Art / Post
安藤による設計では、建造物の内部にコンクリートの巨大な円筒を挿入し、6つの展示スペースがつくられる予定。トータルで3,000平方メートルというモジュール式展示空間には、ダミアン・ハースト、サイ・トゥオンブリー、村上隆など3,500点以上もの作品を擁するピノーのコレクションから展示が行われる予定。300人収容のオーディトリアムも用意され、展示のみならず上映会やレクチャー、コンサートなども行われるそう。さらに建物のランドマークである天窓や天井のフレスコ画も、本来の状態に修復。古今のアートが同居し、まさにアートを体験するための理想的な空間となりそうだ。
安藤忠雄設計の美術館が2019年、パリに誕生
安藤忠雄, フランソワ・ピノー,ケリンググループ
ケリング・グループ創業者で、フランスの資産家、フランソワ・ピノーが持つコレクションを展示する現代アートの美術館が2019年、パリにオープンする。設計を手がけるのは世界的建築家の安藤忠雄。現代アートファン、建築ファンともに大注目のニュースだ。
フランス・パリ中心部の歴史的建造物「ブルス・ド・コメルス(Bourse de Commerce)」が、安藤忠雄による設計・改修により、フランソワ・ピノーのコレクションを展示する、現代アートに特化した美術館になると発表。この建物の歴史は16世紀にまで遡り、今日までパリの街や時代の変化とともに歩んできた。現存しているのは19世紀の建物で、当時は麦の卸市場として使われていたという。
Rendering of the facade from the jardin des Halles
© Artefactory Lab ; Tadao Ando Architect & Associates ; NeM / Niney & Marca Architectes ; Agence Pierre-Antoine Gatier. Courtesy Collection Pinault – Paris.
Rendering of the walkway and the oculus along the top of the cylinder.
© Artefactory Lab ; Tadao Ando Architect & Associates ; NeM / Niney & Marca Architectes ; Agence Pierre-Antoine Gatier. Courtesy Collection Pinault – Paris.
ピノーと安藤といえば、これまでにイタリアのヴェネチアにて美術館「パラッツォ・グラッシ(Palazzo Grassi)」と「プンタ・デッラ・ドガーナ(Punta della Dogana)」、そしてミニシアターの「テアトリノ(Teatrino)」が実現しており、いずれも現代アートの重要な拠点となっているが、パリでの美術館実現は2000年に発表されたセーヌ川・スガン島のプロジェクト(実現せず)以来の悲願でもある。
ブルス・ド・コメルスのオープンは2019年。二人の野心的な挑戦がどんな空間を誕生させるのか、引き続き注目していきたい。
Text:Akane Naniwa