アートが都市にもたらしてきたものとは?「生きている東京 展」@ワタリウム美術館
たとえどんな状況でも、そこに人がいる限り、東京という街は生きている。その息吹とアートはどのように呼応し、どんな景色を描き出すのだろう。30周年を迎えるワタリウム美術館が“東京の精神性”を問う展覧会。(『ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)』2020年10月号掲載)
1990年、青山キラー通りに、インパクトを放つ建築物が立ち上がった。同地で現代美術ギャラリーを営んでいた和多利家のもと、スイスの建築家マリオ・ボッタが設計を手がけたワタリウム美術館。その彫刻的なフォルムに込められたコンセプトは「都市の新しい顔となる」こと。三角形の敷地を生かした内部空間にも、鋭いエッジが効いている。それもまた、単に作品を置くだけの場所にとどまらないという、挑戦的なヴィジョンの表れだったに違いない。
それから30年。外苑前のシンボルとなったワタリウム美術館は、個展から企画展まで多種多様な展示やイベントを積み重ね、世界にここだけの道筋を紡ぎ上げてきた。東京という都市に根を下ろしながら、時代に息づく表現を世界へ向けて発信する。誰かが太鼓判を押した“借り物”ではなく、自らの嗅覚で探り当てたアートの意義を、ラディカルな姿勢で社会へ打ち出す。
いま、その地層の上に浮かび上がる眺めとは、何だろうか。コレクションや未公開の資料、さらに会田誠、渡辺克巳、SIDE COREの3組をゲストに迎えて“生きている都市”東京の精神性を映し出す展覧会。その景色に何かを見いだすのは、私たち自身だ。
「生きている東京 展 アイラブアート15」
期間/2020年9月5日(土)〜2021年1月31日(日)
場所/ワタリウム美術館
住所/東京都渋谷区神宮前2-7-6
TEL/03-3402-3001
URL/www.watarium.co.jp
※最新情報は公式サイトを参照してください。
Edit & Text : Keita Fukasawa