伊勢谷友介&藤元明インタビュー(3)
──コラボレーションの中心となる「トーラス ノット」について、コンセプトはどのように生まれたのでしょうか?
藤元「社会的役割を担う大企業が発信するメッセージとして、端的ではなく恒久的なテーマがふさわしいと考えていました。2010年に21_21 DESIGN SIGHTで、自分が以前から取り組んでいた“新しいリサイクルマーク”の提案を映像として発表したのですが、多面性のあるこのテーマは一度発表したからといって終わるべきものではなく、“考え続け進化させること”に意味があり、進化する人類の一つのテーマであるとも考えています。約一年前、このプロジェクトにおけるプレゼンでも、新たな表現で“新しいリサイクルマーク”というテーマに取り組みたいと提案しました。そして話し合いを重ね、コーチの余剰の素材(革/金具)を組み合わせ、シンボルオブジェクトとして“再生”させることになりました」
──「トーラス ノット」は東北支援のために寄贈を予定されていますが、作品にはどのような存在であってほしいですか?
藤元「色々な考えや要素を“all in one”にした作品なので、何か、気持ちの切り替えのキッカケになってくれればと思います」
──数多くのプロジェクトに携わる中、その原動力・モチベーションとなるものは何ですか?
伊勢谷「人が生きている時間は限られていること。もし自分の生き方が明確ならば、あとは逆算することで、自分が働ける時間、生きている間にできることもおのずと限られてきますから、今を精一杯生きることに繋がっていると思います」
1. 「トーラス ノット」の制作に打ち込む藤元。
2. 作品の一部に、コーチのアイコニックなハードウェアであるターンロックを使用。
3. 「トーラス ノット」のパーツにターンロックとブラスチューブを繋いでいく様子。
4. コラボレーションのコンセプトを体現する「トーラス ノット」の模型と、素材となるレザーのサンプル。
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