小村雪岱展について
だいぶ前の2月頭、北浦和の美術館で開催されていた、小村雪岱展。行き着けの新宿ゴールデン街のバーで偶然お会いした大竹伸朗さんが絶賛されていたこともあり、遠路はるばる赴きました(といっても地元ですが…)。この展覧会では、同時代の他の作家の作品も展示されていましたが、彼は他の作家とはなんとなく違う独特の距離があるというか美意識を持っているように思いました。美人画だってそんなに美人ではないし。泉鏡花の本の装丁もいろいろ手掛けていますが、これまた他の作家とは明らかにムードが違う。感覚の使いどころや働かせどころが全然違う。表紙はいたってシンプル、中を開けると表紙折り返し部分はとても華やか。しかも、そうきたかという意外な組合せがまたよい。見るものを考えさせるような作品だなと思いました。
続いて、 最終日前日に駆け込んだ、レベッカ・ホルン展
なんといっても、あの宙づりのピアノ。あれは、私の個人的意見としては、鍵盤が出て来るときよりも、引っ込む瞬間のほうがいい気がします。構造的にもものが出て来る仕組みのより、出たものが引っ込むほうが難しいようなイメージがするせいか…。大概出たものは戻らないですから。しかも、あの鍵盤は出てくるときはドサッバラーッンという衝撃音でしたが、引っ込むときは、鍵盤がちゃんとポロロ~ンとピアノの音を奏でたんです。辛抱強く引っ込むまで待ったかいがありました。
椿昇展『GOLD WHITE BLACK Complex』に行ってきました。
川崎市にある工場地帯の中にある、Think Spot KAWASAKIという旧日本鋼管の体育館で開催されていました。炭坑のような細い廊下を通り、黒い巨大炭坑夫の肖像を横目に、奥へと突き進む。メイン会場の体育館に出ると、ドドド~ンと、巨大なまさにエアー核ミサイル(原寸大らしいです)が今か今かと点滅しながらスタンバイしていました。工場地帯という場所もあって、その体育館の立地も含めて、相乗効果がある気がしました。やはり、アートの展覧会はもちろんですが、ライブや舞台なども、いわゆるそれ専用の施設でないところで、作品と連動した場や空間で開催されると、また違った見方ができる気がします。なかなか難しそうですが…。
展示会場である体育館入口。
今か今かと発光する核ミサイル