自分の夢だけじゃない。身近な人に夢が叶うとき、ハッピーな気持ちになる。 | Numero TOKYO
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自分の夢だけじゃない。身近な人に夢が叶うとき、ハッピーな気持ちになる。

少女のような真っすぐな気持ちで強く夢を追い続けているダンサー、仲宗根梨乃さん。誰よりもストイックに技術を磨き、世界のトップシーンに踊り出た彼女は、これまでたくましく生きてきたからこそ、ネクストステージを見据え始めている。彼女がLA生活の中で見つけた幸せと自分との向き合い方とは。

———— まずは、ダンサーを目指したきっかけを教えてください
「ダンサーを目指したということは実はなく、幼い頃からとにかく歌って踊ることが大好きで、TVやJ-POPを流しながらずっと体を動かしていたんです。すべての始まりは、小学校5年生の時にマイケル・ジャクソンの音楽に出合ったこと。人生の指針が突如としてそこに現れた瞬間で、とにかく『マイケルのエンターテイメントに近づきたい!』と強く感じ、19歳のときにアメリカへ渡りました。学びたいものはアメリカにしかないから、それ以外の選択肢はなかったですね」

———— その後は、どうチャンスをつかんでいきましたか?
「昔はネットも身近でなかったし、携帯すら普及していない時代。自分の足で情報を得るしか術はないから、止まっている暇はなかったし、目の前にある情報はなんでも吸収した。ダンスイベントのフライヤーを見つけたらそこに行き、そうしたら、偶然にも憧れていたジャネット・ジャクソンのバックダンサーさんがいて、興奮しながら話しかけたり。レッスンを受けていたらショウに出ないかと声をかけられたり…といった具合に、自分で積極的に動いたら夢にどんどん近づけたんです。ネットがないからこそ、進みたい場所に自然と歩んで行く高揚感だったり、運命に導かれているかのような不思議な感覚を味わえたりした。エネルギーに満ちた、いい時代だったのかもしれない」

with Kento Mori


 
———— 職業柄、食事にはかなり気を配っているのでは?
「パフォーマンスの内容によって調整することも。ハードなステージであればたくさん食べるし、体重を落として絞ることもある。でも、筋肉をつけるために特定のものを食べるといったような計算は全くしていません。個人的には手作りの料理が一番体には良いと思っていて、一時オーガニックかつ自炊にトライしていたのだけど、忙しくてできなくなったときにプレッシャーをすごく感じてしまって。ビーガンにシフトしていた時期も同様でした。そんなこともあって、今のライフテーマは“NO RULES”。私の性格上、あまり厳しすぎるとかえってストレスになるってやっと気づいたので、今は気持ちに正直に、欲しているものを有難く食べるというスタンスをとっています」

———— そのほか、美容で気をつけていることはありますか?
「美容かは分からないけど、最近は朝の過ごし方を大切にしています。愛犬と目覚めた朝は、バルコニーに出てまず深呼吸。コーヒーや栄養価の高いスープを飲んでホッと一息ついたらメディテーションやストレッチをして、心体のコリをほぐす。忙しい朝でも、1日のスタートを丁寧に過ごせば、その日はとても気持ち良く過ごせるから。自然豊かなLAが私のベースとなっている理由も、どこかゆったりした時間が持てる場所だからかもしれない」

———— では、LAでのお気に入りの過ごし方を教えて。
「LAには『私が求めているすべてがある』と言ってもいいくらい! 愛犬もいるし、自然と触れ合うことは、私のライフスタイルにおいて欠かすことのできないエッセンス。鮮やかな緑に美しい海、公園、ドッグランと、必要としたときにすぐに自然と触れ合えるところがお気に入りです。そして、その空間にいる人々を見るもの大好き。散歩している親子、バレーボールを楽しむティーン、みんな笑顔だしリラックスした表情をしていて。豊かな自然に囲まれながらも、仕事の好機(Opportunity)もインスパイアリングな出来事もたくさんある。そういった意味でも“I NEED LA!”というムードはこの先も続きそうです」

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———— LAで仕事をして、どんなことを学びましたか?
「ジャネット・ジャクソンやグウェン・ステファニーとツアーを回ったときは、メンバーをファミリーのようにリスペクトして立ち振る舞う姿に感動したんです。また、『スリラー』の振付師であるマイケル・ピータースやジャネットの振付師ティナ・ランドンは、曲そのものに“見せる踊り”を落とし込む天才だと感じた。マイケルやジャネットの作品が私のベースにあることに変わりはないけど、それらに携わっていた人たちの傍らで、色んなことを吸収できたのは大きな糧となっています」

身近にある小さな奇跡が起きたとき、
喜びと幸せを心から感じる


 
———— どんな時に心からハッピーを感じますか?
愛犬と一緒に朝日で目覚めた時、“今”という瞬間を感じている時、自分がやりたいことができている時、求めていたものが手の中にあるのに気づいた時。あと自分の夢もそうだけど、最近では身近な人の夢が叶った時にハッピーな気持ちになります。私と同じようにマイケルを心から愛して渡米した、日本人のケント・モリさんが『THIS IS IT』のオーディションに合格したときは、同じ日本人として誇らしくもあり、とっても嬉しかった。また、私が演出を手がけているSHINee(シャイニー)のテミンさんが初めてソロコンサートを成功させたことも、彼にとって意味のあることだと知っていたから感動的だった。そんな煌びやかな夢もあれば、育てていた花が咲いた、親友の出産に立ち合って赤ちゃんが無事産まれたなど、日常には奇跡みたいなことはたくさんある。実は、レオナルド・ディカプリオが念願のオスカーを受賞したときも、自然に泣いていました(笑)。そう考えると、ハッピーは自分の周りにあふれていますね」

———— これから、どのように年齢を重ねていきたいですか?
「女性として生を受けたからには、その人生をフルに生きたい。常に自分に正直であり、目標に向かって歩み続ける。あと、年齢ごとに自分に合うメイクやドレスアップも楽しみのひとつです。特にリップがもたらすパワーは、いくつになっても自分の気持ちを高めてくれる、女性ならではの特権! 遊び心を忘れずに、色んなスタイルを楽しみたい。もう一つは、ストイックに駆け抜けてきたからこそ35歳を過ぎた頃、『もっと女性として、自分の内面まで大きく包み込んであげたい』と思ったんです。シワを見つけても、ネガティブなことを嘆くのではなく、“たくさん笑ったんだね、頑張ってきたんだね”って、自分を褒めてあげたい。“NO RULES”は食事やビューティのみならず、最近の私の生き方にも繋がっています」

Photos:Akihito Igarashi
Hair:Kotaro
Makeup:Yoko Mochizuki
Styling:Aika Kiyohara
Interview & Text:Nathalie Lima Konishi
Editor: Hisako Yamazaki
 

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Profile

仲宗根梨乃(Rino Nakasone) 1979年6月11日生まれ、沖縄県出身。ダンス・エンターテイナー。2004年にグウェン・ステファニー率いる「原宿ガールズ」に参加。またブリトニー・スピアース、アヴリル・ラヴィーン、クリス・ブラウン、ジャスティン・ビーバーらのライブやミュージックビデオにダンサーとして出演。09年には、少女時代のシングル「GENIE」を振付し“美脚ダンス”が話題に。近年ではBoAや少女時代、SHINeeのコンサート総合演出を担当。自身も舞台や映画、TV、CM、ファッション誌にも登場するなど多彩な活動を行っている。 http://rinonakasone.com

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