Trip / Feature

ここは日本? モダニズム建築でカラダにいいこと三昧の初Airbnb体験

たまたまネットで見かけ、一目惚れしてしまった南伊豆のヴィラ。緑深い山の中腹に建ち、デッキからは駿河湾を一望にするロケーション。「ここ、泊まってみたい!」。調べてみると、民泊などユニークな宿泊施設が登録されている「Airbnb(エアビーアンドビー)」。聞いたことはあるけれど、実際、民泊ってどうなんでしょう? 初挑戦にして、想像を超えた体験が待っていました。

1960年代から構想が始まり、完成したのは1974年。50年近く経ってもモダンなデザイン。
1960年代から構想が始まり、完成したのは1974年。50年近く経ってもモダンなデザイン。

南伊豆の海と山に溶け込んだ、ガラス張りのヴィラ

ネットで南伊豆の宿を探していた時に発見したのが、今回ご紹介する「Izu Cliff House(伊豆クリフハウス)」。緑の山間から海へと突き出たようなガラスのボックスのような建物で、デッキテラスにはハンモックが吊るされています。南伊豆の豊かな自然とひとつになれる滞在ができそう!

調べたところ、窓口となっていたのが民泊などの施設が登録されている世界最大級の旅行コミュニティプラットフォーム「Airbnb」。その名は聞いたことがあるし、友人から利用した話を聞いたこともあるけれど、一体どういうシステム?

ここ数年、浸透してきた民泊という宿泊スタイル。その仲介役的存在なのが、Airbnb。個人宅や貸別荘などを、インターネットを介して広く一般に貸し出すシステムで、その物件を集めて紹介しているサイトのひとつです。

手順としては、まずは登録を行います。そして、プロパティ選び。目的地などで検索し、ベッド数やアメニティ・設備などで宿の内容を確認し、ユーザーのレビューもチェック。今回の「Izu Cliff House」のコメント欄には、景色を絶賛する声が多く、期待がさらに高まります。

予約を完了すると、スーパーホストからAirbnbのメッセージボードに連絡が入ります。そのメッセージには、宿泊オプションとしての朝ヨガセッションやビーガン料理の配達の提案と連絡先、周辺のレストランやスーパーなどのインフォメーション、アクセス方法などが詳しく紹介されていました。

朝ヨガ、トリートメント、ビーガン料理は、記されていたそれぞれの連絡先に即コンタクト。予約もばっちりです。

「ドローンでの撮影もおすすめ」とあり、ためしに購入。挑戦したものの、あえなく損失……。木々に引っ掛からないよう、上手にドローンを操作できる人、ぜひおためしを!

緑に包まれたガラスの家は今では貴重な国立公園の只中

今回は、カメラマンの望月みちかちゃんと、NYから戻ってきたモデルの古屋美華ちゃんとライター古関の、気ままな女子3人旅。

くねくねとした伊豆半島の山道を右に、左に、ハンドルを切り、何度か道に迷いながらたどりついた「Izu Cliff House」。木々に目隠しされて通りからは全体像はわかりません。小径を下りていくと、茂みからパッと目の前にガラスの建物と、大海原が視界に飛び込んでくる仕掛けです。

瑠璃色の海と緑に覆われた海岸線。人工物が視界に入ってきません。
瑠璃色の海と緑に覆われた海岸線。人工物が視界に入ってきません。

一気に絶景が広がる、このファーストインパクトに女子3人、思わず歓声をあげてしまいます。

この建物は、物理学者とフランス文学者のご夫妻が、別荘として1960年代から構想し、完成したのは1974年のこと。築50年近いというのに、これほど“古民家”という言葉が似合わないモダンな建物はないでしょう。

2階の一画には畳エリアが。布団を並べて、眠ります。
2階の一画には畳エリアが。布団を並べて、眠ります。

とはいえ、現オーナーの“スーパーホスト”(Airbnbで評価の高いホスト)の坂田華さんが、はじめてこの家を見たときは、打ち捨てられた廃墟同然だったとか。ガラスは割れ、蔦が絡まった鉄筋は錆付き、床は泥だらけ。

