新井浩文インタビュー「真面目でも不真面目でも、いい映画を作りたい」 | Numero TOKYO
Interview / Post

新井浩文インタビュー
「真面目でも不真面目でも、いい映画を作りたい」

旬な俳優、女優、アーティストやクリエイターが登場し、「ONとOFF」をテーマに自身のクリエイションについて語る連載「Talks」。 vol.13は俳優、新井浩文にインタビュー。

平田オリザによる戯曲「さようなら」を気鋭の映画作家・深田晃司監督が映画化。原発事故により放射能に侵された近未来の日本を舞台に、“棄国”に取り残されたターニャとそれを見守るアンドロイド、レオナとの最期のときを描く。ターニャの恋人役を演じたのは、俳優・新井浩文。アンドロイドと共演した感想と、作品との向き合い方について聞いた。

唯一無二の深田晃司ワールド

──深田監督の作品は、淡々と且つ自然に台詞が流れていくのが印象的ですが、独特な演出を体験した感想は?

「きょうび現代劇で、句読点を含めて台本通りに役者が演じるというのはなかなか珍しいんです。うちは語尾とかけっこう自分で言いやすいように変えるタイプなんですけど、深田監督に『どっちがいいですか?』と聞いてみたら、『句読点を全部生かして台本通りでお願いします』って言われて。だから、まったく台本通りにやっています」

──だからリズムが一定なんですね。

「そう、あれは全部演出です。台本にある『……』とか『、』とか『。』も大事にして、タイミングも、間も、全て台本通りですね。その通りにやってくれたら自然に見えるから、という深田監督の計算なんだと思います」

──深田監督の演出がやりやすい、やりにくいなどはあるんでしょうか?

「監督が言ったことをやるのが仕事なので、やりやすいもやりにくいもないです。難しいのは、ビジョンがはっきりとは決まっていなくて、一緒に作って行こうとする監督ですね。結局、作品の良し悪しは監督にかかっているから、そこがブレてると観ている人も分かるじゃないですか。迷うのはいいけど、根本がブレてくると、これは作品として難しいなとうちは思っちゃう。だから深田監督みたいにビシってやってくれるのはの演じやすかった」

──新井さんと年齢も近いですが、深田監督はどんな方なんでしょうか?

「真面目! たぶんうちとは正反対の生き方をしていそう。大卒でインテリだと思うし、たぶん遊び方も違うだろうな」

──でも、共通言語はあったんですよね。

「それはやっぱり映画。真面目だろうが不真面目だろうが、いい映画を作るっていう共通のものがあるから。じゃあ自分が真面目じゃないかというと、もちろん仕事に対しては真面目だけど、人間的にちょっと適当なんですよね(笑)」

Photo:Satomi Yamauchi 
Stylist:Haruki Koketsu
Hair & Make-up:Hanako(HAPP’S) 
Interview & Text:Tomoko Ogawa 
Edit:Yukiko Shinmura

Profile

新井浩文(Hirofumi )俳優。1979年1月18日生まれ、青森県出身。2001年、映画『GO』でスクリーンデビュー。02年6月公開『青い春』では、初主演を務め、高崎映画祭で最優秀新人男優賞を受賞。話題の映画やドラマで幅広く活躍する個性派俳優。酒好きが高じてBSフジ『美しき酒呑みたち』という冠番組でナビゲーターを務める。現在TBS日曜劇場『下町ロケット』に出演中。公開中の映画『バクマン。』に出演しているほか、16年には出演する映画『俳優 亀岡拓次』、『星ガ丘ワンダーランド』、『女が眠る時』、『葛城事件』などの公開を控える。

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