いまが絶景! 開幕相次ぐ
“京都×現代アートイベント” の新地平へ
なぜだ!? 春の京都で、現代アートイベントが次々に開幕! 春の京都といえば、桜、つつじ、若草萌ゆる寺社の庭園に、春の美味いろいろ。 ……というのがお決まりだった。これまでは。 でも、今年はなにやら様子が違っている。京都を舞台に現代アートの国際展が次々と開幕、まさに花ざかりの “かつてない眺め” が出現しつつあるのだ……! それが、『Numéro TOKYO』2015年5月号(3/28発売)の別冊付録『Numéro KYOTO』でフィーチャーした、“京都×現代アート” 新時代を予感させるイベントたち。 ひとつめは、京都の街で初めてとなる、大規模な現代アートの国際展『PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭 2015』。 そして、京都発・超ハイクオリティなアート写真イベント『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2015』。 さらに、京都開催のアートフェアとして実績を誇る『超京都』と『ART KYOTO』の2つが合体した『超京都 art kyoto 2015』まで。 日本が誇る文化都市でありながら、じつは現代アートの美術館が存在せず(!)、大型の国際展も開催されてこなかった(!?)という京都の街。 その長き歴史と文化を新しいかたちで発展させるべく、この春にそろい踏みを果たした “京都×現代アート” の動向について、ひと足早く開幕した『PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭 2015』のレポートを交えつつ、いざご案内……!
京都の歴史建築 vs. 森村泰昌! お次はピピロッティ・リスト…!!
京都市美術館に続いて、『PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭 2015』のもうひとつのメイン会場へ。
三条通に面した京都府京都文化博物館 別館は、日本の近代建築の父こと辰野金吾によって1906年に建てられた名建築。その1階、時代の趣を感じさせるホール空間に、名画に自ら扮した作品で知られる森村泰昌の2作品が展示されている。
『ベラスケス頌: 侍女たちは夜に甦る』は、プラド美術館に展示された17世紀スペインの画家ディエゴ・ベラスケスの名画『ラス・メニーナス』の前で撮影・制作された “全8幕の一人芝居” とも呼ぶべき不可思議な作品。今回は作家自身による音声解説が加えられた。
別室に展示された森村泰昌の別作品『Hermitage1941-2014』や、2階のドミニク・ゴンザレス=フォルステルの作品、隣接する本館フィルムシアターでのアレクサンダー・ザルテンの作品上映など、建物自体の歴史とともにアート作品を体感できる構成だ。
なお、この近辺では京都芸術センターや、大垣書店烏丸三条店のショーウィンドウなど、ほかにも展示が点在しているので、それらをまとめて訪ね歩くのがオススメ。
続いては、メインの2会場以外から、注目の展示をピックアップ。
堀川通沿いに連なる「堀川団地」は、1950〜53年にかけて建設された団地建築。1階に店舗アーケードを設けた鉄筋コンクリート製集合住宅としては、日本で最も古い歴史を持つ。
その1室を訪ねると、寝室の畳の上に敷かれた布団と天井に、ピピロッティ・リストの映像作品が投影されている。
この部屋で暮らした住民たちの存在に思いを馳せながら、人類の夢と進化を描いた映像世界にしばし五感を預けてみよう。
※『Numéro TOKYO』5月号(3/28発売)別冊付録『Numéro KYOTO』にて、「PARASOPHIA」出展アーティストから蔡國強のほか、森村泰昌、ピピロッティ・リスト、やなぎみわ のインタビューを掲載。ぜひチェックを!)
Text:Keita Fukasawa