Interview / Post
フランソワ・オゾン インタビュー「現実にない喜びを得られるということ」
例えばカトリーヌ・ドヌーヴにジャージを着せるということ
──あなたの映画は女性のファッションやスタイルにも、とても敏感ですね。つねにファッションの面でも考え抜かれています。
「装うということは一種の変装であり、遊戯であると思う。映画とは、僕にとって遊戯だ。映画を作るとき、僕らは子どものように遊ぶ。たとえば『しあわせの雨傘』のカトリーヌ・ドヌーヴに、彼女がいままで着たことがないようなジャージの上下を着せて遊ぶ(笑)。僕にとって映画は幼少時代の遊戯に根ざしたもの。子どもの頃、僕らはどんなものにもなれただろう? 頭のなかではすべてが可能で、禁止であることは何もなかった。映画はそうした延長にあるんだ」
──そういう点が、あなたが映画に惹かれた理由でもあるのでしょうか。
「うん、とくに現実逃避という面でね。少年にとって現実の世界というのは制約があって悲しいけれど、想像の世界ならすべてが可能だ」
──あなたの育った家庭環境はそれほど厳格だったのですか。
「いや、ふつうの少年と変わりはなかったと思うけれど––つまり楽しいこともあればそうじゃないこともあったけれど、早くから映画や本や遊びのおかげで現実から逃避できることを学んだ。現実にない喜びを得られるということをね」
──では、たとえば仕事していない、オフのときに楽しいことは何ですか。
「そうだな、食べるのは大好きだよ(笑)。料理を自分でするのも好き。わりと巧い方じゃないかな」
【映画監督はつねに何かを夢見ている】/div>