アート×宇宙ブーム到来?『ミッション[宇宙×芸術]』展 | Numero TOKYO - Part 2
Art / Post

アート×宇宙ブーム到来?
『ミッション[宇宙×芸術]』展

展覧会のタイトルは『ミッション[宇宙×芸術]—コスモロジーを超えて』。 開催趣旨には、「限りなく私たちの日常に近づく宇宙領域と、アーティストらによる内的宇宙を、個々のコスモロジー=宇宙論を超える多元的宇宙として呈示します」。 まず、[宇宙]に関しては、どのような展示が見られるのだろう? 宇宙開発事業団(旧NASDA/現JAXA)による測地実験衛星『あじさい』、H-IIロケットの先端部のカバー部品であるフェアリングの実物。漫画家のあさりよしとお、アーティストの八谷和彦、ホリエモンこと堀江貴文らが結成した「なつのロケット団」による民間DIYロケットの歴代実機のほか、プラネタリウムクリエイター 大平貴之による『MEGASTAR』シリーズの満点の星空を眺めることができる大型展示空間や、お茶の間をあっと驚かせた大塚製薬「ポカリスエット」の宇宙ロケCM映像などが出品されている。
mission space × art
mission space × art
次に[芸術]だが、ここでいう “宇宙” とは、単なる地球外空間のことではない。 ウルトラテクノロジスト集団として注目を集めるチームラボと書家の紫舟とのコラボレーション作品『冷たい生命』は、書を空間に立体的に再構築しながら、生命があふれだす様子を日本古来の宇宙観に通じる空間認識のもとに描き出す。 また、もう一つの作品『憑依する滝、人工衛星の重力』は、超微細なシミュレーション映像による高さ19mの滝を陸域観測技術衛星2号『だいち2号』の実物大模型にプロジェクションマッピングした、圧巻のインスタレーション空間だ。 ほかにも、逢坂卓郎による宇宙線(宇宙から地球へ降り注ぐ高エネルギー粒子)を検出して明滅するインスタレーションや、垂れ下がる絵の具の自重(重力)のみで描かれた名和晃平のペインティング、舞踏家の福原哲郎と彼が率いる東京スペースダンスによる無重力空間をイメージさせる体験型作品など、表現活動を通して内的/外的宇宙へのヴィジョンを感じさせる展示がずらりと並ぶ。

Text:Keita Fukasawa

Profile

深沢慶太(Keita Fukasawa) フリー編集者/ライター/『Numéro TOKYO』コントリビューティング・エディター。『STUDIO VOICE』編集部を経てフリーに。『Numéro TOKYO』創刊より編集に参加。雑誌や書籍、Webマガジンなどの編集・執筆、企業企画のコピーライティングやブランディングにも携わる。編集を手がけた書籍に、田名網敬一、篠原有司男ほかアーティストの作品集や、編集者9人のインタビュー集『記憶に残るブック&マガジン』(BNN)など。

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