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建築界のW杯「ヴェネチア・ビエンナーレ」開幕。優勝はどの国に?

ヴェネチアビエンナーレの2つのメイン会場のひとつ、ジャルディーニに建つメインパヴィリオン。
ヴェネチアビエンナーレの2つのメイン会場のひとつ、ジャルディーニに建つメインパヴィリオン。

水の都ヴェネチアにて、世界最大規模の建築の祭典「第16回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展」が2018年11月25日(土)まで開催中。その見どころを現地からレポート!

国別で金獅子賞が競われるヴェネチア・ビエンナーレ

世間の注目がサッカーのワールドカップに集まるなか、もうひとつのW杯がイタリアで5月下旬に開幕した。水の都ヴェネチアで行われる世界最大の建築の祭典「第16回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展」だ。「FREESPACE(自由な空間)」をテーマに、国別と建築家による展示が競って行われ、オープン初日に「金獅子賞」が発表される。


かつて造船所だった広大な施設を展示スペースにしたビエンナーレのアルセナール会場。

本題に入る前に、ビエンナーレって一体何? という方に取り急ぎ1分で解説してみよう。そもそもビエンナーレとはイタリア語で「2年に一度」という意味(ちなみにトリエンナーレは3年に一度)。世界中様々な場所でビエンナーレと呼ばれるイベントが開催されているが、元祖はこのヴェネチア・ビエンナーレ。発祥は1895年に開催された国際美術展、いわゆるアート展をさす。

他にもお馴染みの映画(こちらは毎年開催)をはじめ、演劇、ダンス、音楽部門があり、アート展と建築展は隔年ごとに開催され、今年は建築展、というわけ。建築展とアート展は「ジャルディーニ(公園)」と「アルセナーレ(造船所跡地)」と呼ばれる2つの広大な敷地がメイン会場となり、それぞれの国がこの2つの会場にパビリオンを設け展示・発表を行うのだ。今回は我が日本をはじめ63ヵ国が参加。今回のテーマ“自由な空間”についての可能性や未来について、各国館で展示が行われている。


世界中から大勢の来訪者で賑わう、ビエンナーレの様子。

ちなみに、獅子はヴェネチア市の紋章(正確には羽のはえたライオンなので伝説の動物グリフィン!?)。よって栄誉ある者に獅子を模した賞が贈られる。

建築展で国別に金獅子賞が発表されるようになって今回で11回目。そのうち最多受賞は、なんと日本とスペイン(日本館は1996年&2012年にそれぞれ建築家・磯崎新、伊東豊雄がキュレーターで受賞。前回2016年は特別賞受賞)。金獅子受賞国は1996年から順に、日本、スペイン、オランダ、ベルギー、デンマーク、ポーランド、バーレーン、日本、韓国、スペインとなっていて、欧州勢が優勢、たまにアジア勢が混ざる、といった感じだ。

第16回の優勝はスイス館! 準優勝はイギリス館に

建築ビエンナーレでの日本の活躍は目を見張るが、南米勢はサッカーと違い建築界ではふるわず。とにかく欧州勢が目立っている。

今回特に面白かったのが、廃墟になった建物に新たなコミュニティーを生み出そうというフランス館の展示や、60年代風の未来の生命維持空間を提案したスウェーデン・フィンランド・ノルウェーによる北欧三国館。しかし最終的に金獅子を奪ったのはスイス館。そして特別賞はイギリス館に贈られた。


壁面いっぱいに日用品を貼り付けた、ヴェネチアビエンナーレ国際建築展でのフランス館の展示。


北欧三国館による60‘S風の近未来的な展示。パヴィリオン中心に生える3本の木は展示ではなく、開館時からパヴィリオンに植えられているもの。

一体どんな展示が評価されたのだろう? スイス館の展示タイトルは「ハウスツアー(House Tour)」。スイス館内に原寸大の住宅が出現。入口から進むと部屋ごとにスケールが変わり、小さくできた中庭では巨人になった気分に、巨大なスケールでできたキッチンではまるでトムとジェーリーになった気分に…と日常空間の狭い広いのサイズ感をスケールの違いで楽しみながら体感できる展示が審査員の心を奪った。


今回「金獅子」を受賞したスイス館。パヴィリオンはジャルディーニ会場の入り口に建つ。


スイス館の展示。日常空間のスケールの大小を実体験できる。

特別賞のイギリス館の展示テーマは「島(Island)」。あえて館内を空っぽにして展示を行わず、そこはイベントを行うプラットフォームにし、トーク会などを実施。屋上に仮設の“広場”を出現させた。


特別賞受賞のイギリス館は、屋上に“広場”を出現させた。屋上がカフェに早変わり。

我が日本館は、残念ながら賞は取らなかったものの、「建築の民族誌」と題し(キュレーターは建築家ユニット、アトリエワンの貝島桃代)、建築家のドローイングのみならず、山口晃や須藤由希子など現代美術作家の作品も展示。きめ細やかにじっくりと見せる手法で、世界の建築好きや建築関係者の興味を引き、唸らせていた。


日本館はル・コルビュジエの弟子としても知られる建築家・吉阪隆正の設計。


ドローイングを中心に展示した日本館。写真は現代美術作家、須藤由希子の作品。


日本館のテーマは「建築の民族誌」。じっくり見せる内容で、海外の建築関係者からも好評だった。


水の都ヴェネチアならではの開放感溢れるロケーション。


開催期間中は看板なども設けられ、ヴェネチア市内がビエンナーレ一色に染まる。

La Biennale di Venezia 16th International Architecture Exhibition

ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展

会期/2018年5月26日(土)〜11月25日(土)
会場/メイン会場は市内のジャルディーニ会場とアルセナール会場の2か所。その他、市内各所でも各国が展示を行っている。
開場時間/10:00~18:00(チケットオフィスは17:30まで)
入場料/25ユーロ
休館日/月曜
URL/www.labiennale.org

Photos&Text:Minami Nakawada

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