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森山未來が挑むWithコロナ時代の国際共同制作アートフィルム『OUTSIDE』

© Noam Levinger
© Noam Levinger

イスラエルの著名アーティストであるインバル・ピント(振付家)とエトガル・ケレット(作家・映画監督)が、俳優・ダンサーとして活躍する森山未來、作曲家の阿部海太郎とアートフィルムを発表する。その名も『OUTSIDE』~With コロナ時代の国際共同制作の挑戦~。オンラインでイスラエルと日本のスタッフをつなぎ、パンデミックという世界的な経験のもとで新しいクリエイションの形を模索した作品だ。

原作となるエトガル・ケレットの『OUTSIDE』はロックダウン中に執筆された短編小説。「夜間外出禁止令」が解除されてもなお、人々は家から出てくる気配はない。自粛生活を続ける人々を警察が無理やり外に出そうとする。段々と曖昧になるコロナ前の記憶。人々はいったい、どこに向かって歩けばいいのか…。そんな時に道端の物乞いを目にして起こった反応とは…。

© Lielle Sand
© Lielle Sand

振付家としての確かなキャリアを築き、日本でも積極的に活動を展開しているピント。彼女にとって初の映画作品の頼もしすぎる共同監督が原作者でもあるケレットだ。ケレットは、妻のシーラ・ゲフェンと共に制作した映画『ジェリーフィッシュ』が第60回カンヌ国際映画祭カメラドールを受賞するなど、映像作家としての確かな実力を世界的にも認められている。

© Noam Levinger
© Noam Levinger

日本からは、ピントが振付・演出した『100万回生きたねこ』をきっかけに、文化庁の文化交流使としてイスラエルに1年間滞在した森山未來が参加。森山はインバル・ピント&アブシャロム・ポラックダンスカンパニーを拠点に、ヨーロッパ諸国で活動した経験も持っている。作曲家の阿部海太郎も同じくミュージカル『100万回生きたねこ』の作曲と音楽監督を担当。この二人がピントの熱い思いに応え、今回の企画が実現した。

確かに、コロナ騒ぎは歓迎するべきものではない。だが、各界で活躍するアーティストたちは1年~2年先のスケジュールまで埋まっていることが多く、こうして「今」をテーマにした作品が生み出される機会は少ない。たとえ上演が劇場ではなく、同じ空気を吸っていなくても、場を同じくしているという実感を持たせてくれる。この時代にあって実に「演劇的な」作品と言えるだろう。

同時に改めて貴重に思うのは、こうした作品を生み出す土壌となった信頼関係だ。今回の企画もイスラエル大使館が両国のアーティストのコラボレーションに力を注ぎ、発案されている。何年にもわたる国境を越えたアーティストと彼らを取り巻く人々の地道な交流、相互の信頼関係がこうした未曾有の危機に思わぬ花を咲かせる。文化交流の価値を噛みしめる思いだ。

アートフィルム『OUTSIDE』 〜With コロナ時代の国際共同制作の挑戦〜

原作・監督/エトガル・ケレット 『OUTSIDE』(和訳版『外』)
振付・監督/インバル・ピント
ナレーター・俳優・ダンサー/森⼭未來
ダンサー/モラン・ミラー
⾳楽/阿部海太郎
翻訳/秋元孝⽂
主催/イスラエル⼤使館
後援/河出書房新社
協⼒/彩の国さいたま芸術劇場
会場協⼒/株式会社ワコールアートセンター
協賛/Factory 54 In collaboration with: Mishkenot Sha’ananim, Dalia Prashker, ZAZ10TS, Herzliya Museum, Israeli Opera
公開日/2020年7⽉22⽇(⽔)14:00~
Spiral Web  https://www.spiral.co.jp/outside
彩の国さいたま芸術劇場  https://www.saf.or.jp/arthall/stages/detail/7908

Text: Reiko Nakamura

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