現代に潜む家族問題を舞台に『リンス・リピート』
毒母、毒親のようなパワーワードを目にすることが増えた昨今、誰でも自分と親の関係や、自分と子どもの関係について考えてみることがあるだろう。そして、多くの人は自分が歩んできた道のりは、様々なデコボコがありながらも順調に進んできたはず、と確認して、明日もいつもと同じ生活を歩もうとする。
だが、ある日、その足がどうしても動かなくなってしまったらどうだろうか。
本作は、娘に起きた摂食障害をきっかけに露わになる家族関係の問題や、自分自身の本当の気持ちと現実社会を折り合わせるかを描いた作品だ。母から娘に受け継がれる女性の痛ましい真実と希望、そのどちらもを鋭く描いていく。
今回、この繊細さと力強さの両方を必要とされる作品に顔を合わせるのは、いずれも演技力が高く、期待の高い俳優たちだ。
移民ながら弁護士としてのキャリアを築き、仕事と家庭のはざまで葛藤する母親・ジョーンを演じるのは、寺島しのぶ。映画や舞台で、エネルギッシュな活動を続けている。同じく俳優である母、富司純子との関係性を雑誌などで語っているだけに、どういった母親像を見せてくれるのか、非常に期待が高まる。
また、摂食障害を患いながらも愛する家族と生きようとする娘・レイチェルは、ミュージカル『ピーター・パン』『ロミオ&ジュリエット』やドラマ「ブギウギ」「光る君へ」「御上先生」など話題作に多数出演している吉柳咲良が演じる。寺島しのぶとの親子関係をどう見せてくれるのか気になるところだ。
その他にも息子・ブロディには多数の注目舞台や映像作品に出演が続く富本惣昭、レイチェルのセラピストであるブレンダは、文学座所属で舞台経験豊富な名越志保。優しさと不器用さを持ち合わせる父・ピーターにはテレビやラジオ、映像・舞台、エッセイ、イラストなど幅広く活動する松尾貴史を迎える。
演出は、第30回読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞した注目の若手演出家・稲葉賀恵。本作の演出に際し「家族を一つ語ることで、私たちがなぜ今諍いを起こし、他人を疑い、愛し、傷つけ、抱きしめるのか、私は少しだけ分かると信じています」とコメントを寄せている。
自分が娘である人、母である人、またその両方である人が、自分の周囲にいるごく近しい家族との関係を見つめなおす、そんな作品になりそうだ。
舞台 『リンス・リピート ―そして、再び繰り返す―』
脚本/ドミニカ・フェロー
翻訳/浦辺千鶴
演出/稲葉賀恵
出演/寺島しのぶ 吉柳咲良 富本惣昭 名越志保 松尾貴史
<東京公演>
公演日程/2025年4月17日(木)~5月6日(火・祝)
会場/紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA
チケット料金/全席指定:8,800円 U-25 6,000円(2月19日~販売)
Yシート2,000円(2月24日~3月2日販売)
チケット一般発売/2月19日(水)11:00~
Yシート発売/2月24日(月・祝)17:00~3月2日(日)23:59
※チケット販売詳細は下記ご確認ください。
https://horipro-stage.jp/news/rinserepeat2025_ticket/
主催・企画制作/ホリプロ
URL/https://horipro-stage.jp/stage/rinserepeat2025/
※京都公演あり