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Culture Post

ポスト・ソフィアを探せ! 注目の新世代女性クリエイター

女性に支持される女性クリエイターにも新しい波がやってきた。自分らしい表現を自ら探る、ミレニアル世代の動向をガールズカルチャーに精通する野中モモが解く。(「ヌメロ・トウキョウ」2018年4月号掲載)

Text:Momo Nonaka Edit:Sayaka Ito


グレタ・カーウィグ 『フランシス・ハ』より。©Pine District, LLC.

いつの時代にも、ファッションやエンターテインメントの世界で華々しく活躍し、女性たちの憧れのまなざしを集める特別なパーソナリティたちがいた。2010年代も終盤にさしかかった現在、そうしたポジションに立つ存在の特徴として一つ挙げられるのは、ネットを駆使したセルフプロデュースに長けていることだろう。優れた才能が大衆うに「見つかる」までの道のりは、SNSの普及によってますます多様化した。かつてのように権威のある賞を獲ったり、業界の有力者に気に入られたり、セレブリティの二世に生まれたりしなくても、今日のクリエイターたちはInstagramやYouTubeを利用して直接世界へ発信することができるのだからそれも当然だ。


ペトラ・コリンズ ©Aflo

たとえば、現在25歳のペトラ・コリンズはフォトグラファーとしてもモデルとしてもビッグメゾンから引っ張りだこだが、彼女の存在感を高めたのは、美しく着飾ってポーズを決める姿以上に、ビキニラインからアンダーヘアがはみ出ている写真をInstagramに投稿し、運営に削除された事件だろう。決していかがわしいとはいえないイメージだったにもかかわらず、検問の対象とされたとき、女性のリアルな肉体を認めないメディアの性差別的な姿勢を堂々と批判して共感をよんだ。ペトラと同い年のルピ・クーアも、詩とイラストが一体となった作品をInstagramに投稿するという、今の時代ならではの表現するスタイルを開発して新しい読者層を獲得した。


ルピ・クーア ©Balijit Singh


ココ・キャピタン Courtesy of Delfino Sisto

こうしてネットを舞台にした若い世代による自由な創作活動が花開く中で、ファッション界のビッグネームは今もなお新進気鋭のアーティストがひときわ大きなスポットライトを浴びるきっかけを提供できることを証明したのが、ココ・キャピタンの躍進だ。ロンドンのアートスクールを卒業したばかりで、雑誌や自身のウェブサイトに作品を発表していた彼女は、グッチとのコラボレーションで一躍有名になった。

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ジュリア・デュクルノー ©Pieter De Ridder

映画の世界でも、インデペンデント作品で腕を磨き、女性の身体感覚を鋭く表現してみせる才能が大きく羽ばたいている。ニューヨークの樹種映画のシーンから女優としてメジャーに進出したグレタ・カーウィグは『レディ・バード』で監督・脚本家としても異例の高評価を得た。フランスで大絶賛された青春ホラー映画『RAW〜少女のめざめ〜』のジュリア・デュクルノー監督も、新しい波を感じさせる存在だ。きれいなハッピーだけでなく、生々しい痛みや憂いを果敢に表現し、自分の意見を表明する覚悟を備えた女性たちが、次の時代を切り拓く。

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映画界に新風を吹き込む
Greta Gerwig(グレタ・ガーウィグ)

1983年、米カリフォルニア州サクラメント生まれ。2000年代にアメリカの自主映画界で頭角を現し、 「マンブルコア」と呼ばれる自主映画のムーブメントの中心人物の一人として認知されるように。メジャーに進出してキャリアを積み、主演に加え共同脚本を務めた『フランシス・ハ』(12)が 高く評 価された。 日本公開が控えている『レディ・バード』(17)は、脚本も手掛けた初の単独監督作品。自身の青春時 代を反映した少女の成長物語で、作品賞を含むアカデミー賞主要5部門にノミネートされている。


『レディ・バード』
単独監督デビューとなる作品。監督・脚本:グレタ・ガーウィグ 出演:シアーシャ・ローナン、ローリー・メトカーフ 
TOHO シネマズ シャンテ他にて全国ロードショー  © Merie Wallace, courtesy of A24


『フランシス・ハ』
グレタが主演した、ノア・バームバック監督作。 DVD¥3,800 発売元:新 日本映画社 販売元:ポニーキャニオン ©Pine District, LLC.

映画『レディ・バード』の情報はこちら


『Coming of Age』(Du Books)より

SNS世代の代表的アイコン
Petra Collins(ペトラ・コリンズ)

1992年、カナダ生まれ。妹や友人、自らを被写体に思春期の揺らぎを切り取った作品をきっかけに、フォトグラファー兼モデルとして脚光を浴びる。グッチやブルガリ、アディダスなどの大きなクライアントワークを手掛けるだけでなく、女性クリエイターのためのプラットフォーム的なウェブサイト「The Ardorous」 を立ち上げ、タヴィ・ゲヴィンソンが編集長を務めるウェブマガジン『ROOKIE』で活躍するなど、若い世代の女性たちと共にあろうとする姿勢で人気に。作品集『Coming of Age』にはエッセイも収録。『ヌメロ・トウキョウ』6月号では、表紙と合わせて彼女自身のスタイルとクリエイションを大特集。

ペトラ・コリンズのインタビューも読む


Courtesy of Krista

卓越したウィットとアイロニー
Coco Capitan(ココ・キャピタン)

1992年、スペイン生まれのフォトグラファー、アーティス ト。ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートで写真とアー トを学び、2016年に修士号を取得。グッチの17年AWコレクションでコラボレーターとして大 抜 擢され、世界的に注目を浴びる。クラシックなグッチのロゴに、「COMMON SENSE IS NOT THAT COMMON(常識はそれほど常識的ではない)」といったラフな手書き文字のスローガンが重なるシリーズで強い印象を残した。ミュウミュウ、パコ・ラバンヌ、マルベリーとのコラボレーションも。

ココ・キャピタンとグッチのコラボを詳しくみる


『RAW〜少女のめざめ〜』
監督・脚本:ジュリア・デュクルノー 出演:ギャ ランス・マリリエ、エラ・ルンプフ 全国公開中 ©2016 Petit Film, Rouge International, FraKas Productions. ALL RIGHTS RESERVED.

美学を持った身体的表現で虜にする
Julia Ducournau(ジュリア・デュクルノー)

1983年生まれ。フランス、パリを拠点に活動する映画作家。短編映画『Junior』(2011)がカンヌ国際映画祭で評価され、女優ギャランス・マリリエと再び組んだ『RAW〜少女のめざめ〜』(16)で長編監督デビュー。大学に入学したばかりの真面目な少女が自らの隠された欲望を自覚していくグロテスクかつショッキングな内容だが、女性の身体感覚を大胆不敵に表現して各地の映画祭で喝采を浴びた。


『ミルクとはちみつ』
ルピ・クーア/著 野中モモ/訳 (アダチプレス)

言葉で世界中の人に寄り添う
Rupi Kaur(ルピ・クーア)

1992年、インドのパンジャーブ州に生まれ、4歳のときに家族でカナダに移住。生きる痛みと愛の喜びを率直に綴った詩とイラスト作品をインスタグラムに発表して注目に集め、フォロワー数は220万人以上。一冊目の詩集『ミルクとはちみつ』は100万部を越える大ベストセラーに。現在では日本語を含め30カ国語以上に翻訳されている。2017年には第2詩集『The Sun and Flowers』を上梓。

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