銀座メゾンエルメスに “妖怪” が集結!?
水木しげるも驚く、シャルル・フレジェの写真展
それにしても、“妖怪の島” とはこれいかに?
……その答えは、会場を訪れれば一目瞭然。
最初に目に飛び込んでくるのは、入り組んだ海岸線や山々の連なりなど、地域色豊かな文化を育んできた日本特有のランドスケープを模したという、山あり谷ありの展示構成。
注目の若手建築家・松島潤平が手がけたその地形のここかしこに、あんなお姿やこんなお姿がむっくらひょっこり降臨し、八百万(やおよろず)な眺めを作り出している。
そして、もう一方のスペースでは、一面の雪景色を思わせる純白の壁面に「なまはげ」系列の方々や、顔や体を覆う藁から裸の手足だけが突き出た佐賀県の「カセドリ」など、毎年正月に来訪する歳神(としがみ)たちがずらり勢揃い。
何がどうなって、どうしてこうなったのか、日本古来の伝統や地域文化の伝播の経緯について冷静に考えを巡らせようとするものの、ただ驚異と呼ぶしかない超絶スタイリングの数々を前にして、理性はもはや風前の灯火。
––––結論。日本列島は、まさに人智を超えた「YÔKAÏ」たちの島だったのだ……!
そして、歳神たちの隣の壁面には、ヨーロッパの毛むくじゃら獣人軍団こと『WILDER MANN』の作品群が対置されている。
どちらも自然崇拝的な土着文化から生まれた姿という点では共通するものの、こうして比較してみると、日本が誇る「YÔKAI」たちの奇想天外な百花繚乱ぶりが、ますます際立って見えてくる。
Text:Keita Fukasawa