ダグラス・ゴードンは映像や写真、インスタレーションなど多様なメディアを用いて空間やその意味を変質させ、生と死、現実と虚構といった問題を問いかけるアーティスト。一方でジョナサン・モンクは、 “模倣” の中に創造性を見出す。有名なアート作品からの引用を用いて現代美術のあり方を模索する彼の作品には、 “美術の生成過程” というメタ的なテーマも含まれている。
同時代にイギリスで生まれた二人。2015年に彼らは、ベルリンにあるレストランPARIS BARで昼食を共にした。今回展示されるネオン作品には、「Badoit(水)」や「Escargots de Bourgogne (ブルゴーニュ風エスカルゴ)」など、二人が注文した飲み物や料理の名前が付いており、各ネオンは料理が運ばれてきた順に、そして下げられるまでの時間分だけ点灯する仕組みになっている。そのため私たちはすべての料理=作品を鑑賞するために、二人の食事と同じだけの時間を過ごすことになる。ネオンを通じて、二人の昼食を追体験するわけだ。
ベルリンにある「パリ」という名のレストランでの昼食を、東京のギャラリーにて体験する展覧会。タイムマシンに乗るのとはまた違った、時間と空間を超えたつながりを、あなたも体験してみてはいかがだろうか。
Douglas Gordon & Jonathan Monk 「PARIS BAR」
会期/2016年4月8日(金)〜 5月14日(土)
会場/TARO NASU
住所/東京都千代田区東神田 1-2-11
時間/10:00〜18:00
休廊/月曜・日曜・祝祭日
TEL/03-5856-5713
URL/www.taronasugallery.com
“PARIS BAR” © Douglas Gordon & Jonathan Monk Courtesy of TARO NASU
Text: Ken Suzuki