それでもロケーションに一目惚れして、その日のうちに、購入を決定。それから数年かけて少しずつ手を加え、改築を行い、今の姿になったそうです。その費用の総額は、新築を買った方がお得なくらいだったとか。

早速、女3人でヴィラ内を探検です。まずは入口に用意されている、除菌スプレーを手の平にシュッ。入口は網戸もあるので、室内の換気は海風が行ってくれます。

1階のリビング&ダイニング。日差しがたっぷり注ぎます。
1階のリビング&ダイニング。日差しがたっぷり注ぎます。

1階のキッチンとバスルームの合間にある、ソファエリア。
1階のキッチンとバスルームの合間にある、ソファエリア。

「Izu Cliff House」は2階建て。海に面してほぼ3面の壁がガラス張りになっています。1階は調理器具が整ったフルキッチンとリビング&ダイニング、そしてバスルーム&トイレ。

吹き抜けの造りになっています。
吹き抜けの造りになっています。

2階の一画には畳エリアが。布団を並べて、眠ります。
2階の一画には畳エリアが。布団を並べて、眠ります。

2階は畳敷きの一画があり、そこに布団を敷くことができます。1~2階は吹き抜けになった造りで、周囲の自然とガラス窓を隔て、シームレスにつながって見えます。

圧巻は、建物の前のデッキテラス。

華さんが増設したこのテラスは、まるで木々の合間から海へと突き出したステージのよう。縁に座って梢の合間からまっすぐな水平線を眺めれば、まるで宙に浮かんだ気分がしてきます。足下にはオレンジ色の岩肌と瑠璃色の海、そして打ち付ける波音が風に乗って運ばれてきます。人工物が視界にないのも手伝って、「一体、ここはどこなんだろう」と、日本であることを忘れさせます。

改築時に加えたデッキテラス。
改築時に加えたデッキテラス。

木々に吊るしたハンモックに揺られるのも、ごきげんです。読書しようと本を手に横になっても、ゆらゆらしているうちに、心地良さからつい寝落ちしてしまいます。

車で約20分のスーパーで買い出しをし、カメラマンのみちかちゃんがその日の調理を担当。残りの2人は単なる足手まといなので、シャンパン片手にリビングで待機です。この現実離れした空間にいるだけで、気分は盛り上がります。

この日は曇りぎみでしたが、西向きなので壮大なサンセットの期待大。
この日は曇りぎみでしたが、西向きなので壮大なサンセットの期待大。

翌日は、日の出とともに起床。海に面した吹き抜けの窓にはカーテンがないので、太陽が暮らしのリズムの基本となります。それはそれで、人間らしい1日の始まりです。

ビーガン料理のケータリングやヨガにマッサージなど、アレンジもOK

スーパーホストの華さんが滞在前に、いくつか提案をしてくれました。朝ヨガ、スパ・トリートメント、そしてビーガン料理のケータリング。この自然の真ん中のヴィラで体験するには、どれも魅力的です。

滞在初日にお願いしたのは、下田在住のトモコさんによる出張スパ・トリートメント。せっかくなので、デッキテラスの上にスパベッドをセットしてもらいました。

トモコさんの動きによって、体内のリンパがドーッと流れるのがわかります。
トモコさんの動きによって、体内のリンパがドーッと流れるのがわかります。

トモコさんの「OMOIYARI TOUCHトリートメント」は、カリフォルニア発祥の「エサレン・マッサージ」をベースにアレンジを効かせたもの。ただ気持ちがいいだけではなく、関節に動きを加え、ストレッチも行う、少々アクロバティックなもの。リンパ液や血液の流れを促進させる動きも取り入れられています。そしてタッチすることで、ゲストとのコミュニケーションにもなっているそう。OMOIYARI TOUCH トリートメント 60分8,000円、90分11,000円(出張費込み)。

「Izu Cliff House」自体がリトリートのようなもの」とヨガ・インストラクターの小松彩乃さん。
「Izu Cliff House」自体がリトリートのようなもの」とヨガ・インストラクターの小松彩乃さん。

