“20世紀最後の巨匠”が日本に降臨!バルテュスとは何者だ!? | Numero TOKYO - Part 3
Art / Post

“20世紀最後の巨匠”が日本に降臨!
バルテュスとは何者だ!?

バルテュスと日本との関わりの中で、最も運命的にして最大の出会いは、1962年のこと。 フランスの文化大臣アンドレ・マルローから日本古美術展の作品選定の依頼を受け、初来日を果たした彼の心を揺り動かした、一人の女性。それが、後に伴侶となる出田節子だった。 晩年、スイスのロシニエールに建つ歴史的な木造建築の山荘「グラン・シャレ」に移り住んだ彼は、葛飾北斎や喜多川歌麿などの浮世絵をはじめとする日本美術の構図や人物表現を取り入れながら、新たな美意識の追求に精力を注ぐ。 そしてその傍らには、常に和服姿で佇む節子夫人の姿があった──。
Balthus: A Retrospective
Balthus: A Retrospective
それから幾度目かの春を迎えた、2014年4月。 節子夫人の全面協力のもと、世界の名だたる美術館のコレクションから個人蔵の作品まで、国内ではほとんど目にすることのできなかったバルテュス作品が、ついに日本へと上陸を果たす。 もはや伝説と呼ぶべき数多くの代表作や、日本初公開作品を含む約100点。さらに、他人の立ち入りがほとんど許されない“聖域”だったグラン・シャレのアトリエ内部を、絵の具やパレットなど残された愛用品とともに世界で初めて会場で再現。彼の人生の軌跡がかつてない規模で再構成され、運命の時を待ち受ける。 そして……展覧会を訪れた私たちが目にするのは、バルテュスの名のもとに歴史に刻まれ、築き上げられてきた創造性の宇宙。その深淵から湧き上がる美の魔力が、死してなお、私たちを恍惚の陶酔へといざなうのだ。 ※『Numéro TOKYO』2014年6月号 掲載記事を加筆転載 『バルテュス展』 東京会場: 期間/2014年4月19日(土)〜6月22日(日) 場所/東京都美術館 企画展示室 住所/東京都台東区上野公園8-36 京都会場: 期間/2014年7月5日(土)〜9月7日(日) 場所/京都市美術館 住所/京都市左京区岡崎円勝寺町124(岡崎公園内) URL/http://balthus2014.jp

Text:keita Fukasawa

Profile

深沢慶太(Keita Fukasawa) フリー編集者/ライター/『Numéro TOKYO』コントリビューティング・エディター。『STUDIO VOICE』編集部を経てフリーに。『Numéro TOKYO』創刊より編集に参加。雑誌や書籍、Webマガジンなどの編集・執筆、企業企画のコピーライティングやブランディングにも携わる。編集を手がけた書籍に、田名網敬一、篠原有司男ほかアーティストの作品集や、編集者9人のインタビュー集『記憶に残るブック&マガジン』(BNN)など。

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