙です。もう一つ、生姜の他に重要な素材が……それは茶葉。茶葉を半分発酵させた包種茶はジェラートに。煎茶はソースやマリネ、乾燥させて先ほどのヴィエノアに入れたりとさまざまなかたちでアクセントに。煎茶生姜マリネは茶葉の苦味がきいていて、パフェの後半に雰囲気がちょっと変わる変化球になっています。「茶葉を食べる」という新しい提案! フランボワーズやレモンジュレなどの酸味を挟み、最後は煎茶山椒ソースでさっぱり、だけど印象的に締めくくります。
他にも、柑橘の水まんじゅうや柚香葛ジュレなど和を感じるパーツも一つ一つがおいしい。岩柳さんのパフェによく登場する葛ジュレですが、ゼラチンで固めたジュレよりも食感がもちっとしているのが特徴です。同じジュレでも異なる粉を使って食感の違いを表現しているのだそう。さすがです……!
桃を丸々一個分は使っているという贅沢なパフェ。生姜をマリアージュさせた、独創的な岩柳ワールド全開のパルフェ ビジューは唯一無二の幸福感を味わえます。
最後に、岩柳さんに今後挑戦したいことについて伺うと、フランスの伝統菓子を季節のフルーツやコンフィチュールなどでアレンジした、パティスリィ アサコ イワヤナギ流の伝統菓子を作っていきたいとのこと。もう一度勉強し直したい、と岩柳さん。そんな飽くなき探究心で、今日もお菓子がどんどん進化していくのですね。
アサコ イワヤナギ プリュスのリニューアルオープンや山梨県甲州市でのプロジェクトなど、これからの多面的な広がりが楽しみです。パンもパフェも! ぜひパティスリィ アサコ イワヤナギでお楽しみください。
PÂTISSERIE ASAKO IWAYANAGI
住所/東京都世田谷区等々力4-4-5
営業時間/11:00〜18:00(短縮営業中)
定休日/月・火
TEL/03-6432-3878
URL/https://asakoiwayanagi.net/
※通常、パンはテイクアウトのみです。
※パフェは完全予約制(予約サイト)。
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Photos: Tomo Ishiwatatari Text: Yuri Panno Edit & Text: Yukiko Shinto