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Culture Art

“デザインいずる国”に最敬礼!『スイスデザイン展』

 

Text:Keita Fukasawa

ヘルベルト・マター『「エンゲルベルク・スキー場」ポスター』(1935年)竹尾ポスターコレクション
いきなりですが質問です。
「スイス」と聞いて、思い浮かぶものを挙げてみよう!

まず、赤い正方形に白十字の国旗。
そして、美しいアルプスの絶景をひた走る山岳鉄道。
お土産なら、ビクトリノックスのアーミーナイフに、パッケージがおしゃれなチョコレート。
ラグジュアリー系なら、ロレックスやオメガをはじめとする高級腕時計と、毎年3月に開催される世界最大の宝飾品や時計の見本市「バーゼルワールド」etc.。

……と、ここでふたつめの質問。
これらすべてに共通する、スイス独自の “あるもの” とは?

『オフィサーナイフ』ビクトリノックス(1897年)
答えはずばり、「デザイン」。
そう、スイスは “デザインの国” でもあるのです。
それにしてもなぜ?

勤勉で誠実な国民性がまずひとつ。そしてもうひとつのヒントはその立地。
四方をフランス、イタリア、ドイツなどに囲まれた小さな国で、軍事的な同盟国を持たない永世中立国。もし攻撃を受けた場合は橋やトンネルを爆破して国境を封鎖するための準備が整えられ、多くの学校に食糧を備蓄した核シェルターが存在するなど、徹底した備えで平和を守ろうとする姿勢は世界的に有名。それだけでなく、面積の6割におよぶ山岳地帯を逆手にとり、山あいに鉄道網を張り巡らせて観光立国を成し遂げてもいる。

……つまり。
大国に囲まれながら絶えず自分たちの立場を考えてきたことが、確固たる “国自体のデザイン” に結び付いた……のかもしれない。その “デザイン” の完成度たるや、ヨーロッパのくせに列車の運行が正確すぎて、毎日遅れて当然のフランスやイタリアの鉄道会社を相手取り、時間調整の損害賠償を請求したという噂を聞くほど。
デザインの国・スイス、おそるべし……!

『WHITE LOOP』スウォッチ(2014年)

Profile

深沢慶太(Keita Fukasawa) フリー編集者/ライター/『Numéro TOKYO』コントリビューティング・エディター。『STUDIO VOICE』編集部を経てフリーに。『Numéro TOKYO』創刊より編集に参加。雑誌や書籍、Webマガジンなどの編集・執筆、企業企画のコピーライティングやブランディングにも携わる。編集を手がけた書籍に、田名網敬一、篠原有司男ほかアーティストの作品集や、編集者9人のインタビュー集『記憶に残るブック&マガジン』(BNN)など。

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