伊勢谷友介&藤元明インタビュー(2)
──ニューヨーク本社でリード・クラッコフ氏(※)にお会いになったり、工房を訪れた時の印象や感想を教えてください。
※コーチのプレジデント兼エグゼクティヴ・クリエイティヴ・ディレクター
伊勢谷「クラッコフ氏については、ミーティングをさせていただいた部屋がご本人のオフィスだったのですが、目を見張るような芸術的な家具などが置かれていて、作品や美しい物へのこだわりの深い方だと思いました。工房では作業の工程や技術を、それからこれまでのアーカイヴも見学させていただき、多くの商品から、洗練された職人さんの手作業で作られていることへのプライドや、デザインの力強さ、そしてその時代背景を感じることができ、とても有意義な時間でした」
藤元「陽気に開発作業をやっていて、70年の歴史のなかで職人や伝統を重苦しくは受け止めず、新しいものを常に取り入れながら、最適を目指して“モノ作り”に取り組んでいる印象でした。変にこだわりすぎていないというか。クラッコフ氏はといえば、大企業を率いる大きな視点と、デザイナー・写真家としての入り込んだ視点、そして作品への好奇心など、やはり多面性ですね。そして、彼の部屋のコレクションを見てもわかるのですが、作品を床にポンと置いてフランクに扱っていたり、全てにおいて深刻になりすぎない明るい雰囲気を感じました。彼のライトなスタンスが、会社全体にも影響しているのかもしれません」
1. 余剰のレザーを年輪のように筒状に巻いて作られたスツールの上部。
2.3. 直方体のブロックに余剰のレザーを張り合わせたベンチの制作風景。
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