「戦争と花」をテーマにフラワーアーティスト東信が企画展開催
「ヌメロ・トウキョウ」でもお馴染みのフラワーアーティスト東信が率いるAMKK(東信、花樹研究所)と、東京・神宮前のギャラリー「The Mass」による写真展「戦争と花」が開催される。会期は2018年7月20日(金)から8月15日(水)まで。
「戦争と花」をテーマに、東信たちが7〜8年ほど前から集めてきたイメージをもとに、マグナム・フォトや朝日新聞フォトアーカイヴ、共同通信イメージズらの協力を得て、戦争を題材とした様々な切り口の写真で構成される。3つの展示棟では「戦場と花、祈りと花」「死者へ手向ける花」「兵士と花」のテーマで、全87点の作品が展示。
上記写真5点/© The Asahi Shimbun Company
人は生まれてから死ぬまでの間、喜び、悲しみ、励まし、弔い、祈りなど、人生の様々な場面において、言葉にできない思いを、儚く美しい花を捧げることで託してきた。そして「戦争」という最も醜悪な歴史の一幕においても、咲き続ける花、捧げられる花、弔いの花、祈りの花と、さまざまな花の姿があった。
花を愛し、花に携わる者の使命として、東自身も毎年欠かさず、広島や長崎の原爆の日には、その地に赴き、花を手向けている。
本展では「戦争」と「花」という一見相反する要素をレンズの中でつなぎ合わせた数々の写真作品を通じて、「戦争」という史実と向き合い、平和への思いをあらためて考える機会となれば、という東の強い思いが込められている。
その一貫として、展覧会の来場者には先着順で、東自らが作った押し花が贈られる(数に限りがあるのでお早めに)。この押し花に使った花は、奄美群島に位置する鹿児島県大島郡喜界島に咲く天人菊(テンニンギク)で、これにも東なりの深いメッセージが込められている。
第2次世界大戦中、陸海軍の基地だった喜界島には、数千人もの兵士が常駐し、本土の基地から沖縄のアメリカ艦隊に向かって飛び立った特攻機は、この喜界島で給油や整備をし、再び沖縄に向かったとされている。そんな基地から飛び立った若き特攻隊員たちに、島の娘たちが贈った天人菊の花束の種子が落ちて芽生え、年々繁殖して、現在では花畑になったのだという。島人たちは、この天人菊を、「特攻花」と呼び、平和を願う花として大切にしている。
当時の基地は現在、喜界空港として利用され、滑走路周辺には今もあたり一面に天人菊が咲き乱れている。今回、東たちは、特別に許可を取って、この特攻花を摘みに喜界島へ出向き、ひとつひとつ押花に仕上げたのだ。
上記5点/©︎Shunsuke Shiinoki
花と向き合い、挑み続けてきたフラワーアーティスト東信とAMKK(東信花樹研究所)が、「戦争」の中に見出した、一筋の希望のような、人々の平和への思いを代弁するかのような花の姿。こんなところにも、あんなところにも確かに存在する普遍的な花に込められたメッセージを感じてほしい。
「戦争と花」
期間/2018年7月20日(金)〜8月15日(水)
会場/The Mass
住所/東京都渋谷区神宮前5-11-1
TEL/03-3406-0188
開廊時間/12:00〜19:00
休廊日/火、水 ※8月14日(火)、15日(水)は特別開館
URL/themass.jp
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Text:Hiromi Mikuni, Masumi Sasaki