安室奈美恵が語った「今伝えたいこと」 | Numero TOKYO
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安室奈美恵が語った「今伝えたいこと」

女性が憧れるスタイルアイコンであり、永遠の歌姫、安室奈美恵。2018年9月16日をもって引退する彼女を、「ヌメロ・トウキョウ」2018年9月号で大特集! 永久保存版のロングインタビューから、一部を抜粋してご紹介。

これまでの25年間を振り返ると?

「25年は、思ったよりもあっという間な感じもありました。今は、なるべく“いつもどおり、いつもどおりに”と心がけながら、9月16日までの日々を有意義に過ごせたらいいなと思っています。記憶がところどころ飛んでいるほど駆け抜けた10代から、スローダウンをしながらもやっぱり駆け抜けた20代があって、自分で考えて、判断して私なりのペースで歩んでいけた30代。40歳になった今は、この集大成をきちんと届けることだけを考えています」

90年代半ばには「アムラー」が社会現象にもなり、楽曲もミリオンヒットを連発。世間では“安室奈美恵像”がどんどん大きくなっていく。

「心は……、おいていけぼりだったと思います。私は世間のイメージに追いつかなきゃいけないのか? それとも、独り歩きさせたままでもいいのか? どうするべきかわからなくて、それを誰かが教えてくれるわけでもない状況で。うまく心を整理できていたわけじゃないけど、結果的には『私は私だから』と、いい意味で開き直って乗り越えてきたように思います。(中略)たとえ気持ちが追いついていなくても、とにかく前に進まなきゃいけないし、それを一人で抱えることへのプレッシャーと戦わなきゃいけなかった」

19歳を迎えた年。出産、育児のために1年間の休業に入った。決断に後悔はないけれど、そう思えるようになったのは通り過ぎてみて“糧”を得ることができたから。

「それまで自分と向き合うことをせずに走ってきて、ここで初めて立ち止まりました。自分から申し出たものの、丸々1年間も休むことにどうしようもなく焦ったのは事実。でも 今のように一歩引いた場所から、客観的に自分を捉える視点だったり、考えを身につけられたのは、絶対にこの1年間があったから。それまでの立ち位置を知ることで、じゃあ復帰した後はどんな立ち位置を目指せばいいのか? でも、思った通りのかたちで戻れるのか? そういったことを全部ひっくるめて試行錯誤する作業を繰り返していました。もう、イヤというほど自分と向き合う時間があったから、焦りや不安をコントロールできるようになれたし、今まで走ってこられたんだと思います。もし立ち止まることなく10代のままの速度で突っ走っていたら、どこかで息切れしてしまったんじゃないかな。子どもが生まれたことで、仕事とプライベートの切り替えもスムーズになって、意識して区切る必要もありませんでした」

“私は私”と強さを貫いてきた彼女にも、内面の変化が訪れる。そこで見つけたのが、新しい表現方法だと言う。

「小室さんから卒業し、セルフプロデュースのタイミングでした。歌う曲を自分で決めたときは、結婚もして子どももいたためなのか、トゲがとれて丸くなっていたんでしょうね。『Say the word』で初めて歌詞を書いたら、ファンが『あれ?』と違和感を覚えているのを肌で感じたんです。(中略)私自身も“安室奈美恵になる”必要性を求められる中でしっくりきたのが、強い女性像を描いた歌詞を選んで、その世界観に飛び込むこと。『こんな強い女性がいたらいいな、カッコいいだろうな』という歌詞を曲に仕上げてもらい、自分をその世界観に染めていく。曲ごとに違ったカッコよさや強さを持つ女性になれるような気がして、新しい表現を楽しめるようになりました。心が折れそうになったときは、力強い安室奈美恵という存在が支えにもなったんです」

一人で闘うためには、身につけなければならなかったものがたくさんある。安室さんの代名詞ともいえるMCのない圧巻のライブスタイルも、物事を俯瞰で捉える視点から生まれた。

「MCはメンバーがいてこそ成立していたもので、一人になったときにどうすればいいんだろうという戸惑いでいっぱいでした。当初は、例えば大阪だったら『お好み焼きを食べたよ』なんて話もしていたんですが、お好み焼きを食べた話をした人が『次は“TRY ME”です』と流れを持っていくのは難しい(笑)。急に真顔でダンサブルな曲は歌えないし、無理してしゃべらなくてもいいのかなと。MCなしで進行したほうが流れもよかったですし、何より私もしっくりきた。そして最後だけ挨拶。それすら、年々少なくなってきてしまったけれど、中途半端にやるよりはバサッとなくてしてしまうほうが潔くていいかなって」

25年間、歌い続け、常に進化を遂げてきた安室奈美恵。これまでの軌跡を振り返った、ロングインタビューの全貌は「ヌメロ・トウキョウ」2018年9月号で。

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