usagi bon ごはん vol.83 筍とあおさのすり流し | Numero TOKYO
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usagi bon ごはん vol.83 筍とあおさのすり流し

アーティスト河原シンスケがプロデュースする「usagi」監修の、レストラン「Univers S.」シェフ今平慎太郎の料理をわが家に。旬の食材や一皿にまつわるエッセイとともに送る、五感で楽しむビューティフードの秘伝レシピ連載。第83回は、筍とあおさのすり流し。

筍とあおさのすり流し

筍も皮付きを使えば、水だけでも十分に美味しく作れます。塩の代わりに白味噌を使っても美味しいスープになります。

【材料】 2人分

筍(茹でて皮を剥いたもの) 100g
玉ねぎ 60g
あおさ 少々
水 240ml
ご飯 25g
ラー油 少々
精製していない塩 ふたつまみ
オリーブオイル 少々

【作り方】
1. 鍋にオリーブオイルを入れ、スライスした筍と玉ねぎを炒める。
2. 筍の香りがしてきたら、水を入れ、ご飯を入れて10分くらい弱火で軽くとろみがつくまで煮る。
3. 2をミキサーにかけて、塩で味を整える。
4. 3を30mlくらい残し、あおさを溶いておく。
5. 3を器に盛り、4を上から流し、ラー油をお好みで数滴おとす。

竹パワーと人間の貪欲さはどっちが上?

人類の貪欲さは、まず生命体を維持する為の食べれる物を探す、次にそれらがどれだけ美味しいかという欲望が加わっていく。

竹は、その成長の勢いが凄まじく、最近では放置竹林で山林が荒れ果てているという問題が発生している。筍を食した歴史は古事記にも記されてはいるが、実際に食用にされ始めたのは、中国から伝来した外来種の孟宗竹という説が濃厚で、その後京都と鹿児島にもたらされた。そして江戸時代には東京物も有名で、初物好きの庶民がこぞって食べたがったのが、目黒が産地の筍だったようだ。

ただ、戦火で都市部の竹林は一気に減少、逆に山間部の竹林は増殖の一方で、現代に至っては山を荒らす原因となる程広がって問題となっている。水煮にされた安価な中国産が一般的になってスーパーには並び、国産筍はすっかり高級品となってしまった。みんな本当は食べたいのに残念でしょうがない……。竹林に限らず、自然とともに生きてきた人間が途中ちょっと失敗して回り道、またここに来て初物に強く惹かれているのに、簡単に手に入れられないなんて……。

竹の根元からこの辺か? そろそろか? ってわざわざ掘り出して、外側の皮を何枚も剥がしてやっと出て来る筍。それを焼いたり、湯がいたりして食べる。貪欲以外の何ものでも無い筍歴史。さて、今後はどんな展開になっていくのだろうか。

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Art Work & Text:Shinsuke Kawahara Photo & Food Direction:Shintaro Imahira Edit:Chiho Inoue

Profile

河原シンスケShinsuke Kawahara 80年代初頭よりパリを拠点に活動するアーティスト/クリエイティブディレクター。エルメス、ルイ・ヴィトンやバカラをはじめ、数々のブランドや雑誌とのコラボレーションでも知られている。2021年4月11日まで、ベルギーのELEVEN STEENSギャラリーにて展覧会を開催中。www.elevensteens.com (Photo: Keiichi Nitta)
今平慎太郎Shintaro Imahira 1974年、北海道出身。旭川、札幌のホテルで修行を積み、2014年札幌国際芸術祭のガラディナーで河原シンスケと初コラボレーション。17年の「usagi tokyo」立ち上げのため、上京しシェフに就任。19年2月札幌にレストラン「Univers S.(ユニヴェール エス)」をオープン。 Instagram/@univers.s.2019(Photo: Ayako Masunaga)

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