山﨑夕貴アナにインタビュー「結婚の決め手は、好き以外何もないです」
自分自身の今に影響を与えた人物や、ターニングポイントとなった出来事、モノ、場所との出合い。それをきっかけに変化し成長した自分を振り返る。アナウンサー山﨑夕貴のビフォー&アフター。(「ヌメロ・トウキョウ」2018年7・8月合併号掲載)
──この4月から『とくダネ!』のMCを担当。もう馴れましたか?
「時事ネタや政治・経済などの硬派な内容を扱うのは初めてで、毎日が勉強です。担当が決まってからは不安が100%、始まってからもしばらく憂鬱でしたが、ここ最近少しずつ世界が開けてきて、新しく物事を学ぶのが楽しいと感じられるようになりました」
──勉強はどのように?
「新聞を全紙読むのですが、人の倍の時間がかかるんです。伊藤(利尋)アナみたいに基礎知識がある人と、言葉一つ一つを勉強しながら読む私とでは、かかる時間が全然違う。何のニュースを扱うかはたいてい前日に決まりますが、当日、新聞が出て情報が更新されますし、自分のプレゼンの時間が15分あるので、その準備でいっぱいいっぱい。日々、模索中ですが、刺激的です」
──自分の意見も求められる?
「まだそこまで至っていないですが。感情的なことは言えても、客観的な考察は難しい。コメンテーターの皆さんは本当に博識です。例えばセクハラの話など、私は女性として嫌だなあとは言えますが、番組ではその背景まで読み解くので、ニュースとは深いものだと感じています」
──最近、刺激を受けたニュースは?
「自分のプレゼンコーナーで調べて詳しくなったこともあり、松山刑務所から受刑者が逃走していた事件です。『とくダネ!』で扱わなかった日も個人的にチェックし続けていました」
──もともとニュースなどの硬派な番組を希望していたのですか?
「いいえ、私には無理だと思っていました。これまではバラエティがメインで、ニュースも芸能系オンリーだったので。きっと上司は私の弱い部分を見抜いて、勉強しなさいという意味で配属したのでしょう。愛の鞭として」
──今は発言が一人歩きしてSNSで炎上したりするから、余計に気を使うのでは?
「私、SNSをしていないから、物議を醸していること自体、知らないんです。時代に乗り遅れている感がありますね。私だって、いつまでも頑固者みたいにSNSをやらないのはよくないと分かっているんです!松本人志さんがTwitterを始めたり、ファッションの分野でも、活躍している人は皆さん、時代に合わせて変化しているじゃないですか。私も変わりたいんですけど、機械音痴なんですよ。パソコンの使い方も分からなくて、同期のアナウンサーにセッティングしてもらっています(笑)」
──それは大変(笑)。そもそもアナウンサーになられたのはなぜですか?
「兄がいるんですが、おしゃべりが得意で、サークルをつくってみんなを引っ張るようなタイプで。反対に私はいつも誰かに頼っていました。そんな自分を変えようと倉敷小町(倉敷市の親善大使)を務めてみたら、周りから見た自分の評価が違うことに気づいて。しゃべるのはそんなに苦手ではないのかもと思い、アナウンサーにチャレンジしました。でもまさかフジテレビに受かるとは!怖いもの知らずだったので、合格後に初めて応募者が何千人とかアナウンススクールがあることも知りました」
──大胆ですね。入社試験にはアナウンスの実技もあるのでは?
「はい、物語の原稿読みがありました。技術とか何も知らなかったので、とにかく心を込めて読みました(笑)振り返ると恥ずかしい。たぶん、そこじゃないよ!と面接官は思ったでしょうね(笑)。しかも後で聞いたら、すごく訛っていたとか。ただ、私は受かるはずがないと思っていたので、緊張せずに面接官との会話を楽しめたんです。こんなところに来られて幸せ!いい経験!みたいな気持ちで。まさか自分がテレビの向こう側の人間になるなんて想像もつかなかった。ずっと岡山暮らしで、東京生活も初めてでしたし。新しい自分に出会えてよかったです」
──3月末には、芸人のおばたのお兄さんとご結婚。電撃的でしたね。
「自分でもビックリ!実は『とくダネ!』を担当することが決まって、結婚を決めたんです。『とくダネ!』になると、毎朝3時起き。反対に芸人 の仕事は夜遅いので、どうしてもすれ違いになる。このままでは破局、もう終わった…と、手から幸せがこぼれ落ちるのを感じました。彼にその話 をしたら『一緒に住む?』と言ってくれて、親に話したら『順番を守りなさい。同棲より結婚だ』と。じゃあ結婚していいの!?とトントン拍子に話が進み、それから1カ月半で結婚。人間、やればできるなと思いました(笑)」
──決めたら一直線ですね。
「いや、迷いましたよ。家族も周りも『大丈夫?勢いじゃない?』って戸惑っていましたし。私も自分の判断に自信がなくなってマリッジブルーになったり。でも今は本当に結婚してよかった!と思っています」
──この人にしようという決め手は何でしたか?
「好き以外、何もないです。それ以外、なくないですか?」
──一般的に、女子アナはスポーツ選手や実業家など、セレブと結婚するというイメージも。
「確かに。私は育った環境が似ている人が心地いいなと思っていて。私は岡山の田舎、彼は新潟の田舎育ち。上京して8年たちますが、やはりベースにあるのは二十数年間育った故郷なんです。また、彼はとっても生活力があるんです。経済力ではなくサバイバル能力(笑)。体が丈夫、料理や掃除、洗濯などの家事が大好き、お金の管理も得意。一方、私は超ズボラで、帰宅してご飯があったらうれしい!みたいな。彼なら一緒に生活できると思いました」
──ちょうど30歳で、プライベートも仕事も新しいスタートですね。
「新番組と新婚、まさかこんな激動の幕開けになるとは!入社9年目ですし、そろそろ落ち着いた生活になるかなと思っていたので。
──この先、どんな道を進みたいですか。
「目の前のことに一生懸命取り組むのみです。ありがたいことにいろんな経験をさせてもらっていますから。ただ女性アナウンサーは長く活躍することが難しい。たぶんそれは男性よりも。出産となったら一旦抜けることになりますし、若いアナウンサーがどんどん入ってくる。そう考えると、ずっと一緒に仕事をしたいといわれる存在になりたいです。40、50歳になったときも必要とされるアナウンサーになれたら」
──やってみたい番組はありますか?
「ラジオですね。生放送で地上波だと、どうしても言えることが限られますし。私、結構、毒舌なんです(笑)。だから言いたいことが言える、ポップで明るい悩み相談などをやってみたいですね」
Photos: Masato Moriyama Interview&Text: Maki Miura Edit: Saori Asaka