初詣からラスボス降臨?伊藤桂司×小町渉コラボ・コラージュ展 | Numero TOKYO - Part 2
Art / Post

初詣からラスボス降臨?
伊藤桂司×小町渉コラボ・コラージュ展


もう1人の名は、小町渉(こまち・わたる)。
パンクな印象が冴えわたる画面に痛烈なる反骨精神を滲ませつつ、そこはかとないエレガンスを醸し出す作品で知られるアーティスト。かのデニス・ホッパーからの賞賛をきっかけにキャリアをスタート、パリのコレットやボンマルシェなど国内外で作品を発表、BECK(ミュージシャン)のオフィシャルTシャツデザインを手がけるなど、アート/グラフィック/プロダクトのボーダーを越えてなお、一本筋の通った世界観を築き上げてきた。その堂々たる作品強度は、社会風刺とウィットあふれる “グラフィカル・トリックスター”(※勝手に命名その2)と呼ぶにふさわしい。


ともに1980年代日本のグラフィックカルチャーを養分とし、90年代ストリートカルチャー黄金期、そしてゼロ年代と、ぐんぐん孤高なる軌跡を描いてきたアートシーンの異端児。同じ時代を駆け抜けてきた戦友として、とうの昔にコラボレーション済みかと思いきや、2015年の幕開けたるこの1月〜2月にかけて、初の2人展を開催。
デザイン〜ものづくり界気鋭のバイヤー/クリエイティブディレクター・山田遊(やまだ・ゆう)が率いるmethod(メソッド)のギャラリースペース「(PLACE) by method」を会場に、往復書簡のプロセスを経て制作されたカセットテープの作品群「コラボレーションカセット」などのコラボレーション作品や、それぞれの新作を披露するという。

こ、これはもしや……!
時はおりしも、コピペ炎上地獄到来を目前に控えたテン年代ド真ん中。
コピペ厨はびこる末法の世に、心理療法的に視覚や触覚へアプローチし、精神の深淵へと作用するアナログ・コラージュ界のラスボス2人がおお!! ガッチリとタッグを組んで雷鳴とともに降臨、浅薄なるデジタル・パクリ・イメージの荒野にコピペしようもなく圧倒的なアウラを焼き付けながら、呪術的にして重厚なるクリエイティブ伽藍を建立しようとするコラージュ菩薩行……!!!! なのかもしれない。
(感想文おわり)

無数の紙片に2人のイマジネーションと表現強度が憑依して織りなす、コラージュ×コラボレーションのまだ見ぬ宇宙。
コピペ情報にまみれた我が身を清めにひとつ、アート初詣(はつもうで)はいかがでしょう……?

『伊藤桂司 × 小町渉 展 / Keiji Ito × Wataru Komachi Exhibition』
期間/2015年1月9日(月)〜2月28日(土)
場所/(PLACE) by method
住所/東京都渋谷区東1-3-1 カミニート14号2F
休館日/日・祝
URL/http://wearemethod.com/

※展覧会に合わせて、「コラボレーションカセット」作品にフォーカスした共作『ZINE』がERECT MAGAZINEより刊行。

Text:Keita Fukasawa

Profile

深沢慶太(Keita Fukasawa) フリー編集者/ライター/『Numéro TOKYO』コントリビューティング・エディター。『STUDIO VOICE』編集部を経てフリーに。『Numéro TOKYO』創刊より編集に参加。雑誌や書籍、Webマガジンなどの編集・執筆、企業企画のコピーライティングやブランディングにも携わる。編集を手がけた書籍に、田名網敬一、篠原有司男ほかアーティストの作品集や、編集者9人のインタビュー集『記憶に残るブック&マガジン』(BNN)など。

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