翌朝はデッキテラスにて、小松彩乃さんによるビンヤサ・フロー・ヨガを体験。呼吸に合わせて動き、ちょっぴり汗もかきます。深く息を吸って、吐いて、どこまでも続く海を見て。

「この気持ちのいい眺め、美味しい空気。ここは最高のヨガスタジオですよね。プラナ(エネルギー)を十二分に取り込めて、リフレッシュになります」と、彩乃さん。ちなみに、彩乃さんのヨガに参加できるのは、女性限定です。朝ヨガセッション 45分2,000円、ヨガマットレンタル 500円。

ビーガン料理をケータリングしてくれた原田直香さん。
ビーガン料理をケータリングしてくれた原田直香さん。

ヨガが終わった頃に届けてもらったのが、原田直香さんによる「naocacoan(なおかこあん)」のビーガン料理のケータリング(naocacoan.com)。重箱のフタをあけると、思わず「わぁ、きれい!」と、鮮やかな彩に目が奪われます。

“種”から育てているビーガン料理。
“種”から育てているビーガン料理。

直香さんによると、どれも“土が作る色”。種を植えるところから、このお弁当は始まっています。今、育てている野菜やハーブは30種類以上。海水や塩泉から塩を作り、米を使って味噌や麹、梅干しなどの調味料も手作り。

紫玉ねぎにレモンをどのくらい垂らしたらどんなトーンになるのか、色鉛筆を選ぶように、野菜を組み合わせてキャンバスのようにお弁当が仕立ててあります。

見た目は華やかながら、近所のおばあちゃんから聞いた調味料や地のものも取り入れ、カラダも整えてくれる愛情たっぷりのお弁当です。写真の2段重は、2~3名用5,000円(税込)。注文は4,000円以上から。前日までに予約を。

スパ・トリートメントやヨガ、ビーガン料理のケータリングは、宿泊予約時に申し込むことができます。夏には漁船をチャーターしての海遊びも計画中とか⁉

初のAirbnb、ただ寝泊まりするだけではなく、自然の中でカラダにいいこと三昧。もちろん、この「Izu Cliff House」だから体験できたことだとは思います。それでも民泊だからこそ、いろんな個性があり、おもてなしを受けられる。そう思うと、未知数の楽しさを感じます。

Izu Cliff House
住所/静岡県、南伊豆
室料/1泊1棟 ¥50,000〜(料金は日程により変動する場合があります)
設備/1ベッドルーム、ベッド5台、1バスルーム、5人まで収容
URL/www.airbnb.jp/rooms/16195307

※Airbnbの「新型コロナウイルス(COVID-19)に関連する酌量すべき事情ポリシー」はこちらをご覧ください。

Photo:Michika Mochizuki  Model:Mika Furuya Text:Chieko Koseki

Profile

古関千恵子Chieko Koseki ビーチライター。ダイビング雑誌の編集を経てフリーのライターに。リゾートホテルやダイビング、エコ活動など海にまつわる取材を重ねるうちに、いつしか「ビーチライター」が定着。取材でビーチ、締め切りが明けたらビーチを繰り返すライフスタイル。ウェブなどで連載中。www.chieko-koseki.com
望月みちかMichika Mochizuki フォトグラファー。富士フィルムのプロラボサービス「トーアフォート」スタジオに入社し、雑誌を主業務とする編集プロダクションにて勤務。フリーランスのフォトグラファーに転身後、NYへ渡米。15年の活動を経て現在は東京を拠点に活動中。また、Always Sunday Club(東京都世田谷区下馬3-39-1/080-3362-5047)にて、2020年7月31日(金)までの毎週金曜日、写真展「MICHIKA MOCHIZUKI EXHIBITION IN TOKYO-SERENDIPITY-」で展示販売会を開催。17:00〜21:00までは、自然派ワインバーのバーテンダーとしてお店に登場。作品やワインバーでの売り上げの一部は環境保全団体「WWF ジャパン」に寄付される。

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