高良健吾インタビュー「子どもと接することで父性が芽生えた」 | Numero TOKYO - Part 3
Interview / Post

高良健吾インタビュー
「子どもと接することで父性が芽生えた」

2005年のデビューから10年目を迎え、実力派俳優として、映画だけでなく、大河ドラマでも活躍中の高良健吾。幼児虐待や学級崩壊といった問題を通して、希望という可能性を描いた中脇初枝の小説をベースに、『そこのみにて光輝く』の呉美保監督が映画化した最新作『きみはいい子』では、まじめだけれど優柔不断でな小学校の新米教師・岡野を演じる。映画について、そして役者として今思うこととは?

kengo kora
kengo kora

向き合って、言葉で伝えることの重要さ

──映画を通じて、自分が将来子どもを育てるとしたら、どんなことが大切だと高良さんは思いましたか?

「そうですね。自分が親に抱きしめられたかというと、記憶はないんです。でもそれ以上のものをもらっていたと思うんです。それは、親が僕たち子どもを馬鹿にしないで、ちゃんと向き合ってくれていたから。だから、抱きしめられるという物理的な行為が必要だったのかと聞かれれば、僕はそうじゃなかったかもしれない。まずは向き合うということ、それに、ちゃんと話をすることは大切だなと。言葉で伝えることも必要だと思います」

──家族ではない第三者によって救われることも本編では描かれていますが、そういった経験はありますか?

「それは今もあります。案外自分がひとりで決めたりやってきたと思っていることは、その前にそれをやっていた人がいたかもしれないし、言ってることも誰かの言葉だったのかもしれない。それが自分の背中を推してる部分もあるから。友達だったり、おばあちゃんやおじいちゃん、もしかすると本だったのかもしれないし映画だったのかもしれない。音楽かもしれないと考えると、本当にそれだらけですね」

──話し合うきっかけになる映画ですよね。

「“子どもたちに優しくすれば世界は広がる”というのは、きれいごとと言われてしまうかもしれないけれど、本当にその通りだとも思うし、この映画をきっかけに考えることもある。だからそうできたらいいなとは思います。でも、難しいんでしょうね。きれいごとだとしても、思うのは自由だから、思っていたい。それに、この作品を一回通ったら、どこにでもいけると思うんです。男の人でも女の人でも、子どもでも大人でも。一年目の上手くいかない辛さや歯痒さはみんな通ってきたか、これから通るかもしれないことだし。きっと通っていなくても分かると思うのです」

──リラックスしてるときはどんなときですか?

「映画を見ているときと、散歩してるときですね。映画を観てるときはあまり何も考えてないかもしれない。好きだし、そういう時間が必要ですね。でも大河の現場は楽しいです。同世代が多いのもあるかもしれないし、僕がやらしてもらっている高杉晋作は燃えるように生きてた人だから、喋ってることが良くて、ネガティブなことを喋ってるときより全然いい。カラっとしていて気持ちが上がる役ですね。早く現場に行きたい!という感じです」

Photo:Satomi Yamauchi 
Hair & Make-up:Satoka Takakuwa 
Stylist:Kazuhiro Sawataishi 
Interview & Text:Tomoko Ogawa 
Edit:Yukiko Shinmura

Profile

高良健吾(こうら・けんご)俳優。1987年生まれ。熊本県出身。2006年、映画『ハリヨの夏』で映画初出演後、映画、ドラマを中心に活躍。11年『軽蔑』で日本アカデミー賞新人俳優賞受賞。12年『苦役列車』で日本アカデミー賞優秀助演男優賞受賞。13年『横道世之介』で第56回ブルーリボン賞主演男優賞を受賞。15年『悼む人』で主演。現在、NHK大河ドラマ『花燃ゆ』に出演中のほか、声優に参加した映画『百日紅 ~Miss HOKUSAI~』公開中。熊本市のわくわく親善大使。幻冬舎の文庫フェアのキャラクターを務める。

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