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「六本木クロッシング」へ自分好みの現代アートを見つけに行こう

展示風景:「六本木クロッシング2019展:つないでみる」森美術館(東京) 撮影:木奥惠三 画像提供:森美術館
展示風景:「六本木クロッシング2019展:つないでみる」森美術館(東京) 撮影:木奥惠三 画像提供:森美術館

2019年5月26日(日)まで東京・森美術館にて、「六本木クロッシング2019展:つないでみる」が開催中。森美術館が3年に一度、日本の現代アートシーンを総覧する定点観測的な展覧会として2004年以来開催してきたシリーズ展を、文筆家でキュレーターの上妻世界がレポートする。(「ヌメロ・トウキョウ」2019年5月号掲載)

山内祥太 《ロキ、黄昏》 2018年 ビデオ・インスタレーション 展示風景:「六本木クロッシング2019展:つないでみる」森美術館(東京) 撮影:木奥惠三 画像提供:森美術館
山内祥太 《ロキ、黄昏》 2018年 ビデオ・インスタレーション 展示風景:「六本木クロッシング2019展:つないでみる」森美術館(東京) 撮影:木奥惠三 画像提供:森美術館

嗜好性を試す場所として

一般的に言えば、現代美術というと「奇をてらったもの」「海外のもの」「お金持ちのもの」と思われている。日本の現代美術に詳しい人でも戦後から60年代、90年代が中心で、2019年の日本の現代美術がどうなっているかに注目している人は少ない。

ヒスロム 《いってかえって―浮力 4》ほか 展示風景:「六本木クロッシング2019展:つないでみる」森美術館(東京) 撮影:木奥惠三 画像提供:森美術館
ヒスロム 《いってかえって―浮力 4》ほか 展示風景:「六本木クロッシング2019展:つないでみる」森美術館(東京) 撮影:木奥惠三 画像提供:森美術館

しかしそれは、彼らが今の現代美術に関心がないことを示しているわけではない。どこのシーンが盛り上がっていて、どこに行けばそれを体験できるのかが不明瞭なだけである。事実、僕はしばしば、さまざまな職種の人たちから「今どれを見にいったらいいの?」と質問を受けることがある。彼らも関心はあるのだと思う。

田村友一郎 《MJ》 2018年 ミクスト・メディア・インスタレーション Courtesy:Yuka Tsuruno Gallery, Tokyo 展示風景:「六本木クロッシング2019展:つないでみる」森美術館(東京) 撮影:木奥惠三 画像提供:森美術館
田村友一郎 《MJ》 2018年 ミクスト・メディア・インスタレーション Courtesy:Yuka Tsuruno Gallery, Tokyo 展示風景:「六本木クロッシング2019展:つないでみる」森美術館(東京) 撮影:木奥惠三 画像提供:森美術館

この六本木クロッシングは上記の疑問から最も距離が近い展覧会である。森美術館という誰もが知る美術館で、良くも悪くもキュレーションによる意味づけや方向づけがなされておらず、「若手の」作家が多数紹介されているからだ。

確かに「つないでみる」というテーマは設けられてはいる。しかし、「テクノロジーを使う」「社会を観察する」「二つをつなぐ」といったよくある手法を説明したもので、時代を切り取れているかと言えば、正直疑問は残る。

磯谷博史 《花と蜂、透過する履歴》ほか Courtesy:Aoyama Meguro, Tokyo 展示風景:「六本木クロッシング2019展:つないでみる」森美術館(東京) 撮影:木奥惠三 画像提供:森美術館
磯谷博史 《花と蜂、透過する履歴》ほか Courtesy:Aoyama Meguro, Tokyo 展示風景:「六本木クロッシング2019展:つないでみる」森美術館(東京) 撮影:木奥惠三 画像提供:森美術館

しかし、現代美術に慣れ親しんでいない人からすれば、本展は好きな作家を見いだし得る場であるし、自分の嗜好性を試すのに一役買うに違いない。是非、「現代美術って今どうなってるの?」「そもそも現代美術ってどういうもの?」といった関心と疑問を持つ人にこそ、本展をオススメしたい。それがあなたの今後の現代美術鑑賞の最初の一歩となるかもしれないからだ。

前谷 開 《Kapsel(カプセル)》 2012-2018年 Cプリント、インクジェットプリント 展示風景:「六本木クロッシング2019展:つないでみる」森美術館(東京) 撮影:木奥惠三 画像提供:森美術館
前谷 開 《Kapsel(カプセル)》 2012-2018年 Cプリント、インクジェットプリント 展示風景:「六本木クロッシング2019展:つないでみる」森美術館(東京) 撮影:木奥惠三 画像提供:森美術館

森美術館15周年記念展
「六本木クロッシング2019展:つないでみる」

会期/2019年2月9日(土)〜5月26日(日)
会場/森美術館
住所/東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
開館時間/10:00~22:00(最終入館 21:30)
※火曜日のみ17:00まで(最終入館 16:30)
※ただし4月30日(火)は22:00まで(最終入館 21:30)
※「六本木アートナイト2019」開催に伴い、5月25日(土)は翌朝6:00まで(最終入館 5:30)
会期中無休
URL/https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/roppongicrossing2019/index.html
問い合わせ/03-5777-8600(ハローダイヤル)

Text:Sekai Kouzuma Edit:Sayaka Ito

Profile

上妻世界(Sekai Kouzuma)文筆家、キュレーター。1989年生まれ。主な著書に『制作へ』(オーバーキャスト)、『脱近代宣言』(共著/水声社)、主な展覧会に「Malformed Objects 無数の身体のためのブリコラージュ」(山本現代)、「時間の形式、その制作と方法 -田中功起作品とテキストから考える」(青山目黒)がある。

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