永井博『T・R・O・P・I・C・A・L – L・A・N・D・S・C・A・P・E』展 | Numero TOKYO - Part 2
Art / Post

永井博『T・R・O・P・I・C・A・L – L・A・N・D・S・C・A・P・E』展

永遠のバケーションを描くイラストレーター永井博。そのトロピカルなランドスケープの展覧会が、今年も表参道CAYで開催中。いざ、吹き渡る南風の向こう側へ……!

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個人的に決定打となったのは、2016年5月から7月にかけて開催された展覧会だった。もちろん会場に足を踏み入れる以上、南風に対する覚悟はできていた……つもりだった。ところが、初めて目にした原画の数々に、一瞬にして意識を持っていかれてしまった。表参道はスパイラル地下のレストラン&バー「CAY」で迎えた、極私的な夏の幕開け。ここではないどこか、海と空を隔てたはるか遠くに広がる、決してたどり着けないバケーションの眺め──。

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あれから1年。あの『Penguin’s Vacation Restaurant』が、再びCAYで開催されている。第2弾のテーマは“トロピカル”。トロピカル、tropical、熱帯、熱々亜熱帯……。
プールサイドに咲き誇る花々、風になびく椰子の木、白砂に影を落とすテールフィン付き50年代アメリカ車、夜のとばりに輝くシティスケープ、密林の宵闇にたたずむレコードショップ etc.。作品1点ごとに吹き抜けるクリアな南風に身を預け、さらにTシャツやポストカード、缶バッヂなどグッズを手に取り、目を細める。嗚呼、なんという熱帯への扉──。
時代や世代を超えた永遠の理想郷から吹き抜けるサマーブリーズが、今年も人々の心に美しく狂おしいさざ波を立てていく。

※『Numéro TOKYO』2017年6月号 掲載記事を加筆転載

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「Penguin’s Vacation Restaurant 2017 
“T・R・O・P・I・C・A・L – L・A・N・D・S・C・A・P・E”」

会期/開催中〜2017年6月25日(月)
会場/CAY(スパイラルB1F)
住所/東京都港区南青山5-6-23
時間/11:30〜24:00(L.O. 23:00) ランチ11:30〜17:00
TEL/03-3498-5790
入場料/入場無料(要1オーダー)
URL/aoyama-cay.com

※4月23日から開催、5月21日に作品の入れ替えあり。貸し切りイベント開催中は観覧不可のため、事前に電話または公式サイトでチェックを。

Text:Keita Fukasawa

Profile

深沢慶太Keita Fukasawa コントリビューティング・エディターほか、フリー編集者、ライターとしても活躍。『STUDIO VOICE』編集部を経てフリーに。『Numero TOKYO』創刊より編集に参加。雑誌や書籍、Webマガジンなどの編集執筆、企業企画のコピーライティングやブランディングにも携わる。編集を手がけた書籍に、田名網敬一、篠原有司男ほかアーティストの作品集やインタビュー集『記憶に残るブック&マガジン』(BNN)などがある。『Numéro TOKYO』では、アート/デザイン/カルチャー分野の記事を担当。

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