Chim↑Pomエリイの京都ひとり旅
比叡山厄払い&厄除け散歩
現代アーティスト集団「チンポム(Chim↑Pom)」の一員として、展覧会やアートイベントで世界中を飛び回るエリイ。プライベートでもかなりの旅好きというエリイが比叡山に建つオーベルジュ「星野リゾート ロテルド比叡」が主催する旅のプログラム「比叡山やくばらい散歩」に参加。延暦寺から日吉大社まで巡って、厄除け&厄払いを1日で満喫できるお散歩フルコースをご案内。
比叡山延暦寺にて朝のお勤め体験
前日に、比叡山に建つオーベルジュ「星野リゾート ロテルド比叡」に泊まり(こちらでのメインイベントはもちろん食事なので、その様子は後ほどご紹介します)、「比叡山やくばらい散歩」の体験メニューのひとつ、延暦寺の国宝、根本中堂(こんぽんちゅうどう)での朝のお勤めに参加すべく、朝6時に出発。これは比叡山内に宿泊している人だけの特別な体験なのです!
延暦寺へ向かう途中に見えた、琵琶湖に差し込む朝日の美しさに思わず感動。「ムンクの絵みたい、こんなきれいな朝日を見ることができて幸せ。お伊勢参りの旅で、猿田彦神社で出会った田んぼおじさんの教えを聞いて以来、神聖な朝に参拝することの大切さを感じ続けて今に至ってます」(エリイ)
現在、根本中堂は改修工事中のため(2026年までの予定)、残念ながらこのような荘厳な建物の全貌を見ることはできません。
比叡山延暦寺といえば、ユネスコの世界文化遺産にも登録される、言わずと知れた日本を代表する名刹。今から1200年ほど前、天台宗の開祖である最澄が比叡山に開山した。また日本仏教の母山とも仰がれ、鎌倉時代には、法然、栄西、親鸞、道元、日蓮などの祖師も修行に訪れたのだそう。
大きく、東塔(とうどう)、西塔(さいとう)、横川(よかわ)の三塔の地域からなり、その中心的な東塔地域にある総本堂、根本中堂の内陣には、開山以来1200年の間、守り続けている「不滅の法灯」もある。このプログラムでは、都の鬼門を守る勤めとして、毎朝京都御所に向かって行われている祈祷に参列。凛とした朝の空気の中、歴史ある厳かな場に居合せ祈祷を体験できるだけでも心が洗われる気がしてきます。
しかもエリイは、なんと説法を聞いているときに、「自分のことを大切にしなさい、ということを周りの人にも伝えて行きなさい」と教えが降りてきたという⁉︎ その真偽のほどはともかく、「鬼門を守るために、京の都に向かって、1200年の間、絶やすことなく毎朝ご祈祷を捧げているということに心を打たれました」とエリイ。
大講堂へ続く坂道の入り口には福田海(ふくでんかい/一生を人間のために尽くす牛の供養を実践することで知られる宗教法人)奉納の牛像。延暦寺の山門に当たる、根本中堂の東側にある文殊楼の前で。
延暦寺のお堂巡り〜おみくじの祖、元三大師堂へ
朝のお勤めの後は、いったんホテルに戻りチェックアウト。その後、「比叡山やくばらい散歩」を続行。まずは、再び延暦寺の東塔地域へ。
せっかくの機会なので、鐘楼にて鐘をつくエリイ。「音ってエネルギーを持っているから、鐘をつくことできっと何かが浄化されていくような気がします」
さらにエリイは、大講堂にて写経も体験。「祖母が亡くなった1週間後に夢枕に立ち、写経をするよう言ってたのを思い出しました」のだとか。写経の感想を尋ねると、「写経中に横にいたおばさんに『写経の用紙がどこにあるか』と聞かれ、こんなに集中している時に話しかけてくるなんて無神経だなと思ったけど、そんなことで集中力が切れる自分の精神性の弱さを実感するという気づきがありました」(エリイ)
宿坊 延暦寺会館にて休憩。自分の干支の梵字を入れてくれるカフェラテを。梵字には、さまざまな功徳を与え、災難から守るとの言い伝えがある。
また、今回のプログラムには含まれていないが、エリイの友人で作家の辻仁成さんから比叡山にいるなら必ず訪問すべきと薦められた、おみくじ発祥、魔除けの角大師として有名な慈恵大師良源(じえだいしりょうげん)を祀っている、元三大師堂(がんざんだいしどう)を参拝すべく、横川地域まで足を伸ばすことに。
