都築響一さんのROADSIDERS’ weekly 456号に記事にしていただきました | Saeborg
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都築響一さんのROADSIDERS’ weekly 456号に記事にしていただきました

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いつもお世話になっている都築響一さんがROADSIDERS’ weekly 456号に取り上げてくださいました。以下、サエボーグの記事部分だけ抜粋して公開させて頂いています。

1ヶ月前の記事となります。ぜひ御覧くださいませ。

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2021/06/09号 Vol.456(1/2)

artサエボーグとうんこの城

 

特異なラバー造形作家サエボーグの展覧会が渋谷PARCOミュージアムで先週末から始まっている。2012年に自宅アトリエ訪問記を書いたのをはじめに(「突撃! 隣の変態さん」、2014年の「Slaughterhouseスローターハウス」、2016年の「ピッグペン」、2018年の「Wastelandウェイストランド」、そして2019年にはオーストラリア・タスマニアDARK MOFOでのパフォーマンスなど、ロードサイダーズではその活動をずっと追いかけてきた。もうおなじみかと思うが、サエボーグはラバーによる巨大な動物や物体をつくり、それらを単に展示するだけでなく、内部に人間を仕込むことによってコミカルで不条理な一幕の演劇的空間を立ち上げるアーティストだ。さまざまなやりかたで「リアル/ナチュラル」に近づこうとする着ぐるみの怪獣やCGによる映像表現とは異なり、空気で膨らませた登場人物たちは明らかに文字どおりの「ハリボテ」であり、その不自然=アンナチュラルな外観と演技は、それがあまりに滑稽であるために、ある種の不安や不穏な感覚さえ生み出しもする。たとえば、シリアルキラーが描くピエロの絵のように。(20018年の記事より)
コロナ禍による臨時休館から再開されたPARCOミュージアムで、急遽設定されたという今回の展覧会『LIVESTOCK』は、代表作である「スローターハウス」と「ピッグペン」のインスタレーションを会場に再現。いまだ緊急事態宣言延長中の東京では観客を集めてのパフォーマンスは難しいので、ラバーの着ぐるみブタたちは登場せず、インスタレーションを見学するだけの静かな展示(会場内に記念撮影スポットあり!)。いつものような興奮は残念ながら望めないけれど、動くものがなにもないインスタレーションは、主役が突然姿を消した舞台のように、また別種のビザールな空気感もある。


Pigpen 2016 | Saeborg(デパートメントHにて)


Dark Mofo 2019 | Saeborg


2016年に限定100体で発表・即完売となったサエボーグのソフビ「サエポーク」のカラーバリエも受注販売されている!(ビリケン商会謹製 原型師・ハマ ハヤオ)

SAEBORG『LIVESTOCK』
~ 6月20日(日)まで開催中 11:00~20:00
https://art.parco.jp/museumtokyo/detail/?id=666実はPARCOミュージアムの展示と並行して、サエボーグは東京藝術大学美術館で開催される予定だった『POST COVID-19 ARTS FUND』にも参加、2ヶ所での展示が東京に出現する予定だったが、こちらのほうは残念ながら延期。『POST COVID-19 ARTS FUND』(ポストコロナ・アーツ基金)はコロナ禍で苦境にあえぐアーティストたちへの支援のために企画されたので、コロナ禍のいまだからこそ実現してほしかった気もするが、新たな日程での開催を模索中とのことなので、期待したい。ニュースがあればすぐにお知らせする(https://pcaf.art/)。その『POST COVID-19 ARTS FUND』でお披露目される予定だった『pootopia』(高知県立美術館初演、2020)が、鬱憤をはらすかのように6月5日深夜、「デパートメントH」で先行お披露目された。

デパートメントH 2099 / 2021年6月5日深夜開催
おなじみの水槽ガールがお出迎え
かわいい着ぐるみちゃんもお出迎え
『pootopia』とは「poop=うんち」のユートピア(ディストピア?)、サエボーグによれば「うんち城」。もともとグランドキャバレーだった東京キネマ倶楽部のステージを、さらに拡張した特設舞台いっぱいにそびえる、もりもりうんこの山。激しく炊かれるスモークが、ほかほかの湯気に見えないこともなくて……異常なインスタレーションが、いつのまにか内部からプルプル震えだし、黒子が操るハエが舞いはじめ、ピンクの虫がうんこの山から這い出て、ハエと戯れるように踊り出す。

拡張された舞台にとぐろを巻く巨大うんこ山
開幕を待つラバリスト
いつしかうんこの周囲をハエが飛び回りはじめる


とぐろのなかから虫たちが湧いてくる

グロテスクで、ハッピーで。それがアート・パフォーマンスなのかキャバレー・ショーなのかわからないけれど、唖然としたり爆笑したりしているうちに、舞台の照明は徐々に暗くなり、最後までブンブン舞っていたハエが姿を消して、濃いスモークのなかに蹴散らされた巨大うんこが沈んでいく……。2018年から発表されている『Wasteland』の発展形となる『pootopia』は今回が初披露だが、サエボーグによれば夏から秋にかけていくつかのパフォーマンスや展示で披露できる可能性があるそうで、「これからおしっこの湖や、蝶々などつけたり、更にトピア感だしていきます!」とのこと。小難しい現代美術ともちがうし、小劇場の内輪ノリともちがう、唯一無二の悪趣味謝肉祭がようやく還ってくる。
なお6月9日)(今夜!)にはDOMMUNEでの特番が急遽決定。サエボーグがDOMMUNEに登壇するのは5年ぶりとのことなので、お見逃しなく!
ラテックス秘術師=サエボーグのオーラルヒストリー!
SAEBORG「LIVESTOCK」@PARCOMUSEUM SUPER SP!

6/9(水)19時~23時
●出演:サエボーグ、TKD、ゴッホ今泉、大谷ひろみ、北見えり、サエポーク1 & SUPER LATEX GUESTS!
●DJ:TKD
●会場観覧:限定30人予約中 https://dommunesaeborg.peatix.comhttps://www.dommune.com/saeborg: https://twitter.com/saeborg

 

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サエボーグ(saeborg)はラテックス製の着ぐるみ(スーツ)を自作し、自ら装着するパフォーマンスを展開するアーティストです。これまでの全作品は、東京のフェティッシュパーティー「Department-H」で初演された後、国内外の国際展や美術館で発表されている。2014年に岡本太郎現代芸術賞にて岡本敏子賞を受賞。主な展覧会に『六本⽊アートナイト2016』(A/Dgallery、東京、2016)、『TAG: Proposals on Queer Play and the Ways Forward』(ICA/ペンシルバニア大学、アメリカ、2018) 、『第6回アテネ・ビエンナーレ』(Banakeios Library、ギリシャ、2018)、『DARK MOFO』(Avalon Theatre/MONA 、オーストラリア、2019)、 『あいちトリエンナーレ』(愛知芸術劇場、名古屋、2019)、 『Slaughterhouse17』(Match Gallery/MGML、 スロベニア、2019 )など。

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