MTV 81 – Shibuya, City of Love and Culture 日本語原文を公開。 | Yuki Kawamura
Yuki Kawamura

MTV 81 – Shibuya, City of Love and Culture 日本語原文を公開。

 

http://www.mtv81.com/features/columns/shibuya-city-of-love-and-culture/

 

MTV 81さんのコラムページに記事を提供させて頂きました。私の書いた文を英文にして掲載して下さったのですが…下記に日本語の原文を掲載させて頂きます。少し長いのですが読んでもらえたら幸いです。

 

愛と文化の街、渋谷道玄坂

by VENUS KAWAMURA YUKI(shibuya OIRAN Producer)

 

東京を代表する歓楽街、渋谷。原宿は「カワイイ」だとすると渋谷は「カッコイイ」

カジュアルでクールなファッションと、90年代に世界でムーブメントを起こしたPizzicato FiveやLove Tambourinesなどの渋谷系カルチャーから続く、DJ感覚を重視したストリート・ミュージックに溢れた街です。

ストリートではミュージシャンが演奏していたり、中でも渋谷の道玄坂では、次世代の音楽シーンを担うバンドやDJが、500~1000キャパのライブハウスやクラブにて毎夜のごとくプレイ、他にも前衛的なアートフィルムを上映する映画館や映画学校が、人々が愛し合うラブホテルと共にひしめき合う「愛と文化の街」なのです。

 

私が経営するお店は、名高いクラシックの演奏家たちが公演を行うオーチャードホールから渋谷道玄坂に入り、すぐ左側の赤い外装の木造一軒家に「しぶや花魁」という名前で2010年の5月にオープンしました。

 

10代後半~20代後半まで、私はDJや仕事で海外を行き来することが多く、沢山のカルチャーを吸収してきました。中でも印象的だった事が二つあります。

一つはパリのマレ地区に長期滞在していた頃、古い建物ほど価値があり、エレベーターのないアパルトマンの最上階の部屋は大変な価値があるということ。古いものを大事に扱い、多少不便な事があっても歴史や美を重視して暮らしてゆくという意識に衝撃を受けました。私の親の世代は新築ほど価値があり、家電製品も新しいものに取り替え、高度経済成長と消費文化の真っ只中を生きてきました。私は心の中で愛着を持って物を大切に使い続けたい気持ちがありましたが、その声は届きませんでした。

大人になってから同じような意識を持つ仲間に出会い、その頃には時代も変わり、世界ではリーマンショックが起こり、再開発も見送られるようになりました。「しぶや花魁」の建物は築50年の木造の建物です。取り壊される予定でしたが、リノベーションしてお店を作ろうという話になり、現在があります。「密林不動産」という古い建物を大切にして物件の紹介をする会社を営む友達、古材を使い改築を得意とする「さとうこうじデザインオフィス」を構えた友達、この二人とは20代の前半にクラブのダンスフロアで出会いました。

不動産屋、スペースデザイナー、プロデューサーである私達が手を組んで発表した、我らの世代の意見の集合体が「しぶや花魁」なのです。資源のない日本ですから、建物を大切にして手入れをして、新しい感覚を作ってゆきたい。私がパリで古いアパルトマンで暮らす日々に感じた静かな感動が、この東京は渋谷で一つの到達点を迎えた瞬間でした。

 

二つ目はダンスミュージックの楽園こと、スペインのIBIZA島にて。PachaやAmnesiaなど有名なクラブが乱立するパーティ島として有名ですが、そこで敬愛する「Cafe del mer」のDJ&コンパイラーで知られるホセ・パディーヤの紹介でAna Mariaという女性に出会いました。

彼女は創世記よりPachaのダンサーとして活躍、その後にナイトクラビング前のクラバーや出勤前のクラブ関係者、プレイ前のDJからディナー後のセレブリティまでが訪れるウォームアップ・バー「DOME」を、IBIZA TOWNというクラブが最も多く在るホットスポットにオープン。まさに真夜中の社交場として機能している場のアイディアとエナジーに大きな衝撃を受けました。

