真剣なり。
マーク・ニューソン×日本の伝統工芸の精髄『aikuchi』
先日、デザイン界のみならず、全世界のクリエイティブ・クラスタの間で、ある電撃ニュースが駆け巡った。
「あのマーク・ニューソンが、今度は “@!※ ♨” をデザインした! しかも日本で!! 」
マーク・ニューソン。言わずと知れた、現代を象徴するプロダクトデザイナー。
エルメス、ブシュロン、ライカ、ナイキなど、そうそうたるブランドとのコラボレーションにはじまり、ラグジュアリーなレストランやブランドブティックの内装や家具、ヴァージングループの宇宙旅行会社「ヴァージン・ギャラクティック」のスペースジェット(宇宙往還機)までをデザインしてきた彼のこと、もはやその動向は全世界の関心の的となっている。
昨年夏には、Appleのデザインチームを率いるジョナサン・アイブからのラブコールを受けて、同社に電撃参加。今年4月に発売された『Apple Watch』の特徴的な曲線使いに、思わずむせび泣いた人も少なくないはずだ。
その彼が、なんと “日本刀” をデザインした!
……という一報を受けて、世界中の人々の頭に浮かんだ印象を書き出してみる。
日本刀 = “世界一切れる” といわれる刃物。サムライの精神性そのもの。日本文化の核心、大和魂の象徴…… etc.
しかし、あえて言おう。それらは深遠なる日本刀の、ごく一部の側面でしかないことを……!
今回のコラボレーションが目指すもの。その真意を理解するために、ここで「なぜ日本刀なのか?」という疑問を掘り下げてみよう。
Text:Keita Fukasawa