路上、お邪魔ですか?@金沢21世紀美術館 | Numero TOKYO
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路上、お邪魔ですか?@金沢21世紀美術館

金沢21世紀美術館にて「路上、お邪魔ですか?」展が開催されている。「路上」をキーワードに、作品や歴史的なできごと、言説などを7つのセクションで紹介。路上をとりまく事象から、公共性の課題をも問いかける。2026年9月6日(日)まで。

銭湯山車巡行部『銭湯山車』2021-
「路上、お邪魔ですか?」展示風景 金沢21世紀美術館 2026
撮影:森田兼次 提供:金沢21世紀美術館
銭湯山車巡行部『銭湯山車』2021- 「路上、お邪魔ですか?」展示風景 金沢21世紀美術館 2026 撮影:森田兼次 提供:金沢21世紀美術館

そもそも路上とは? 本展では、歩道、車道、公園、露地、考えがすれ違う言語の空間までも含めて「路上」としている。身近にある路上は、一見、自由で開かれているように見えて、実は法規制やルール、コミュニティ、他者からの視線などにより、ふるまいが調整される。そして、それは時代とともに変化している。この数十年を振り返ってみても、人々の意識は大きく変化していることを感じる。

路上観察学会 発会式 1986 
©飯村昭彦 提供:金沢21世紀美術館
路上観察学会 発会式 1986 ©飯村昭彦 提供:金沢21世紀美術館

本展は1986年に発足した「路上観察学会」の創設40周年が契機の一つになっている。路上観察学会では、赤瀬川原平や藤森照信らが、路上で見過ごされてきたさまざまな断片を「物件」として再発見し、ユーモアと批評をもって取り上げた。美術館の中だけではなく、日常の中で、誰でも、ちょっとした見立てで世界がかわる喜びを、さまざまなメディアを通じて広めた。そんな彼らの40年の活動も振り返る。
8月1日(土)には東京・渋谷にて路上観察学会 40周年記念シンポジウム(仮)も開催。

鯨津朝子『Obstacles?』2026 
「路上、お邪魔ですか?」展示風景 金沢21世紀美術館 2026 撮影:森田兼次 提供:金沢21世紀美術館
鯨津朝子『Obstacles?』2026  「路上、お邪魔ですか?」展示風景 金沢21世紀美術館 2026 撮影:森田兼次 提供:金沢21世紀美術館

鯨津朝子の作品は、中庭や外部の境目を超えて展開していく。美術館の無料の交流ゾーンと有料の展覧会ゾーンも分けることなく作品が広がり、私たちの身体はガラスや壁に阻まれるが、視線は自由に巡らすことができる。

鈴木康広『遊具の透視法』2001
「路上、お邪魔ですか?」展示風景 金沢21世紀美術館 2026 撮影:森田兼次 提供:金沢21世紀美術館
鈴木康広『遊具の透視法』2001 「路上、お邪魔ですか?」展示風景 金沢21世紀美術館 2026 撮影:森田兼次 提供:金沢21世紀美術館

鈴木康広『遊具の透視法』は、公園の回転遊具「グローブジャングル」を用いた作品。遊具に登る子どもとそれを回す子ども。使い方のルールはなくてもこどもたちは自然と遊びだす。この作品では、昼間に遊ぶ子どもの姿が、夜になると残影として現れる。発表当時はよく見かける遊具だったが、今ではどうだろう。安全面への配慮を理由に撤去され、ほぼ見かけなくなった。

ギリヤーク尼ヶ崎 札幌公演(2018年8月) 撮影:植村佳弘 提供:金沢21世紀美術館
ギリヤーク尼ヶ崎 札幌公演(2018年8月) 撮影:植村佳弘 提供:金沢21世紀美術館

95歳で今なお現役の大道芸人、ギリヤーク尼ヶ崎は、新宿、京都、札幌、函館と、さまざまな都市の路上で公演を続けている。路上で公演するとき、ギリヤーク尼ヶ崎は、まず地面にチョークで円を描くことからはじめる。そこに集う人々は輪となり、彼はその中で演じ、踊る。そして6月27日(土)には、金沢21世紀美術館の芝生広場での公演も予定している。