「しぶや花魁」の位置する渋谷道玄坂にて、あの物件の相談を受けた時に沸いたインスピレーションは一生忘れられないことでしょう。

日本のIBIZA TOWNとも言える道玄坂にてウォームアップ・バーを作りたい。出来れば日本の立ち飲み屋の様式と、憧れ続けた80年代ニューヨークの「Studio 54」で多くの文化人が出会い社交を繰り広げたVIP Roomを融合した、押し寄せる情報をミックスアップした東京は渋谷道玄坂ならではの「ウォームアップ・バー」というスタイルを確立したいと思いました。

 

「しぶや花魁」もオープンから、もうすぐ四年を迎えようとしております。参加型アートのように多くのお客様に加え、アーティストやプロデューサーの皆様に愛されて、渋谷道玄坂を代表する社交場として日々の営業を重ねて参りました。

 

これからの事として、この度、しぶや花魁に集う若い才能を世界に紹介するべく渋谷道玄坂発の音楽ブランド「OIRAN MUSIC」を設立させて頂きます。多くの才能があつまり、コラボレーションや作品が産まれていった場所「しぶや花魁」としては、自然な流れだったと感じております。

 

第一弾として「OIRAN MUSIC」のプロデュースにより、昨春にアムステルダムにて開催されたオランダ新国王の即位イベントでは、世界的に有名なダッチトランスDJのアーミンがトランスを爆音でプレイ、DJブースの設置されたステージに新国王と女王が上がり、国民全体が歓喜の声をあげるなど、

まさに21世紀のダンスミュージックの聖地としての未来が期待されるアムステルダムの人気レーベル「7Stars Music」より、本場アムステルダムが認めた才能として気鋭のDJクリエイター「Sakiko Osawa」が2月6日(木)に世界配信リリースを果たしました。

 

その他にも渋谷の某デパートに壁画を施すなど、話題の芸術家アイドルユニット「ナマコプリ」(マコ・プリンシパル&ナマコラブ)とのカワイイ・カルチャーとカッコイイ・カルチャーをコラージュして横断してしまう先鋭的なプロジェクト、4月には「しぶや花魁」の関連アーティスト達を集めた初のコンピレーションCDである「shibuya OIRAN warmup music vol.1」の発売など、渋谷道玄坂カルチャーと世界を結ぶパイプ役として、「しぶや花魁」そして「OIRAN MUSIC」、私…ヴィーナス・カワムラユキは本能に忠実にプロデュースをしてゆきたいと思っております。渋谷道玄坂から東京を日本を世界を…ウォームアップしてゆきましょう!

 

 

 

Release Party at しぶや花魁、ご来場ありがとうございました。

次回は4月11日(金)「Sakiko Osawa presents Tokyo Eternal Triangle meets 7 Stars Music from Amsterdam Night」を、N.YよりDJ Frank Lamboy、そしてアムステルダムより「7 Stars Music」オーナーのSaga Bloomをお迎えしてお送りします。

お楽しみに。

 

 

Profile

venus kawamura yuki
TOKYO
DJ, lyricist, OIRAN MUSIC producer

渋谷を拠点に活動中のDJ&プロデューサー。98年よりフリーランスのプロデューサーとして、ヨーロッパのダンス・ミュージックのプロモートや、企業のプロモーション企画、イベント制作を担当。2000年から、DJ及びライターとしての活動をスタートする。2003年頃より「Love Parade Mexico」IBIZA島「amnesia」パリ「Batofar」にDJ出演。その後は、ファッション・ショーの音楽演出や「inner Resort」コンピレーションCDシリーズの監修など、バレアリックやチルアウトを軸に独自の選曲感を展開。近年は作詞家として、「バクマン。」「NARUTO」などのアニメ主題歌や、Sam Smithのグラミー賞受賞曲「ステイ・ウィズ・ミー」日本語詞など多くの作品を手掛ける。2014年にはミュージック・ブランド「OIRAN MUSIC」を設立。Sakiko Osawaやナマコプリなど、新たな才能を輩出する。現在は音楽エッセイ連載「渋谷で君を待つ間に」をスタート。毎週第一月曜16時〜渋谷のラジオ「道玄坂爆音部」、毎週金曜20時〜block.fm「shibuya OIRAN warm up radio」にて、選曲とナビゲーターを担当中。

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