
ベルギー・ブリュッセルを拠点に活動するアーティスト、アン・ヴェロニカ・ヤンセンの日本初個展「東京、銀座5丁目4-1」が開催中。銀座メゾンエルメス ル・フォーラムにて、会期は2027年1月11日まで。

ヤンセンは1956年、イギリス・フォークストンに生まれ、1970年代以降、鑑賞者の空間における体験に焦点を当てた作品を発表してきた。
70年代後半からは、合板、ガラス、コンクリートといった簡素な素材を用いた制作を行うようになり、90年頃からは、光、音、人工煙霧といった要素を用いた実験的な試みを継続してきた。作家の表現方法は多岐にわたり、彫刻、インスタレーション、ビデオ、写真、コンテンポラリー・ダンスの舞台美術などが挙げられる。

銀座メゾンエルメス ル・フォーラムのアドレス「東京、銀座5丁目4-1」をタイトルとして掲げた本展は、90年代以降継続するヤンセンの一連の作品10点余りによって構成される。
拡散する光を物質として扱う『Rose』、瞬間の痕跡を記憶する青いグリッター『Untitled (blue glitter)』、熱反応塗装で覆われた座面を持つブランコ『Swings』、自身の声をメディウムとする新作『Donut』などが並ぶ。
特定のアドレスに宛てられ、その空間を物理的に観察することから構想された作品は、場所に与えられた固有性を揺るがし、時間、光、空気を操ることで、その場に新たな変化を生み出していく。そうした作品は、空間や時間を自分がどのように認識しているのか、また、それらが絶えず変化していることを体験するための装置として機能する。目に見える形だけではなく、光や空気などを通して、鑑賞者の感覚のなかに新たな空間を立ち上げていくのだ。

また、ヤンセンの活動は、学際的な対話や研究にも及ぶ。2009年にはナタリー・エルジーノとともに、アーティストと科学者が共同で空間、時間、身体、脳の関係を探るプロジェクト「ブレイン・スペース・ラボラトリー」を設立した。
エルメス財団との協働も長く、15年には、ベルギー・ブリュッセルの同財団のアートスペース「ラ・ヴェリエール」で、ミシェル・フランソワとの2人展「Philaetchouri」を開催。さらに、アーティスト・レジデンシー・プログラムでは、14年から16年にかけて、3人のアーティストのメンターを務めている。

なお、会期中にはギャラリーツアーやガイドツアーなども開催される。くわしくは公式サイトをチェックして。
光や空気、時間の変化を通して、鑑賞者の感覚に静かに働きかけるヤンセンの作品。その世界を日本で初めて体験できる貴重な機会を、ぜひお見逃しなく。
アン・ヴェロニカ・ヤンセン展「東京、銀座5丁目4-1」
会期/2026年9月11日(金)〜2027年1月11日(月・祝)
会場/銀座メゾンエルメス ル・フォーラム
住所/東京都中央区銀座5-4-1 8、9F
時間/11:00〜19:00(入場は18:30まで)
休館/水曜日(9月23日は開館)、年末年始 ※店舗の休館日に準じる
TEL/03-3569-3300
URL/https://www.hermes.com/jp/ja/content/401713-mgeditopagearticleforumf74/
Text:Hinako Yano