ここでいう元祖おみくじは、よくある運だめしや願掛けに引く通常のものと違い、いま抱えてる悩み、選択すべき道の迷いを大師様に具体的に打ち明け、その上で大師様が祈願しておみくじを引いてお導きをしてくれるという、約1〜2時間に渡る説法。そんなことも知らずに訪れたものの、事前に手紙や電話での予約が必要なため、この日は、厄除けの護符、角大師のお札だけ授かることに。(2019年1月10日からは、「比叡山元祖おみくじ一人旅」プログラムもスタート)
ちなみに、角大師とは、かつて全国に疫病の神が徘徊し、多くの人々が病に冒されるという事態に見舞われ、それを救うべく大師様が鏡の前で自分の姿を映し、座禅に入ると、次第に角が生え夜叉のような姿となった。その姿を弟子の一人が絵に写し取ったものをお札にして配布し、戸口に貼り付けるよう命じたことで、見事に病魔が退散したという。以来1000年以上もの間、このお札のある所には、病魔は寄り付かず、厄難から逃れられると言われているそう。
比叡山延暦寺
住所/滋賀県大津市坂本本町4220
TEL/077-578-0001(代表)
URL/www.hieizan.or.jp/
2000年の歴史が宿る、日吉大社にてやくばらい
延暦寺を後にし、次に向かったのは、比叡山の麓に鎮座する、2000年以上の歴史がある日吉大社。日吉大社は、全国3,800余りの日吉・日枝・山王神社の総本宮。平安京遷都の際、都の表鬼門に当たることから、魔除・災難除を祈る社として、延暦寺の守り神として知られている。国宝である、西本宮、東本宮の他にも、社殿、石橋など自然豊かな広大な敷地内に、多くの重要文化財が存在する。
まずは、国宝、日吉大社西本宮の拝殿にて厄払いのご祈祷をしていただきました。祝詞の読み上げ、お祓いの後、玉串拝礼をして厄払い。「オープンエアの開放的な社殿でのご祈祷なので、お祓いの時に風が通り抜けていくたびに、清々しい気の流れを感じました」(エリイ)
古来より日吉といえば、猿と言われているそうで、いつの頃から魔除けの象徴として扱われるようになったとか。「まさる」は「魔が去る」「勝る」に通じ、神猿(まさる)さんは、縁起のよい猿として祀られている。境内に流れる小川の滝の水で清めるエリイ。「お祓いした後、さらに清められた気がする」
山王総本宮 日吉大社
住所/滋賀県大津市坂本5-1-1
TEL/077-578-0009
URL/http://hiyoshitaisha.jp
延暦寺の門前町、江戸の風情を残す、坂本を散策
比叡山の麓にある、延暦寺の門前町として栄えた、坂本は、街のあちらこちらに江戸時代の面影を今に伝える、風情ある石塀の建物や史跡が残っている。
約3000平方メートルもの見事な回遊式庭園を誇る、「旧竹林院」に立ち寄りました。延暦寺の僧侶の隠居所として今も数多く残る里坊の一つで、国指定名勝庭園にもなっている。「庭園の苔が美しく、光が全然違う。緑に反射した優しい光に包まれ、庭園の内と外では、まるで別世界」(エリイ)
旧竹林院
住所/滋賀県大津市坂本5-2-13
時間/9:00〜16:30(最終受付)
休園/月曜(祝日の場合は、翌日)
料金/大人¥320
創業300年の老舗蕎麦屋「本家鶴喜そば」の伝統の味
昼食は、坂本の地で、江戸時代より愛されてきた創業300年の老舗蕎麦屋「本家鶴喜そば」にて。歴史を感じさせる店構えからも伺い知れるように、ここは大正天皇から昭和天皇の間、東宮殿下御用達として宮中年越蕎麦を納めていたという由緒ある店でもある。今回のプログラムのオプションとして、参加者のための特別メニュー「やくばらい蕎麦」をいただきました。
せいろ蕎麦、五色のあられの乗った蕎麦団子のお椀、湯葉料理、天ぷらなどの縁起物が揃ったセット(¥2,500/「ロテルド比叡」チェックイン時に要予約)「蕎麦はとても美味しいのでおすすめ。あられの乗ったお椀は見た目にも美しいし、とろみがあってアツアツでとにかく美味しい」(エリイ)
本家 鶴喜そば
住所/滋賀県大津市坂本4-11-40
TEL/077-578-0002
営業時間/10:00〜17:30(L.O.)
