タックさんとの出会いは、
僕が19歳の頃だしたCDのデビュー曲「愛の奴隷」(作詞 三浦徳子 作曲 筒美京平)のPVを
気に入ってくれて彼のお店で毎日の様にかけてくれたのがきっかけでした。
「新宿二丁目(正確には3丁目)のバーで、櫻田の曲が盛り上がっているらしい!」と当時のディレクターの
耳に入り、しばらくして僕もお礼しようとお店に行きました。
かけてくれていた当時は、お客さんがひくほど(実際、お客さんが減った時もあったらしい…笑)
へヴィーローテーションだったそうです。
キラキラしたステージの中をホットパンツの少年(あ、当時の僕ね…)がクネクネ踊る今見ても不思議な
PVです。
なぜ、こんな事になったのかというと当時は渋谷系が流行っていて僕も大好きだったのですが、
やっぱりそんな感じで素敵な曲をレコーディングしていたのです。
でも、音楽も作れない、歌も上手くない僕がそんな事をやっても面白くなかった。
聞くのにはいいかも知れないけど、僕がやっても説得力がないのではないか?
結局アイドル的な感じになるのならば、正面きってやった方がかっこいいんじゃないか?と
小さい頃好きだった「アイドル歌謡」の世界をオマージュしようとなった訳です。
歌謡曲といえば筒美京平さんだ!とお願いしたら快諾して頂いてしまった。
こうしてデビュー曲が完成しました。
当時は、ゲイという事は隠そうという会社の方針があったのもあって
新宿二丁目にはあまり行った事がありませんでした。
ゲイの方に会って「ゲイなの??」と聞かれて嘘をつくのも嫌だったし、
やっぱり、ばれてしまうのが怖かったのです。
嘘をつくのって結構しんどいもんです。
僕も取材やなんかで「こんな女性がタイプです」なんていうのを
男性と女性置き換えて喋っていたりしてたのですが、
慣れっこだと思っていたそんな嘘が、年々疲れてしまってたみたい。
ゲイという事をカムアウトして、芸能関係の仕事を辞めた後は
失ったものを取り返すかのように二丁目で遊びまくりました。
そんな頃、タックスノットにもやっと行けたんですね。
タックさんは、バーでの仕事の他に、美術作家でもあったり、ゲイのパートナーシップの本を出していたりしていて、
共感することが多く、大好きなお店になりました。
しばらくして「アルバイトしてみない?」と誘われカウンターに入ることになったのです。
タックさんも、当時のパートナーの方に誘われてひょんな事から
バーをはじめたそうですが、結局僕もバーをはじめる事になり不思議なシンクロとご縁を感じずにはいられません。
5月の展示は本日で終わってしまいましたが、タックスノットは30周年!
素敵な先輩が前に走ってくれて後を追いかけられる幸せを感じています。
タックスノットでの展示作品の一部。
「Chemical dreams」
全て2012年