迫川尚子 お面をかぶっておどける新城さん。沖縄出身。右翼の街宣車だろうか。君が代が流れると頭をかかえてうずくまった。 1996年8月 ©迫川尚子 提供:金沢21世紀美術館
迫川尚子 お面をかぶっておどける新城さん。沖縄出身。右翼の街宣車だろうか。君が代が流れると頭をかかえてうずくまった。 1996年8月 ©迫川尚子 提供:金沢21世紀美術館

路上で生まれ、見出された表現、事象、作品がある一方で、路上から失われてゆくものもある。

現在進められている新宿の再開発では、かつて若者たちが集い、議論し、ときに衝突した「広場」としての記憶も失われつつある。写真家・山田脩二による、1969年の新宿西口フォークゲリラの記録、そして90年代に撮影された迫川尚子によるダンボールハウス村の写真。かつて「広場」でもあった場所が「公道」と位置付けられ、どのように管理されてきたのかが浮かび上がる。

Chim↑Pom from Smappa!Group『道/ヴィデオ』2017-2018 「路上、お邪魔ですか?」展示風景 金沢21世紀美術館 2026 撮影:森田兼次 提供:金沢21世紀美術館
Chim↑Pom from Smappa!Group『道/ヴィデオ』2017-2018 「路上、お邪魔ですか?」展示風景 金沢21世紀美術館 2026 撮影:森田兼次 提供:金沢21世紀美術館

一方でChim↑Pom from Smappa!Groupの『道』は、さまざまな場所に「道」を通す試み。本展で紹介される国立台湾美術館での『道』では、美術館内に道をつくり、許可をとってデモを行うなど、「道であれば可能な行為」を美術館の内部に持ち込むことで、これまで美術館が担ってきた公共性そのものを問い直した。

銭湯山車巡行部『銭湯山車』2019 ©Jun Tainaka 提供:金沢21世紀美術館
銭湯山車巡行部『銭湯山車』2019 ©Jun Tainaka 提供:金沢21世紀美術館

最後の展示セクションでは、銭湯のかけらを再構成した『銭湯山車』が紹介される。世の中の銭湯が取り壊されていくなかで、カラン、ロッカー、看板など、部材を引き取り、「動ける銭湯」として路上へ持ち出す試み。地元の祭りにも参加予定だという。

路上園芸 撮影:村田あやこ 提供:金沢21世紀美術館
路上園芸 撮影:村田あやこ 提供:金沢21世紀美術館

そして、路上園芸鑑賞家の村田あやこによるインスタレーションも展開。植物を媒介に、訪れた人々を金沢の町へと誘っていく。
また、建築家の妹島和世と西沢立衛(SANAA)が手がけた金沢21世紀美術館も「まちに開かれた公園のような美術館」という建築コンセプトを持っている。

村田あやこ『金沢の路上園芸』2026
「路上、お邪魔ですか?」展示風景 金沢21世紀美術館 2026 撮影:森田兼次 提供:金沢21世紀美術館
村田あやこ『金沢の路上園芸』2026 「路上、お邪魔ですか?」展示風景 金沢21世紀美術館 2026 撮影:森田兼次 提供:金沢21世紀美術館

路上は誰のものか?という問いかけを手がかりに、路上について考えを巡らせる。
そして、どのような路上であってほしいだろうか。美術館を出た後、目の前の景色が違ってみえるかもしれない。

路上、お邪魔ですか?
会期/2026年4月25日(土)〜9月6日(日)
休場日/月曜日(ただし7月20日は開場)、7月21日
開場時間/10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)
会場/金沢21世紀美術館 展示室7〜12、14、デザインギャラリー、レクチャーホール
URL/www.kanazawa21.jp

Text:Hiromi Mikuni

 

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