定休/第三金曜・元旦
URL/www.tsurukisoba.com
比叡山に建つ、オーベルジュ「星野リゾート ロテルド比叡」にステイ
オーベルジュ滞在といえば、一番のお楽しみは、なんといっても食事。ここ「星野リゾート ロテルド比叡」では、近江の食材や古来より伝わる発酵の文化を取り入れ、新しいアレンジを加えたフレンチのディナーを楽しめる。また、館内では、琵琶湖を望むテラスのカフェやライブラリーにて、好きな時に自由にスイーツやティー、コーヒーをいただきながら、優雅なくつろぎのひと時を過ごすことも。
琵琶湖を見下ろす絶景を一望できる、山床カフェで、チェックイン後は、アフタヌーンティー。近江発酵茶3種を飲み比べ。
ディナーまでの間に開催される、ワインテイスティング講座に参加。ソムリエが飲み比べによって、ワインの品種や発酵過程を楽しくレクチャーしてくれる。この日は、ドイツ、山梨、フランス産の白ワインのテイスティングにトライ。その結果はというと、「毎晩、あんなにお酒を飲んでいてワインの味も分かってるつもりだったのに、全問不正解ってマジ不甲斐ないです(笑)」(エリイ)
ライブラリー&カフェでのんびり過ごすのもおすすめ。発酵近江茶からハーブティー、コーヒーまで揃うドリンクバーが用意されている。
レストラン、ロワゾ・ブルーにて、お待ちかねのディナー。近江の地元食材や、この地に古くから伝わる発酵という文化に着目し、アレンジした「発酵フレンチ」のコース料理を堪能しました。なかでも、2年塩漬け、1年飯漬け、1年酒粕漬けの4年かけて熟成させた「鮒酢甘露漬け」とフォアグラのテリーヌは独特の味わいの一品。
ほかにも、「太刀魚・蕪・川海老のエッセンス」「国産和牛のロティ 赤ワインソース キノコ添え」「子持ち鮎 クスクス 葉唐辛子」など目にも美しい、個性豊かな料理に大満足。
比叡山やくばらい散歩
6:30延暦寺にて朝のお勤め(冬季は7:00)
9:45延暦寺やくよけ参拝
12:00日吉大社にてやくばらい祈祷
13:30本家鶴喜そばにてやくばらい蕎麦(オプション¥2,500)
料金/1名¥3,700(税・サービス料込み)
※ホームページより3日前までに要予約
星野リゾート ロテルド比叡
住所/京都府京都市左京区比叡山一本杉
TEL/0570-073-022(星野リゾート予約センター)
料金/1泊2食付き¥24,000〜(2名1室利用時1名あたり)
URL/http://hr.hotel-hiei.jp
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Photos:Ellie, Masumi Sasaki Edit&Text:Masumi Sasaki