『Live Colorfully!』展から眺めた風景 | Numero TOKYO editor
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『Live Colorfully!』展から眺めた風景

 

 

3.11から3カ月後。福島第1原子力発電所から北に20km地点の検問所(南相馬市原町区大甕)。

萌える草木に鳥がさえずる野山の風景は、意表をつくほどに穏やかだった。

自分は、ここに来たことで何ができるのか。

東京に戻り、小誌『Numero TOKYO』の震災復興企画で、福島の情報を発信し未来をともに考えるイベント『フェスティバルFUKUSHIMA!』の紹介記事を担当した。でも、それだけ。

南相馬市の窮状を訴え、とにかく行って見てほしいと背中を押してくれた友人の言葉。郡山でお会いした、福島発のUSTREAM放送局『DOMMUNE FUKUSHIMA!』の森さんの言葉。にもかかわらず、自分はほとんど何もできなかった。

以来そのことが、生殺与奪に直接関係がない(と思われがちな)カルチャーに関わる人間として、「なぜそれが世の中に必要か」を問うたびに、抜けない棘のように脳裏に引っかかっているのを感じてきた。

……この展覧会『Live Colorfully!』を見るまでは。

 

 

(展示中のLife Stripe作品より)

| 忍の一字。長生きできそうにありません | タクシードライバー(11年) | 50|

♂ | 都内23区 | 2005-04-11 |

 

 

本展の展示作品『Life Stripe』は、クリエイティブユニットSPREADによる、1日24時間の行動を21色のカラーに置き換え、十人十色の“生活の模様”をパターンで表現する試みだ。

過去数年間にわたり、さまざまなクリエイターの1日や、出産当日の主婦、生後0日目の新生児、さらに草食獣や鳥類に至るまで、綺羅星のごとき“生のありよう”を、美しくも驚くべき個性に満ちたストライプ模様で可視化してきた。

 

 

(Life Stripe作品より ※参考作品)

| 睡眠時間は合計1時間、草食獣の宿命です | オカピ | 10 |♂ |

よこはま動物園ズーラシア | 1999 ある1日 |

 

 

一方、本展を主催するのは「被災地の子どもたちの生活に、創造力で光と彩りを投げかける」べく行動を起こした、「TRAUMARIS」アートプロデューサーの住吉智恵さん、プレスオフィス「INITIAL」代表の小杉幸子さん、イーストエッジ・リゾートのナディア・ロンバルドさんらが発起人を務めるチャリティプロジェクト「Live Colorfully」。

彼らの活動の一環として、今年3月31日から4月2日にかけ、南相馬市の小学生38人に長野県上田市のリゾートホテルで自然と温泉を満喫する旅をプレゼント。その際に実施した、『Life Stripe』のワークショップによる子どもたちの作品と、谷川俊太郎、坂本龍一、キリン(動物)など新作を含む『Life Stripe』を展示しつつ、今後の「Live Colorfully!」の活動支援を呼びかけている。

 

 

(Life Stripe作品より ※参考作品)

| HELLO, MY BABY BOY♥ | 主婦 | 33 | ♀ | 横浜市 | 2004-09-01 |

 

 

オープニングレセプションにうかがって、SPREADのお2人をはじめとする方々のお話を聞くうちに、展示されたストライプの数々をはじめ、このプロジェクトそれ自体が、ほかでもない人と人との縁によって結ばれて、まさに“生のありよう”として息づいているのだ、と思った。

そして、ここ数年来の自分の問い、「生殺与奪に直接関係ないのに、なぜカルチャーが必要なのか」「果たして表現に何ができるのか」に、それまで考えていたのとは違う、よりシンプルで実感に満ちたヒントが見えた気がした。

(なぜなら……表現自体がほかでもない、“生のありよう”そのものだから)

 

 

展覧会風景より、南相馬市の子どもたちの作品。

 

 

だからといって、脳裏に刺さった棘は抜けないままで、さらに自分が何をしたわけでもないけれど、その息吹に触れるだけで、心を動かし、人と人との連鎖を生み出していく表現の力、それを“生そのもの”と呼ぶことへの迷いや衒いが一夜にして晴れ渡っていくような、鮮やかに抜けるような体験が、そこにはあった。

たとえ自分を単に“見る側”、“感じる側”だと思っていたとしても、何かの力を与えてくれる。そんなふうに思える表現を、これからも、『Numero TOKYO』で伝えていきたい。

 

 

展覧会風景より。

 

 

<展覧会>

『Live Coloerfully!』

2012年6月12日(火)~6月17日(日) 11:00〜20:00 入場無料

スパイラルガーデン(表参道・スパイラル1F)

 

<クロージングトーク>

「カラフルに生きること -あの日からの世界をシェアするために」

6月17日(日)17:00〜 入場無料

イントロダクション:Save Minamisoma Project、EastEdge Resorts

スピーカー:木村浩一郎、上田壮一、SPREAD

モデレーター:住吉智恵

 

 

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