パン野ゆりのぶらりパン歩き 大阪「La Tortuga」で伝説のパン職人のカンパーニュにご対面!
美味しいパンを求めて世界中どこまでも! パン愛にあふれたモデル山野ゆり改め“パン野ゆり”が、話題の新店から知る人ぞ知る逸品まで、津々浦々めくるめくパンの世界を独自の視点でお届け。大阪編第3弾は、北浜のフレンチ「ラ・トォルトゥーガ(La Tortuga)」でいただく、入手困難な絶品パン!
こんにちは! パン野ゆりです。 大阪に来た理由。それはラ・トォルトゥーガのパンを食べるため──。 今日は先日伺った大阪のラ・トォルトゥーガのパンをご紹介します♡ ラ・トォルトゥーガは大阪の北浜にあるフレンチレストラン。ビストロのようなカジュアルな雰囲気で、フレンチというと少し構えがちですが…背の高いグリーンとウッディなコミュニティーテーブルで和気藹々と過ごせる居心地の良いお店。 店内はお洒落な空間が広がっていて、友達、恋人、家族…誰を連れてきても気に入ってもらえるはず♫ お店の奥には厨房が広がり、「どんなお料理と会えるんだろう?」と期待が一気に高まります。
元々、私がここのお店に来た理由。
それは“竹内久典さんのパンが食べられる!”ということ!!
大阪にあった伝説のパン屋さん「ブランジュリ タケウチ」のシェフ、竹内久典さん。当時は毎日何時間も長蛇の列をつくるほどの大人気だったそうです。現在は神戸の生瀬ヒュッテというパン屋さんを営んでいるのですが、これまた予約困難なお店で…毎週月曜日に一週間分の電話予約を受け付けるのですが1,000回かけても繋がらないという噂!(私も一度トライしたのですが、繋がりませんでした。)
そんな竹内さんのパンが食べられるというので、こちらにお邪魔したのです♡ わくわく。
メニューを見て悩んでいると、スタッフさんから「2人でお越しの方は、前菜2つ、メインを1つで充分かと思いますよ。うちは割と量が多いので(にこり)。」とアナウンス。
親切なアドバイスに従うことにしました。
早速…アミューズとパンが来た!
オーダーを終えるとまずはアミューズと竹内さんのパンが到着。
やっと対面! これが、憧れていた…パン!!
こんなにもスピーディーな出会いに困惑しつつ、心の中が期待と食欲でメラメラと燃えてきた!!
やっと会えた!!!
竹内さんのカンパーニュだ!
なんだかご本人に会った様な気持ちになるのはなぜかしら? パンに竹内さんが宿っているみたいだ。
不思議です、そんなオーラがあるんです。
すごーく薄切り。見るからに音がしそうな焼き上がりのクラスト。トーストの良い匂い。
光ってる。とにかく美味しそう。ドキドキする。
「お気軽に手でお召し上がり下さい」
「はい、食べてみます!」
──「ガリッ」と「カリッ」の中間位の音──
!!!!!!目を大きく見開く。
手を口元に添える。指先に油がジュワリ、テカる。
「ONNNNISHIIIII!!!!」
美味しいと咄嗟に口から出たのですが、音の強弱とイントネーションが美味しさの衝撃で若干狂ってしまい、ローマ字読みのような感じになってしまっていたと思う。
私がお店へ伺ったのは夕方の6時で、ちょうど1回転目のお客様が勢揃い。ほぼ同じ時間にスタートするアミューズタイム、とにかく、クラストがカリッカリ! 音が弾けます。店内がまるでパンを齧る音で輪唱しているような不思議な空間に…なにこのゾーン!!!
中は豚のリエット。ペッパーがきいています。ジュワリ、ピリリ、ピリリ、ピリリ。
一体感とそれぞれの存在感を同時に感じながら、咀嚼で混ざり合う美味しさ。うっとり。
続いて出てきたのは厚めのカンパーニュ。先ほどのアミューズで使われていた同じパンですが、厚みが違うのと焼き加減でまるで違う生き物のよう。
ゆっくりとハムッとするクラム。気泡が綺麗、空気を含んで、歯が沈んでゆく。
小麦の味が強い。大地を食べているみたいだ! クラストの音も跳ねる。トーストバージョンよりは静かな音だけれど、芯の強い音。
お料理の彩りもきれい♡
こちらは前菜のカツオとタコとホタテと貝柱と…モリモリなセビッチェ(魚介のマリネ)。
こちらのマリネ液をぎゅーっとパンの端に染み込ませ、上には大好きなカツオとタコをオン。
「生魚もパンに合う~♡」
メインのお肉♡ ストウブ
メインは信州黒豚の骨付き肩ロース。
たっぷりなお野菜やキノコと一緒に、ストウブでじっくりと調理されています。
これがまぁとにかく、美味!!(×10000)
素材の旨味がたっぷりと滲み出て、それぞれが混ざり合ってコクが出ています。
このスープにパンをひたひたにつけて食べるのがまた美味しい。涙。
しばらくパンをストウブに浸して、クラストまでシミシミになるくらいが美味しかった。
最後はパンだけで食べよう。
スープにも、お魚にも、お肉にも‥どんなお料理とももちろん合うのですが、竹内さんのパンはそれだけではない気がする…。
「美味しいパンというのは美食において欠かせない存在」。かの有名なフレンチのシェフ、ポール・ポキューズ氏の言葉を思い出します。
竹内さんのパンはただ料理に添えられるモノではなく…お料理の全体的な雰囲気、食卓全土の士気を底上げしてくれる、スーパーカンパーニュ!
Photos & Text: Yuri Panno Edit: Yukiko Shinto